チャットやSNSでよかれと思って使っている絵文字、実は若者に嫌われる危険性をはらんでいるという。「プレジデント」(2022年7月1日号)の特集「好かれる言い方 嫌われる言い方」より、記事の一部をお届けします――。

■絵文字の多用はNG 一体どうして?

今やビジネス上の連絡は、メールからスマホのチャットやメッセンジャーアプリが基本になり始めた。楽しいやりとりをしようと、絵文字を使う人も多い。しかしながら、この絵文字が嫌われる要因にもなるという。

「ズバリ、絵文字の多用は若い人(特に女性)に嫌われます」と指摘するのは、男女の心理に詳しい日本合コン協会会長の田中絵音氏だ。

「一部の中高年の男性が送りがちな、絵文字をふんだんに使ったメッセージは注意が必要です。実は、若い人は絵文字を使う習慣がほとんどありません。やりとりはシンプルに済ますのが若者の鉄則。それだけに、たくさんの絵文字を見ると『古臭いなぁ』と思われてしまうことがあります」

あのキムタクでさえ、SNSで絵文字を多用した際に『オジサンっぽくて残念』と若者が話題にしたことがあった。それにしても若者こそ絵文字をたくさん使っているというイメージを持つ人もいるだろう。

そもそもなぜ彼女ら、彼らは使わないのか。

「今の若者は、とにかく効率的で、余計なことはしたくないという思いが強い。『了解』と打つのが面倒で、『り』の一文字で意思疎通が取れるほど、省エネな生き方なのです。たとえば『!』や『?』はわざわざ絵文字にせず、テキストで『!』と1度入力すれば済みます。また、『ゴルフ』と文字で書いて、その後にゴルフの絵文字をつける重複表現も、若者は無駄だと感じているようです」

しかし絵文字がないと冷たい印象を与えるのでは、と不安な人もいるだろう。チャットやメールで、少しでも好印象を与えるにはどうすればいいのか。

「若者は絵文字ナシでも、ちゃんとコミュニケーションが取れていますから、『絵文字がなくて冷たい』なんて思われることはありません。ご安心を。むしろ絵文字をつけないことが、好かれる表現の第一歩。どうしてもつけたい場合は、文の最後に1つだけにとどめておきましょう。使う絵文字はシンプルな笑顔のものだけ。これなら印象がアップします。

絵文字だけでなく、LINEのスタンプを連投するのもやめましょう。スタンプも楽しい気分にさせるものですが、若者からすると単なるスペースの無駄使い。『スタンプを見るためだけにLINEを開くのが面倒くさい』というのが若者の本音です」

■伝えたいことが伝わりづらい

もう1つ、中高年が気をつけたいのが、長文のメッセージだという。

「何行にもわたる長文チャットが送られてきたら、『オジサンっぽいな』と思われる可能性があります。省エネな若い世代は、短文でのコミュニケーションが基本。チャットでは、1文ごとに送信ボタンを押し、テンポよく会話しています。若い人に嫌われないためには、文章を小分けにして送るのを心がけましょう」

また長文のチャットになると、伝えたいことが伝わりづらいと指摘するのは、文章術に関する書籍を持つ東香名子氏だ。

「文章が長すぎると、伝えたいことが埋もれてしまい、上手に伝わらないことがあります。特にビジネスチャットでは要注意です。文章を冗長にせず、『いつ・どこで・誰が・なにを・どうする』という基本の情報を押さえた、シンプルな文を心がけましょう。特に、業務上の指示は短く明確に。

何かを頼むときは、『〜してください』という文末はやや冷たい印象を与えるので避けましょう。『〜をお願いします』や『〜してくれますか?』という表現を使うと、ソフトな印象になり好印象です。短文で絵文字がなくても、きちんと気持ちを伝えられるようなメッセージを目指しましょう」

シンプル・イズ・ベスト。SNS、チャットにおいても言えるのだ。

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田中 絵音(たなか・えのん)
日本合コン協会会長、恋愛アドバイザー。2000回以上の合コンイベントに携わり、男女の恋愛心理に精通する。著書に『こじらせ男子の取扱説明書(トリセツ)』など。
 

東 香名子(あずま・かなこ)
メディアコンサルタント。女性サイト編集長時代にアクセス数を650倍に伸ばした経歴を生かし、文章術に関するセミナーや講演活動を行う。また鉄道に詳しいコラムニストとしても活動。All About旅行ガイド。著書に『超ライティング大全』ほか。
 

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(坂口 安子 撮影=南方 篤)