【エリザベス女王杯】レガレイラが圧勝!完全無欠の女王、淀に降り立つ

第50回エリザベス女王杯・レガレイラが1着(c)SANKEI
第50回エリザベス女王杯回顧
「この馬に勝てる牝馬は、今の日本にはいないかもしれない」――今年のエリザベス女王杯の最後の直線、ゴールに向かって疾走するレガレイラの姿を見ていたらそんなことを感じずにはいられなかった。
あまりに鮮やかに、そしてあまりに隙がない走りでレガレイラは女王の座を不動のものにして見せた。
出走馬の半数が重賞勝ち馬とはいえ、GⅠを複数回勝利しているのは彼女だけというメンバー構成になった時点で、レガレイラが主役を張るのは間違いなかった。
それだけにあとはどんな勝ち方を見せるかがこのレースの焦点だったが......そんなファンの問いかけに対し、彼女は完璧な回答を見せた。
秋晴れという言葉がピッタリと来るくらいに晴れ渡ったこの日の京都競馬場。
出走16頭がパドックに現れた中でレガレイラは堂々たる周回を見せていた。480キロの馬体は1年前のエリザベス女王杯、そして前走のオールカマーと比べるとプラス8キロではあるが、その肉体に無駄なところはひとつもない。
すべてしなやかに流れていき、いかにも女王の風格を漂わせていた。ヘンにイレコミ過ぎることもなく、適度な気合いを感じさせながら一歩、また一歩と周回していった。
満員の観客が詰めかけた本馬場入場でも、レガレイラは何も動じない。
あと数分後に迫ったレースを意識しながらの返し馬はスナップが利いた素晴らしいフットワークで駆け抜けていき、直線での切れ味鋭い末脚を想起させるには十分なパフォーマンスとなった。
メンバー構成も、ここまでの臨戦過程もほぼ完璧。これで単勝オッズが2倍を切らなかった(2.3倍)というのが不思議でならないが......識者もファンもどうしても最後までレガレイラを信頼できなかったのが、スタートにあるのは間違いない。
これまでのキャリア10戦、レガレイラが出遅れたのは実に5回。
他にも皐月賞ではスタート直後に他馬と接触し、勝ったとはいえオールカマーのスタートはややアオリ気味で決して褒められたものではなかった。
10戦中8戦で上がり最速を記録するなどその末脚が爆発的なことはわかっているが、それと同じくらいに出遅れるのでは意味がない。そんな不安が最後まで付き纏ったのは想像に難くないだろう。
だが、ゲートが開いた瞬間......レガレイラはすでに飛び出していた。「真の女王」になるためのゴールへと。
抜群の好スタートというわけではなかったが、それでも平均レベルのスタートを切ったレガレイラは隣にいたエリカエクスプレスが武豊の手綱に導かれるように先頭に立つのを見送るかのように中団に。
そのレガレイラを交わしていったのが2番人気のリンクスティップとパラディレーヌの3歳勢、女王をマークするようなポジションに付けたのがダミアン・レーンの乗るカナテープとクリストフ・ルメールが騎乗した桜花賞馬ステレンボッシュ。女王レガレイラをマークするかのようにして第1コーナーを回っていった。
第2コーナーを回って、向こう正面に入るとエリカエクスプレスは少しずつペースを落とし、前半の1000mの通過タイムは59秒9という平均的な流れに。
もともと距離延長は厳しいとされていた馬だけに少しでも流れを落ち着かせたいという武豊の意図が感じられたが、ペースが落ちたことで馬群が密集。
3コーナーを回るころには少々縦長気味だった馬群が前と後ろ、2つのブロックに分かれた。
この時、レガレイラがいたのは2つ目の馬群の前の方。先頭から数えて9番手という位置取り......と、ここまでの位置取りも道中のペースも昨年のこのレースとほぼ同じ。
このままいけば伸びあぐねて5着に終わった昨年の二の舞になるという不安も頭をかすめたが、今年のレガレイラにはそんな不安は全くなかった。
迎えた最後の直線。逃げ粘るエリカエクスプレスを捕まえたのは、パラディレーヌだった。秋華賞でも力強く伸びたその末脚で一足早く、エリカエクスプレスを捕らえて先頭に立ち後続を突き放しにかかったが......それを猛然と追いかけてくる馬がいた。
その馬こそが、レガレイラだった。
内に潜って伸びあぐねた昨年とは異なり、外に出したことで直線では力をフルに出し切る形で猛追。
残り200mを過ぎた辺りではパラディレーヌの方が2馬身ほど前にいたが、差されるのは時間の問題だと多くのファンが悟ったことだろう。それくらいに女王の脚は力強く前を捕らえにかかっていた。
残り100m。ついにレガレイラが前を行くパラディレーヌを捕らえて先頭に。並ぶ間もなく捕らえて抜け出し、さらには突き放す。実力が抜けている馬だからこそできる圧倒的なレース運びを見たファンは誰もがこう思ったことだろう。
「レガレイラに勝てる馬は、この中にいない」と。そしてそれは、間もなく現実のことになった。
ゴール寸前、追いすがるパラディレーヌを突き放し、さらに迫ってくるライラックらの後続馬に決定的な差を付けてレガレイラは先頭のままゴール。
1年前の雪辱を晴らす完全無欠のレース運びで女王の座を不動のものに。ちなみに走破時計の2分11秒0は昨年の自身の走破タイムを0.6秒も上回る。この1年の成長が数字にも表れたと言えるだろう。
「パドック、返し馬から状態の良さを感じていた」と、レース後に鞍上を務めた戸崎圭太が語ったように、今日のレガレイラはまさに完全無欠の状態だったことだろう。
女王が女王としてふさわしい走りを見せ、1年前の雪辱を果たして真の女王となってみせた。
だが、レガレイラの野望はこれで終わりではない。彼女の澄み切った瞳の先には冬の中山のグランプリ、そしてその先の未来のビッグタイトルが映っているに違いない。
■文/福嶌弘
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