辞任したチョ・グク法相(ロイター)

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 電撃辞任の裏に何があったのか――。次から次へと親族の疑惑が噴出することから「玉ねぎ男」と呼ばれた韓国のチョ・グク法相(54)が14日に突然、辞任した。検察改革を標榜し、文在寅大統領(66)が9月に強行任名したものの、わずか1か月余りでジ・エンド。文政権は崩壊前夜で、支持率回復のために対日政策を強化する可能性もある。それにしても、一連の疑惑発覚から辞任までの“追い込み方”はタダごとではない。一部では、米国の諜報機関「CIA」による“裏工作”説を追った。

 娘の不正入学、家族ぐるみの不正私募ファンド投資など、むいてもむいても芯までたどり着かなかった“疑惑の玉ねぎ男”が、ついに泣きを入れた。この日、文大統領に辞表を提出、受理された。民間出身のチョ氏はこれをもって“ただの人”に戻る。

 チョ氏は声明で「これ以上、私の家族のことで大統領と政府に負担をかけてはいけないと判断した」とコメント。疑惑が取り沙汰されても法相任命を強行した文大統領は「結果的に国民の間に多くの葛藤を引き起こした点に対し、非常に申し訳ないと思う」と謝罪した。

 韓国事情に詳しい関係者は「チョ氏をかばっていた文大統領だが、直近の支持率は40%前後まで下落。反政府デモも拡大の一途で、来年の総選挙に影響する公算が大きい。傷口が広がる前に切るしかなかった」と話す。

 加えて15日以降には「国監」と呼ばれる、国会議員が法務部に対して行う監査がある。ここでうそをつけば偽証罪に問われることから、さらし者になる前にチョ氏は辞任を決断したという見方もある。

「とにかくチョ氏は追い込まれていた。マスコミには私募ファンドの疑惑に関して、口裏合わせするチョ氏のおいと関係者の音声テープが持ち込まれた。なぜこんなものがいとも簡単に流出するのか…」(同)。一部では米CIA(中央情報局)の関与を疑う声もあった。

 米国の進言を無視して日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を表明した文政権に、米国がイラ立ちを覚えていたのは間違いない。ならば、文政権を終わりにしてしまおう。CIAが水面下で疑惑を洗い、検察やマスコミに情報提供したのではないか。

 これに対して「コリア・レポート」の辺真一編集長は「CIAが裏工作することは知られているが、今回のチョ氏の疑惑はすべて国内で起きたこと。CIAが関与した可能性はないと思う」と否定的な見方をする。

 むしろ特筆すべきは検察と野党、「朝鮮日報」「中央日報」「東亜日報」の3大紙が一体となってチョ氏の疑惑を追及したことだという。

「検察の力をそごうとするチョ氏に対し、検察は朴槿恵前大統領の疑惑に投入した数の倍の捜査員を投入し、関係者に100回以上の聴取を行った。野党には検察出身者も多く、捜査情報は共有していただろう。韓国3大紙はもともと保守系で文政権に以前から否定的。3者が力を結集して今回の事態を生み出したように思う」(同)

 気になるのは日本への今後の影響だ。重用したチョ氏の辞任で、文政権はまさに大ピンチに陥った。日本とは元徴用工や半導体材料の輸出管理強化の問題で火花を散らしているが、これで少しおとなしくなると思ったら大間違いだ。

 辺氏は「支持率回復のために一番手っ取り早いのが“日本叩き”。特に文大統領の支持基盤は日本に対して弱腰に出ることを許さない。これまで以上に無理難題をふっかけてくる可能性がある」と推察する。

 とはいえ、韓国経済は低迷し、国民からは柔軟姿勢を求める声も多い。

「窮地に陥った文政権を見て安倍晋三首相がどう出るか。22日に行われる天皇陛下の『即位礼正殿の儀』には韓国から李洛淵(イ・ナギョン)首相が出席予定。安倍首相自ら対応するのか、別の閣僚が相手をするのか。それを見て韓国政府は協調路線に戻るか、対立路線を継続するか決めると思う」(同)崩壊前夜だからといって油断はできない――。