家族、辞めてもいいですか?_01


【漫画】本編を読む

子どもは親を選べない。「自分の親がよその親と違う」と気づくのはいつごろだろうか。朝起きたら、母親はいない。保育園が一緒の子の家に行って、朝ごはんを食べる。そんな「放置子」のような幼少期を過ごしてきた漫画家・魚田コットンさん(@33kossan33)のコミックエッセイ『家族、辞めてもいいですか?』が注目を集めている。本作に込めた思いを著者に聞いた。

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■「これが当たり前」だと思っていた孤独な日々

子どものころは母親を尊敬していたが、魚田さんの母はまだ保育園児だった娘を置いて家を空けることが多かった。ひとりで母の帰宅を待つ日々のなか、ある日、同じ保育園の子の家に行こうと思いついた。友人の家で「家に誰もいない」と伝えると、朝ごはんを食べさせてくれ、保育園まで連れて行ってくれたという。父親は不在がちで、母親は娘を連れて特定の男性と定期的に会うこともあった。

家族は社会から隔絶されるようにひっそりと暮らしており、当時の魚田さんにとって周囲の大人は「冷たい人と優しい人」の2極化だった。純粋に親を信じていた彼女は、「これがうちの当たり前」だと思い込んでいた。

■結婚を経て気づいた「わが家の異常性」

本作を描いたきっかけは、ブログに綴っていた「母の再婚相手がアウトだった話」が編集者の目に留まったことだ。別作品との兼ね合いから、家族の違和感をテーマにした『うちの家族ってもしかしておかしいですか?』というブログ連載をメインに書籍化が進められた。

いわゆる「毒親」に育てられた環境だが、魚田さんは「うちの親が毒親かと言われると、今でも微妙な気持ちになる」と複雑な心中を明かす。「毒だと思わずとも、少し母と距離を取ろうと思えるようになったのは、結婚して自分の家族ができて、しばらくしたときでした」と振り返る。

■過去を俯瞰して得られた「人への寛容さ」

初めての書籍制作には戸惑いもあった。特に、別雑誌で連載していた性的虐待の記録『母の再婚相手を殺したかった』(竹書房)との差別化には細心の注意を払ったという。「私の半生を描くので重なる部分はありますが、それぞれのテーマは違うつもりで描いています」

自身の心と向き合う作業は、大きな変化をもたらした。「冷静に自分を俯瞰できたおかげか、人に対しても少し寛容になれた気がします。以前の自分は、もっと自分にも他人にも厳しかったので」。小学生で両親が離婚し、その後の再婚相手から性的虐待を受け、男性不信に陥った過去。何度も「家族を辞めたい」と願った魚田さんが、自身の半生を凝縮した渾身の1冊だ。

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