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群馬県高崎市の58の小学校が、今春から7時から開門する方針だ。全国の平均開門時間は8時から8時30分で、約1時間早くなる。

高崎市は開門を早くする理由を「仕事の都合で早朝に家を出なければならないが、子どもを自宅に置いておけないので、学校をもう少し早く開門できないかと要望を受けた」とし、共働きやひとり親への支援としている。2月末で希望者は130人。登校した児童の過ごし方は、各校に任せる。

富岡賢治市長は「子育てしながら働く親を支援したい」とコメント。同市は、開門を早くするため校務員に時間外手当として2026年度予算案に約1900万円計上した。

賛成の声もある一方、教員や一部の保護者からは反対の声も上がっている。現在、決定していることは「朝7時に開門する」ということだけなのだ。登校した児童を誰が見守るのかという問題がある。

開門段階で、学校にいるのは校務員のみ。しかし、同市は校務員に、児童を見守ることは求めていないとしている。さらに、教員にも早く登校することは求めていないという。

トラブルが起きた際の想定については「目の前でトラブルが起きていれば、それを見過ごす先生はいないと思います。ただ、そういうケースに備えて先生方に早く来てください、と教育委員会として言っているわけではありません。先生方には、『今までどおり来ていただければ結構です』と伝えてあります」と高崎市教育委員会は回答している。人員についても、登校した児童を見守る配置はしない方針だ。

早く出勤した教員がトラブルを処理することが想定されるが、その際に教員には時間外手当は支払われない。保護者の不安は、児童を見守る人員の不在やトラブルだけでなく、責任の所在にもある。

全群馬教職員組合(全群教)が小学校と特別支援学校の教員約3200人を対象に賛否を問うアンケートをしたところ、約96%が反対という結果になった。また、方針撤回の要求書や署名などを提出したが、現在のところ方針は変わらない。

小1の壁対策を実施している小学校も

小学校の開門を早く求める声は全国に多くある。俗にいう「小1の壁」だ。「小1の壁」とは、小学校に入学する際、環境の変化により保護者が仕事と子育ての両立が難しくなる現象だ。特に、出社時間と登校時間が合わず朝の子どもの居場所がない、帰宅が早くなるなどだ。

全国では保護者の要望に応え、朝7時台に開門している小学校がある。1つは東京都三鷹市だ。三鷹市のケースでは、シルバー人材センターから2人1組で派遣される高齢者が7時半に開門する。1校あたり、5~6人でチームを組みローテーションする。登校した児童は校舎には入れず、シルバー人材の目の届く校庭で過ごす。天気の悪い日は渡り廊下や昇降口など屋根のある場所での待機となる。

けんかの仲裁やけががあった場合は、救急箱での対応を実施。救急車を呼ぶ必要がある場合は、同市の教育委員会の担当者に連絡し、その後、担任や保護者にも連絡がいくシステムだ。

愛知県大府市のケースは、シルバー人材センターから派遣された見守り員3人が7時に体育館を開き、机と椅子を並べて準備。8時まで勉強を手伝ったり、遊んだりして過ごす。2026年からは市立の9小学校へ拡大する。ただし、1学期当たり1人1千円の手数料がかかる。

三鷹市も大府市も、早くから開門するだけでなく、見守る人員が配置されている。保護者の要望もあるだろうが、安全面への課題が残る。校務員や教員への負担を増やしたくないのであれば、見守る人員は外部に委託するしかないだろう。

文/並河悟志 内外タイムス編集部