スーパープレイが紹介された(シカゴ・ホワイトソックスの公式Instagramより)

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 シカゴ・ホワイトソックスに所属する“もう一人”の日本人選手、西田陸浮(25)が注目されている。日本時間の10日にマイナー降格となったが、5月25日のメジャー昇格後、12試合に出場、打率.241、2打点を挙げた。西田は23年米ドラフトで、11巡目329位で指名され、その後、ルーキーリーグで揉まれながら這い上がってきた。そんな彼の経歴が村上宗隆(26)と、7月12、13日のMLBドラフト会議での指名を待つスタンフォード大学の佐々木麟太郎(21)にも影響を与えているというのである。

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「西田は岩手県の強豪校である東北高校の出身ですが、甲子園出場の経験はありません。プロ野球スカウトの調査リストにも入っていなかった無名選手でした。西田と同級生に当たるプロ野球選手はヤクルト・奥川恭伸(25)、オリックス・宮城大弥(24)、中日・石川昂弥(24)などの01年生まれです。1年目からレギュラーを争うような高校生もいたのですが、西田は印象に残りませんでした」(元在京球団スカウト)

 しかし、高校野球を担当する関係者からは違う評価も聞かれた。西田は副キャプテンを任され、50人近い部員をまとめていた。地元メディアからの取材にも対応することもあり、「礼儀正しく、敬語でしっかり返答していた」(専門誌記者)という。

スーパープレイが紹介された(シカゴ・ホワイトソックスの公式Instagramより)

「中学時代は大阪府の硬式野球クラブにも在籍し、肩の強さでは一目を置かれていました。強豪高校の関係者も彼を見に来ていました」(中学硬式クラブ指導者)

 その後、米大学野球留学のセレクションを受け、マウントフッド・コミュニティ・カレッジ(短大)、オレゴン大学編入、23年MLBドラフト会議を経て今日に至るわけだが、ホワイトソックスの地元であるシカゴのファンも、西田にエールを送っているそうだ。

「ホワイトソックスは昨季まで3年連続でシーズン100敗以上を記録しています。ただ、マイナーには将来が期待できそうな若手が少なくありません。毎年、主力選手を放出し、有望な若手選手をもらうトレードや、交換要員の代わりにドラフト指名権を譲り受けてきたからです。地元放送局『Chicago Sports network』の番組MCであるチャック・ガーフィーン氏が自身のXで、マイナー戦で披露された西田のレーザービーム返球の映像を公開し、『まだ知られていない有望株』として紹介していました。ガーフィーン氏は人気MCで、西田を期待の若手の一人として見ているようです」(現地記者)

 ドラフト下位で指名した無名選手が這い上がっていくサクセスストーリーは、日本の野球ファンが好むものでもある。チーム低迷期が長かった分、シカゴの野球ファンも“成長物語”に目がない。

佐々木の進路にも影響が?

 そんな西田の活躍が、MLB指名を待つ佐々木の進路まで変えてしまうかもしれない。これまでの予想では、MLB指名球団と、昨秋のNPBドラフト会議で佐々木の交渉権獲得に成功した福岡ソフトバンクとの二択だった。メジャーリーグの下位指名選手の厳しい野球環境も鑑みて、ソフトバンク入りを予想する声もあったが、現地では強豪大学に転校して来年の指名を待つ“第3の選択肢”も囁かれていた。しかし、

「佐々木は指名されると思いますが、下位になるというのが大方の意見です。その下位指名を断ったら、彼の野球留学の意義まで問われてしまいます。下位指名から這い上がってきた成功例は決して多くありませんが、西田の出現に佐々木も勇気付けられたはずです」(前出・同)

 また、佐々木を含めた日本の野球留学生に対する評価だが、バットコントロールやグラブのハンドリングなどの野球技術では「アメリカの大学生よりも巧い」そうだ。ア・リーグ中地区球団のスカウトがこう言う。

「日本の学生野球指導者は、教えるのが上手だと思います。佐々木のプレーでいえば、一塁手としての守備範囲は広くありませんが、ショートバウンドの送球をグラブのハンドリングで巧く掬い上げるなどし、味方野手を助けてきました。日本は技術的な指導、アメリカは長所を伸ばす指導、という分け方ができると思います」

 その佐々木は6月下旬に一時帰国し、家族と進路相談を行うと報道されている。しかし、MLBドラフト直前のこの時期は、米スカウトとの事前交渉が可能であることから、佐々木には代理交渉を託せる現地後見人がいるとの見方が強い。

 西田は強肩で知られているが、このクラスの外野手は米大学球界にはゴマンといる。送球動作のスピード、コントロールという日本式指導が下地にあったとすれば、佐々木に対する米スカウトの評価も上方修正されるかもしれない。

 また、西田という日本語で語り合えるチームメイトを得た村上だが、シカゴのファンは「村上との日本人コンビ」との捉え方はしていないそうだ。しかし、西田のプレーで村上も意外なところで評価を上げていた。

村上にも影響が…

「現地時間5月30日のタイガース戦でした。西田がタイムリーヒットを放ち、盛り上がっているホワイトソックスベンチを地元中継局のカメラが抜き取りました。その映像に村上も映っていたのです」(前出・現地記者)

 村上は前日29日の試合で右太股裏を痛め、IL(負傷者リスト)入りしている。村上はサングラスを掛け、打球が外野に転がったのと同時に立ち上がって喜び、声も張り上げていた。通常、IL入りした選手は試合前練習に参加しても、ベンチに入ってまで応援をしない。軽い練習ができる怪我であっても、試合開始と同時にクラブハウスに引き上げてしまうのが一般的だ。ベンチから応援する姿に、村上の好感度も“爆上がり”だったという。

「故障離脱する前の話になりますが、村上は珍しい記録を更新する可能性があることがわかり、地元ファンは今回の右太股の故障を残念がっていました。故障離脱がなければ、ホームランは年間58本ペース、1998年にアルバート・ベルが放った49本塁打が球団最多だったので『移籍1年目のムーニー(村上)が塗り替える』と盛り上がっていました。三振の多さもNPB時代から変わらずで、故障前のペースで行けば年間229三振になります。三振数は2012年のアダム・ダンが残した222三振が球団トップ。本塁打と三振の記録を同時に塗り替えることもできたのですが……」(前出・同)

 ホームランか、三振という分かりやすいスタイルも村上人気の一因だろう。その村上も決して守備が巧いほうではない。守備難が致命的な欠点とならないことは村上が教えてくれた。日本式指導が下地にあった西田の成功例は、佐々木の気持ちにも響くものがあったはずだ。

デイリー新潮編集部