老後2000万問題が世間を騒がせた際、「もうすぐ還暦だけど貯金ゼロ」を公表して話題を呼んだ野沢直子さん。2024年に30年の結婚生活にピリオドを打ち、現在は週5回の託児所バイトなどを掛け持ちしながら、13歳年下の新夫と「第2の人生」を謳歌しています。お金に縛られず、常に“今”を遊び尽くす彼女のバイタリティの源を伺いました。

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「家のローン返済のため」託児所と絨毯屋でバイト生活

62歳で再婚し第二の人生を謳歌している野沢さん

── 当時59歳だった野沢さんが、著書『老いてきたけど、まぁ~いっか。』で「もうすぐ還暦だけど貯金ゼロ」と告白されて約3年半。現在の生活はいかがですか?

野沢さん:相変わらず貯金はないですよ(笑)。24年に離婚した際、自宅を譲ってもらいましたが、ローン残債がかなりあって。1人で返済するには家計は自転車操業。

今は週5回、託児所で働いて、週1回はペルシャ絨毯屋さんで重い絨毯をめくるバイト生活です。でも、おかげで家のローンはどうにか返済できました。

── 以前から、あまり貯金をする習慣はなかったのでしょうか。

野沢さん:夫婦で積立やお金の相談をしたこともなかったし、夫の給与明細をちゃんと見たこともなかったですね。外食や旅行を頻繁にしたわけじゃないんですが、子ども3人の学費や習いごと代など、出費が多くて。全然、貯金はできなかったですね。ただ、私にとっては今でもお金がすべてじゃないというか、たいした問題じゃないと思っていて。とくに後悔してません。

──「今でも」ということは、昔からそうした考え方だったのでしょうか?

野沢さん:私が育った環境の問題かも。子どものころ、父が職を転々とした時期があって、借金を踏み倒したまま半年家に帰ってこないこともあったんです。それでも結果的にどうにかなった。その経験が染み付いているのかもしれません。また、離婚して家のローン返済は大変でしたが、子どもたちが社会人になっていたので助けてもらいましたし、去年再婚した夫のトラにもずいぶんお世話になりました。 バイトも未経験でしたが、やってみたら楽しかったですし。

「61歳で熟年離婚」30年の節目に選んだ、新しいステージ

母親業も卒業し、新たなステージに

── では、改めて、離婚と再婚について伺わせてください。2024年、野沢さんが61歳のときに約30年の結婚生活に終止符をうちました。

野沢さん:2人で離婚の話をはじめると、思っていた以上にお互いの価値観がズレていることがわかりました。結婚後しばらくして、彼は看護師に、私はバンドを続けながら日本にも出稼ぎに行き、家族で仲良くやっていたつもりなんですけどね。腹を割っても話が噛み合わないし、この先2人で一緒にいても幸せなイメージが湧かない。それなら今の自分のステージに合った人と一緒に生きていくほうがいいと思ったんです。60歳、熟年離婚を狙ったわけではなくて、たまたま離婚したのがそのタイミングだっただけなんですけど。

── まだまだ人生長いですしね。再婚した13歳年下のトラ・フジモトさんは、長年、野沢さんと同じバンドを組んできたメンバーとのこと。知り合ってから長いそうですが、仲間から夫婦になるのはどんな気持ちですか。

野沢さん:なんでしょうね。もともと気が合って話も楽しかったので、自然にそんな展開に。子どもたちはもう大人なので「あぁ、そうなんだ」くらいの反応でした(笑)。再婚相手のトラは末っ子の息子とも気が合うタイプだったので安心しています。

1回目と2回目、結婚生活の決定的な違い 

── 20代での結婚と、60代での再婚。何が一番違いますか?

野沢さん:前回は「親」としての大きな役割がありましたが、今回は子育てのプレッシャーがまったくない。2人が楽しく生活できればいいので、一緒にご飯を食べて「美味しいね」って笑い合える、穏やかな幸せを感じています。

── 野沢さんを拝見していると、年齢にふり回れず、常に人生を謳歌している感じがします。

野沢さん:わぁ、ありがとうございます!シミやシワ、体力の低下…老いは確かに怖いです。でも、不安がってもしょうがない。それ以上にまだまだやりたいことがあるんです。俳優のお仕事にも挑戦するためレッスンにも通っていますし、バンドも変わらず頑張りたい。ずっとこんな感じで、好きなことをしながら生きていくような気がします。

還暦での離婚と再婚。貯金がなくても「たいした問題じゃない」と笑い、バイトを掛け持ちしながら“今”を謳歌する野沢さん。私たちはつい「老後の正解」を求めてしまいますが、幸せの形はもっと自由でいいのかもしれません。

取材・文:松永怜 写真:野沢直子