マツダCX-5 2018年型マイナーチェンジ車 2017年との違い、試乗の印象
もくじ
ー CX-5 ディーゼル車の変更点
ー CX-5 ディーゼル車の試乗印象
ー CX-5 2.5ℓガソリン車の変更点
ー CX-5 2.5ℓガソリン車の試乗印象
ー その他の変更点とまとめ
CX-5 ディーゼル車の変更点
最高出力は15ps、最大トルクは3.1kgmも向上した。ターボなら過給圧を上げれば幾らでもパワースペックを高められる、と考えるのは短絡が過ぎる。
ドライバビリティや耐久性、燃費等々のバランスがあってシステムは構築されるのであって、MC前のパワースペックは当時の最善の結果なのだ。
換言すればパワースペックの向上はシステムの変更を示している。エンジン型式はMC前と同じSH-VPTS型だが、2ステージターボの大径ターボ側に可変ジオメトリータービンを採用。

燃料噴射制御では超高応答マルチホールインジェクターを採用し、高圧で複数回に分けて噴射しノック音を減少させると共に燃焼時間の短縮を図った急速多段燃焼を採用した。さらに燃焼室形状の最適化なども加わり、ハードとソフトの両面から改良が加えられている。

一言で済ませればCX-8に採用されたパワートレインを移植したわけだが、車重はCX-5が約200kgも軽量なのである。パワー&トルクウェイトレシオを考えれば大幅な動力性能向上が見込めるはずだが、その結果は。
CX-5 ディーゼル車の試乗印象
う〜ん? どう評価すればいいのか悩んでしまう。個人的には改良効果に諸手を挙げて賛同するが、MC前を好むドライバーも少なくないとの予想も成り立つのだ。
マツダの2.2ℓディーゼルは浅いアクセル開度の踏み込み直後のトルク立ち上がりがいいのが特徴だが、新型ではさらに素早くトルクを立ち上がらせる。ただ、トルクの立ち上がり方が新旧で異なる。

旧型はモコッと力感たっぷりのトルク立ち上げ。対して新型はじわっと連続的な立ち上げ。相対的には新型の方が過渡域のリニアリティが高く、踏み込み直後の反応で必要とする踏み込み量に見当を付けやすく、踏み込み操作も連続的になる。
一方、旧型は急激なトルク立ち上げに緩め加減を按配しながらの操作。緩めながら最終的な踏み込み量に加減するのは気を使う。ただし、速度域が高く、定量的に踏み込みが大きくなると旧型も新型に近い操作感になる。

どちらが大トルクを意識するかと問われれば旧型。それを醍醐味として捉える気分は理解できるが、何も考えずに無駄のない運転をできるのは新型である。
パワースペックの差というより、マツダが提唱している躍度(加加速度)研究の結果だろう。加加速度を抑え気味に安定させて無意識の運転しやすさを高め、中低速で頻繁に加減速する市街地走行で、より一層扱いやすくなった。ドライバビリティの質の向上が一番の改良点だ。
CX-5 2.5ℓガソリン車の変更点
これは大改良である。内部抵抗軽減等の全般的な改良も加えられているが、何しろ気筒休止機構採用である。

ディーゼルに比べると今ひとつ突っ込み具合があまい感のあったマツダ・ガソリンエンジンもいよいよエコ時代の先頭グループをターゲットにしたようだ。あるいはSPCCIのスカイアクティブXへの布石なのかもしれない。
気筒休止機構のメリットは吸気抵抗と熱損失の低減。4気筒のうち2気筒を休ませれば働いてる気筒は休んでる分も合わせて倍の仕事をしなければならない。つまり4気筒時の倍の空気を吸い込むわけだ。

となればスロットル開度倍増。吸気抵抗の大元になるスロットルが大開きになれば効率は向上する。熱損失は総発生熱量に対する燃焼室/シリンダー面積の半減により、逃げる熱量が減るため。
と文字にすると面倒だが、ある条件下での燃費向上には有用である。なお、気筒休止は油圧ラッシュアジャスターによって吸排気バルブ共に全閉維持とすることで行っている。

また、単気筒爆発力が大きく、なおかつ爆発回数が半減するため、トルク変動が大きくなりやすいが、4気筒稼働時と同等の滑らかさを維持するため、トルコンに新たに振り子ダンパーを追加している。
CX-5 2.5ℓガソリン車の試乗印象
試乗車には稼働気筒数が表示されるスマホを使った特製のインジケーターを装着。これがないと2-4気筒の切り替えは体感できない。つまり、どこで気筒休止が役立っているかも分からないのだ。

気筒休止4気筒の先輩に当たるゴルフにはインフォメーションパネルに2気筒走行が表示されるのだが、稼働気筒数など考えずに自然体で運転して下さいという考え方なのだろう。
アクセル開度が安定していて、低中負荷域で2気筒走行に入り、平坦路では80km/h巡航くらいが上限と考えればいい。また、巡航ギアが前提になるので回転数は2000rpm以下。高速道路で流れに乗せていると2気筒巡航の頻度は極端に下がるが、緩減速時には頻繁に気筒休止を行う。
エンブレと巡航の中間辺りを上手に使えば燃費向上効果も期待大である。

とくにインフォメーションはなかったが、加速感覚も新旧で変化がみられた。多少の差ではあるが、比べれば旧型は後伸び感、新型は均質な加速感を示す。加速の伸びやかさを好むなら旧型が馴染みがいいが、コントロールのしやすさは新型だ。
ディーゼル車同様に躍度研究の成果なのだが、旧型はディーゼルもガソリンも「らしさ」を感じさせるが、新型はどちらも運転しやすさで統一された印象。馴染みのいい運転感覚である。
その他の変更点とまとめ
車体周辺を俯瞰で表示する全周モニターや全パワーウインドウへのワンタッチ機構の採用、パワーテールゲート設定グレードの拡大などCX-8同様の利便装備も用意され、日常用途での使い勝手も向上している。


マニアを唸らせる類ではないが、生活とレジャーを共にするSUVの魅力を高める改良である。
そして最も感心させられたのは価格設定である。パワートレイン周りの改良はハードウェアの変更を伴い、しかも機構や部品点数からしてもコスト高は明白。

しかし、実質価格据え置きである。改良の方向性も商売っ気でも「良心的」という言葉が似合いである。
