突然の雷・・・近くに避難できる場所がない時どうすれば? 雷から身を守る大切な行動「保護範囲」と最終手段の「雷しゃがみ」とは
午前中、晴れていたのに、夕方は雷雨が・・・。天気が変わりやすい時期に注意しなければならないのが「雷」です。
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先月(9月)10日、午後2時ごろ、岡山市内中心部で雷を伴った視界が見えないほどの大雨【画像①】に見舞われました。
翌日には、「記録的短時間大雨情報」が岡山県に発令され、高梁市で1時間に約90ミリの猛烈な雨が降り、高梁市内では3か所で土砂崩れが発生。一時、県道の一部が通行止めとなりました。
場所を選ばす、突然発生する雷から身を守るためにはどうしたらいいのでしょうか?
雷鳴は雷接近のサイン
雷に詳しい日本大気電気学会によりますと、雷接近のサインで雷に備えることができるといいます。【画像②】のように、
①積乱雲(入道雲、モコモコした雲)がみるみる大きくなる
②黒い雲が近づき、周囲が暗くなる
③急に冷たい風が吹いてくる
④雷光(稲光)が見える、雷鳴が聞こえる
雷鳴が聞こえたときには、すでに約10キロ以内で雷が発生しているため、建物の中など安全な場所へ避難しましょう。
雷が聞こえたとき、どのように身を守ればよいのか、地球温暖化や気候変化に詳しい岡山大学の野沢 徹教授に聞いてみました。
(岡山大学 野沢 徹教授)
「雷が聞こえたら、できるだけ早く建物や車などへ避難しましょう。しかし、建物や車も100%安全とは言い切れない点には注意が必要です【画像③】」
周囲に逃げ込める場所がないときはどうしたらいいのでしょうか。
(岡山大学 野沢 徹教授)
「避難できそうな建物や車などが近くにない状況で雷に遭遇してしまった場合は、木や電柱などの高いものから離れて『保護範囲』へ移動し、『雷しゃがみ』と呼ばれる姿勢を取りましょう」
「保護範囲」「雷しゃがみ」って何だ?
気象庁によりますと、「保護範囲」とは、電柱、煙突、鉄塔、建築物などの高い物体のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、その物体から4m以上離れたところ【画像②】のことです。
では、「雷しゃがみ」とはどのような姿勢なのでしょうか。
(野沢 徹教授)
「【画像③】のように姿勢を低くし、両足を揃えてしゃがみ、頭を下げ、両手で耳をふさぎ、つま先立ちをする姿勢のことです。両足を揃えてつま先立ちすることで、足元から上半身に電流が流れにくくなります」
「つま先立ちして地面との接触面積を減らすことで、足元からの電流の侵入を抑えられ、両手で耳をふさぐことで、落雷の衝撃音から鼓膜を保護します」
では、雷のときに気をつけたらよいことは何なのでしょうか。
ポイントは「木」から離れる
野沢教授や日本大気電気学会によりますと、【画像④】のように、木のそばは落雷の被害を受けやすいため危険だといいます。
木への落雷による側撃雷の危険性が高く、木は電流を通しにくいため、電気を通しやすい人に飛び移る現象(=側撃)が起こりやすくなるということです。
落雷による死亡原因は、開けた平地に立っていた場合が最も多く、第2位が木の下の雨宿りであり、この2つの場合が全落雷死の半数以上を占めています。たとえ、林や森の中に居たとしても、同様に危険だということです。
木造建築物の軒下での待機も危険
木の下と同様に、落雷時の雨をしのぐために木造建築物の軒下に入ることも危険性があるということです。
フランクリン・ジャパンによりますと、木造建築物の軒下は、建物に落ちた雷の側撃を受ける危険性があり、建物内などに避難した場合でも、落雷の危険が去るまでは、必ず建物の内部から出ないように注意する必要があります。
傘やゴルフクラブにも注意を
野沢教授やフランクリン・ジャパンによりますと、ゴルフクラブや釣り竿などを頭より高いところに持つことはとても危険であり、もちろん傘も危険だといいます。
雷は電気の通しやすさとは関係なく、突起物めがけて落ちる性質があります。この性質によって、ゴルフクラブや傘など長い物を頭より高く掲げた場合、雷を誘引する効果があり、雷の直撃を受ける危険性が高くなるということです。
車の中は安全?
