電力の使用データが「空き家対策」の秘策になる日
住民約60人にアンケートを実施。「必ず逃げようと思う」と回答した人数は、単なる避難勧告だけを提供する場合は12人。避難勧告に加え、直近の数時間で何人の近隣住民が避難しているかの情報を提供する場合には30人に上った。
実際にスマートメーターは、30分ごとに電力使用量を計測、通知できる。避難した住宅では急激に電力使用量が落ちることで「避難した」と判断する仕組みだ。今回はアンケートに留まっており、回答人数も少ないが、さらに活用と精緻化が進めば、有益な災害対策ツールになる可能性は十分にある。
また、住民の在宅率を地域別に可視化(見える化)した。避難の優先順位付けも可能になる。上流で河川の氾濫が起きた際には、避難率が低い住宅エリアや支援が必要な避難者が多い地域などに広報車の出動や防災無線を優先できる。実証実験では、職員の業務効率化と共助により、荒川が氾濫した場合の想定被害者数を約48%抑える試算も出した。
空き家対策では、これまで実施していた人手による現地調査とスマートメーターの統計データから推定した空き家調査の比較を検証した。既存調査で約3600件だった空き家は、電力データを活用しても約3500件と近しい結果を確認。スマートメーターを活用することで調査期間の短縮化やコストの低減などにつながるメリットがある。一方、個人情報保護法の観点から電力データを活用した空き家の個人単位の特定は認められておらず、課題も残った。
グリッドデータバンク・ラボは電力データという広域にまたがるビッグデータを活用し新事業を創出するのが目的。18年に設立し、現在60企業・団体が参画している。平井崇夫チーフディレクターは「企業や自治体の持つデータと電力データを組み合わせて社会課題の解決や新しいビジネスモデルの創出に役立てたい」としている。
