話題の「5G」をゼロから知っていく本連載。最近ではKDDIが新しい料金プランを発表したり、ドコモがプレサービスを開始したりと、来春のサービス開始に向けて着々と準備が進んでいます。今回は5Gを理解するうえで理解しておきたい「サブ6帯・ミリ波帯」について解説していきます。

 

5Gではこれまでよりも高い周波数帯を使用

「サブ6帯」「ミリ波帯」とは、ずばり5Gで使用される周波数帯のこと。周波数帯については第2回で解説しましたが、電波の通り道のようなもので、この道をデータがいきかい、さまざまなデバイスが通信しています。

 

具体的な数字でいうと、サブ6帯の周波数帯は3.6〜6GHz。「サブ(sub)」には英語で「以下の、未満の」という意味があり、“6GHz以下の周波数帯”なのでこのように呼ばれています。

 

ミリ波帯の周波数帯は、およそ30〜300GHz。そもそも「ミリ波」は、1〜10mmの波長を持つことが名前の由来です。ちなみに、波長が0.1〜1mmの電波を「サブミリ波」と呼びます。

 

従来の3G、4Gでは3.6GHz以下の周波数帯が使われてきたため、5Gではこれまでよりも高い周波数帯が使われることになります。

 

5G通信のカギは、ミリ波帯

でもどうしてサブ6帯とミリ波帯が使用されるのでしょうか? その理由は、それぞれの周波数帯の特徴を見るとわかります。

 

まずサブ6帯のメリットは、既存の技術を応用できること。電波は周波数帯によって異なる特性(伝達できる情報量や届く距離など)を持ち、それぞれに合った運用をする必要がありますが、サブ6帯はこれまでの4Gなどと周波数帯が近く、特性にも大きな差がありません。そのため、運用にかかわる技術的課題を解決しやすいのです。

 

いっぽうで、すでに利用が進んでいるために広い帯域幅を確保できない、というデメリットがあります(6GHz以上は衛星や放送事業などに使われています)。帯域幅とは周波数帯の幅のこと。幅が広いほどたくさんのデータが行き来でき、通信できる容量が増え、速度も速くなります。

 

その帯域幅に強みを持つのがミリ波帯です。まだ利用が進んでいないため、広い周波数帯を確保できます。その広さはなんとサブ6帯の4倍。5Gの高速・大容量通信を実現するには、このミリ波帯の活用が欠かせません。しかし、ミリ波帯にも弱点があります。それは、建物などに遮られやすく、遠くまで電波が届きにくいこと。利用が進んでいないために技術的な難易度も高く、運用が難しいとされています。

 

ではミリ波帯をどうやって運用したらいいの? という話は長くなるので持ち越し。次回は、高速・大容量通信を可能にする「Massive MIMO」「ビームフォーミング」という技術について解説します。

 

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