屋外に留まるよりは安全といわれる車の中。しかし、車の中で待機する時にも注意が必要だと野沢 徹教授は話します。
(岡山大学 野沢 徹教授)
「車の中でも、金属製の物に触れていると落雷時に電流が流れる可能性があります」
車に落雷した場合、車や車内にいる人への影響はどうなのでしょうか。日本自動車連盟=JAFに聞いてみました。
(JAF岡山支部 秋田博志さん)
「JAFが行った実験では、突然の雷からの避難場所として車内が有効であることが確認されています」
「窓を完全に閉めた場合、少し開けた場合、ドアを開けた場合など、さまざまな条件で実験を行いましたが、雷が車内に侵入した事例は確認されませんでした。ただし、車内の金属部分に触れると感電のリスクがあるため、触れないよう十分注意してください」
「車内は人体にとっては比較的安全な場所ですが、万が一車に落雷した場合、エンジンがかからなくなる、タイヤに損傷が生じるなどのトラブルが発生し、走行できなくなる可能性が高いことも分かっています」
「したがって、車内が安全でも、車両の機能が損なわれるリスクを考えると、車そのものを雷から守る対策を講じるのが理想的です」
急な雷雨や雷に遭遇した場合、どう対処したらいいのでしょうか。
(JAF岡山支部の秋田博志さん)
「① 立体駐車場などの屋内型駐車場が近くにある場合、
屋内に車ごと避難して雷が通り過ぎるのを待つ(人も車も安全を確保)。
②周囲に構造物がない場合、
車内に避難し、金属部分に触れないようにして雷が通り過ぎるのを待つ(人の安全を確保)。
③ 運転中に雷に遭遇した場合、
・一般道路の場合
路肩や駐車場など、できるだけ安全な場所に停車し、雷が通り過ぎるのを待つ。
・高速道路の場合
必要に応じてスピードを落とすなど、安全を優先した運転でSA・PAなどの駐車可能な場所まで移動して雷が通り過ぎるのを待つ」
さらに秋田さんは、雷に遭遇しないよう「雷を避ける」対策を日ごろから心がけることも重要だと話します。
(JAF岡山支部の秋田博志さん)
「外出前には気象情報をあらかじめ確認し、大雨や雷雨の予報がある場合は、なるべく外出を控える判断をすることも重要な安全対策です。やむを得ず運転する際も、天気予報などを活用し、より安全な経路や時間帯を選ぶなど、危険を回避する工夫を行いましょう」
「雷が発生した場合の安全確保は、ドライバー自身だけでなく、同乗者や周囲の人々の命を守るためにも欠かせません。適切な準備と冷静な対応を心がけ、行楽シーズンを楽しくお過ごしください」
活動再開はいつ?
雷に詳しい日本大気電気学会によりますと、活動を再開しても大丈夫だという目安は「雷鳴後30分経過しても次の雷鳴が聞こえなくなってから」です。ただし、周囲に雷雲がないか、接近する雷雲がないかを確認してから、活動を再開しましょう。
電気を通さないものを身につけるのは身を守る効果があるのでしょうか。
フランクリン・ジャパンによりますと、長靴やレインコートなど電気を通さないものを身につけても、雷から身を守ることはできない」ということです。
雷に打たれたときの対処方法は?
フランクリン・ジャパンによりますと、雷に打たれた場合、「心肺停止」「やけど」「意識障害」「鼓膜が破れる」などの症状があります。まずは救急車を呼び、救急車が到着するまでの間、心肺蘇生法、やけどの手当などの応急処置をすることが大切だということです。
心肺停止は落雷死亡事故のほとんどの原因であり、即座に応急処置をすれば、助かる可能性が高くなるといいます。心拍や呼吸の停止が確認された場合、すぐに心肺蘇生法を開始し、絶え間なく継続することが重要であるということです。
また、やけどの場合、
①急いで冷たい水、水道水を注いで痛みが取れるまで冷やす
②衣類を脱がさないで、そのまま衣類の上から冷水をかける
③水ぶくれはつぶさず、消毒した布か洗濯した布で覆い、その上から冷やす
といった通常のやけどの手当と同じ処置でいいということです。
