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熊本県南阿蘇村で、国内では珍しい「コーヒーの栽培」をしている男性がいます。

<写真を見る>1杯2000円でも納得! 情熱たっぷりの"南阿蘇産100%コーヒー"物語

男性は、元高校教師。かつての教え子とタッグを組み、南阿蘇産100%の「阿蘇コーヒー」の提供を始めました。

鈴なりの赤い実、これはコーヒーの実です。

中の種に熱を加えて「焙煎」すると、馴染みのある「コーヒー豆」になります。

後藤至成さん「この実が35粒で1杯分です」

コーヒーを栽培しているのは、元高校教師の後藤至成さん(68)です。

熊本でコーヒー?育つの?

本来、コーヒーの多くはコーヒーベルトと呼ばれる赤道周辺の熱帯地域で栽培されていますが、ここは冬は寒さが厳しい南阿蘇村です。

後藤至成さん「コーヒーはこれだけ飲まれているのに、すべて輸入というのはおかしいんじゃないかと。熱帯物は作りやすいと感じていたもので、じゃあコーヒーをやってみようということで」

後藤さんは、退職するまでの37年間、高校で農業を教えていました。

退職前に勤務していた阿蘇中央高校で、生徒たちとコーヒー栽培に取り組む中で、コーヒーが寒さに強いことが分かり、「阿蘇で栽培できるかもしれない」と感じたといいます。

その矢先に熊本地震が発生し、後藤さんの自宅は全壊し、周囲の観光施設などにも甚大な被害が出ました。

後藤さんは、夢だった「コーヒーづくり」で、村の復興に一役買いたいと思うようになりました。

"コーヒーの木のオーナー"で復興支援

まず、村に人を呼び込もうと、収穫体験などが出来る"コーヒーの木のオーナー制"などに取り組みました。

鹿児島から訪れたコーヒーの木のオーナー「夢のような感じでした。最初見たとき、日本で木になるって想像もしていなかったので、素晴らしいなと思いました。早く飲みたいです」

そして、本格栽培から9年目をむかえた今年、少しずつ収量も増え、大きな目標だった「南阿蘇産100%」のコーヒーを提供できる目途が立ったのです。

後藤至成さん「地震で被災しているときは、先が見えなかったですけど、コーヒーの木が成長しているように、自分も少しは成長しているかなという気はします」

この日、後藤さんがコーヒー豆を持って訪れた地獄温泉「青風荘.」も熊本地震からの再建を果たした宿です。

後藤さんを待っていたのは、宿の社長の息子・河津拓さん(29)。実は後藤さんの高校教師時代の教え子です。

高校でコーヒーに興味を持った河津さんは、福岡の専門学校と有名店で8年間、コーヒーを勉強し、2年前に実家の宿でカフェをオープンしました。

教え子の店で焙煎「これ以上のめぐりあわせはない」

後藤さんは自分が育てたコーヒーを飲んでもらうのは、この場所以外にないと考えていました。

後藤至成さん「被災地に貢献したいという思いがあるのと、教え子の河津さんがバリスタとして南阿蘇に帰ってきたという、これ以上の巡り合わせはないんじゃないんですかね」

青風荘.カフェ「ホントコーヒー」河津拓さん「後藤さんからお話をいただいたときから、ほんとにうれしい気持ちでしたし、僕自身も南阿蘇を盛り上げたいと思って帰ってきたので、思いが伝えられるように焙煎できたらと思っています」

後藤さんが思いを込めてつくったコーヒー豆を、河津さんが丁寧に、丁寧に焙煎します。

正真正銘の南阿蘇産のコーヒーです。

後藤至成さん「うまい」

河津拓さん「かなり香りも出てましたし、甘みも出ていたのでよかったんじゃないかと」

後藤至成さん「いける」

そして、熊本地震の発生からちょうど10年となった4月16日。いよいよ、店でコーヒーを提供する日を迎えました。

1杯2000円の価値あるコーヒー

1杯2000円のコーヒー、希少で貴重な一杯の価値を感じてもらえるでしょうか。

大分県から訪れた人「苦味があっても、後がすっきりするというのが、とても素敵な味がしました」
熊本県西原村から訪れた人「飲みやすい、おいしいです。コーヒー豆って育つんだ、阿蘇でっていうのがびっくりして、阿蘇の大地のエネルギーをいただきました」

河津拓さん「飲んでおいしいと言っている姿を見て、すごくうれしかったです。ほんと奇跡というか、このつながりに感謝したいと思っているし、これからも後藤さんと一緒に二人三脚やっていきたいという思いはすごくあります」

後藤至成さん「たかが1杯のコーヒーですけれど、この1杯のコーヒーで元気になってもらったり、癒してもらったり、いろんな味を込めたコーヒーにしたい」

「南阿蘇をコーヒーの里に」かつての先生と教え子の夢は、大きな実を結ぼうとしています。