すでに6月まで満席! 東京の寿司業界に燦然と輝く超新星店が、満を持して5月1日にオープン!

写真拡大 (全11枚)

今回、グルメライター小寺慶子さんがおすすめするのは、5月1日に麻布十番にオープンする寿司屋「みつい」。

教えてくれる人

小寺慶子

肉を糧に生きる肉食系ライターとして、さまざまなレストラン誌やカルチャー誌などに執筆。強靭な胃袋と持ち前の食いしん坊根性を武器に国内外の食べ歩きに励む。趣味は一人焼肉と肉旅(ミートリップ)、酒場で食べ物回文を考えること。「イカも好き、鱚もかい?」

【噂の新店】「みつい」

あらゆる料理ジャンルの中で、ここ数年常に新しい動きを見せているのが寿司。インバウンドの追い風もあり、高級化が進む一方で、地に足のついた仕事ぶりで寿司好きの心をときめかせる職人も増えている。2025年4月のプレオープン時から、多くの人が本格始動を心待ちにしていたのが、麻布十番の「みつい」。銀座の名店で修業を積み、日々心技を磨き続けてきた超実力派のさらなる飛躍の章が、今始まる。

今の寿司業界は“黄金期”、“成熟期”、そして“バブル”と語られることも多いが、同時に一つの過渡期を迎えているようにも見える。米をはじめとする食材の高騰、長引く経済不安などネガティブなことばかり考えていても仕方がない。知恵を生かし、今できることを精一杯やりぬくのだという前向きな姿勢で、寿司の原点を見直す職人が少しずつ増えていることに期待を寄せている寿司好きは少なくないだろう。

店主が修業を積んだ「青空」の大将が、新しい門出を祝して店名をしたためた木札

5月1日に麻布十番にオープンする「みつい」も、そうした職人の心意気を感じられる店の一つ。店主の三井祥さんは、長野県に生まれ育ち、18歳で上京。都内ホテルで和食を学んだ後、銀座「青空」の高橋青空氏の握りに衝撃を受け、その門を叩いた。8年半の修業の日々のことは「人生の糧として心に刻まれています」と振り返る。独立を視野に入れ働いた「鮨祥」では、店の主を任され、技術と柔和な人柄で着実にファンを増やしていった。義理を欠くことなく、真面目に人と仕事に向き合ってきた三井さんの独立を楽しみにしていた常連客も多く、すでに6月までの席は埋まっているが、予約は基本的に1カ月ごとに受け付けるというスタイルも、今のムードに寄り添っているように感じる。

変型カウンターが目を引く清々しい空間。付け台の後ろに炭台を備えたかまどが。旬の食材を炭火で焼き上げる一品料理も楽しみ

真新しいビルのワンフロアに広がる空間はメインカウンターと個室で構成。「お客様には一期一会の時間をゆっくりと過ごしていただきたい」と、一斉スタートや回転制ではないスタイルで営業すると決めた。付け台と変型カウンターの隔たりは極力少なく、天井をやや低めにすることで、自然と親密な空気が生まれる設計に。「前のお店から来ていただいているお客様はもちろん、新しくいらしてくださる方ともコミュニケーションを取っていけたら」と言うように、人懐っこい笑顔で座回しをする姿は、軽やかでじつに清々しい。

店主の三井祥さんと女将の美紀さん。店主とは高校時代の同級生という君波真吾さんは、東京を代表するイタリアン「トラットリア・シチリアーナ・ドンチッチョで働いた経験も

初めて訪れても不思議と気分がなごむ空間には、もう一つ、東京の寿司店では珍しい特徴が。付け台の後ろには炭台を備えたかまどを配置し、シャリもその羽釜で炊き上げる。一品料理をはじめ、旬の食材を炭火で焼き上げるのは、三井さんと同郷で、前職はイタリアンで働いた君波真吾さん。「炭火をうまく取り入れながら、緩急をつけた寿司のコースをお楽しみいただきたいです」と話す。

一品料理にアイデアとセンスが光る!

甘海老の古酒漬け。ねっとりとした旨みが舌を覆う甘海老を泡盛に漬けたもの。ペアリングには女将の美紀さんの故郷である沖縄の古酒が登場

「みつい」で供される27,500円のコースには、つまみが5〜6品、握りは12貫前後が登場。江戸前の仕事を踏襲しながら、食べ手の満足度を引き上げる仕掛けが随所に見られる。例えば、季節の魚介を使ったつまみ。沖縄県の古酒に漬けてねっとりとした甘みを引き出したり、脂ノリのよい魚を炭火で焼き上げたり、テンポよく出されるつまみに心が弾む。

焼き寿司。炭火の薫香を纏ったのどぐろとシャリを少しずつくずして。魚を煮詰めたタレによく絡めるのがおすすめ

お酒好きであれば、ぜひとも7,700円のペアリングを。日本の酒文化を愛する女将の美紀さんと店主が考案した「コースに寄り添う同調マリアージュ」は、泡盛や熟成酒、羽釜で温める“蒸し酒”など、つまみや握りの味の余韻をさらにふくらませてくれる。

職人の目利きと仕事の丁寧さが光る握りが至福の時間を運ぶ!

アオリイカ(27,500円のおまかせコースから)。甘みが強く、しなやかな食感を生かすため無数に包丁を入れる

寿司職人に不可欠なのは魚の目利き。仲卸さんや生産者の方から素晴らしい魚を仕入れさせていただいているので、その魚体を見極めて適正な仕事を施すことが自分の仕事だと思っています」と三井さん。

小肌。魚体に合わせて2〜3段階に分けて塩を当て、酢締めに。爽やかな酸味が口中に広がる。江戸前の丁寧な仕事に心を掴まれる

握りのシャリに使うコメは、店主の地元・長野県の高地栽培のコシヒカリが中心。羽釜でやや硬めに炊き上げるシャリには、酸がおだやかな白酢を加えており、寿司ネタとの一体感や食べ疲れさせないための工夫も。

中トロ。鮪は長年の付き合いがある「やま幸」から仕入れる。上から振る能登の藻塩は粒がやや大きくクリアな旨みが

中トロ、赤身、大トロの順に3貫続けて供する鮪でも、それぞれの部位の味の変化を楽しませる。中でも白眉は、能登の藻塩を振った中トロ。鮪の甘くて上品な脂とすっきりキレのよいシャリが口中ではらりとほどけ、全身が得も言われぬ幸福感に包まれる。

ペアリングの場合、脂ノリがいい魚には蒸し燗を合わせることも。ふっくらと米の旨みがふくらんだ燗酒と中トロの握りは至福の組み合わせ

「日本の食文化を継承したい」という思いが詰まった鯨の握りには熟成させた日本酒を合わせて力強い旨みを、脂がのった鮪には50〜60℃に温めた蒸し燗で味の余韻をふくらませるなど、食べ進めるごとに新しい発見や驚きが。高級路線をひた走る寿司店も多い中で、この価格でコースを組み立てる真心にも頭が下がる思いだ。

穴子。懇意にしている漁師が長崎県・対馬から生きたまま豊洲に運ばれた穴子の小骨をしっかり除き、ふんわりと炊き上げる。やや硬めに炊くシャリとの相性は言わずもがな

店主が尊敬する親方のように、近い将来、日本の寿司業界のトップに君臨することは間違いない。うんちくや堅苦しい話は抜きにして、ただただ幸福な時間に身を預ければ、これからの寿司店の在り方を肌身で感じるはずだ。


<店舗情報>
◆みつい
住所 : 東京都港区麻布十番3-10-2 THE CITY 麻布十番 LIBERTA 5F
TEL : 050-5456-0951

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格は税込。

撮影:菊池陽一郎
取材・文:小寺慶子、食べログマガジン編集部

The post すでに6月まで満席! 東京の寿司業界に燦然と輝く超新星店が、満を持して5月1日にオープン! first appeared on 食べログマガジン.