【井上 久男】「日本車が世界一優秀」はとっくに幻想…中国を訪れてわかった”日本人が認めたがらない”残酷な真実

写真拡大 (全3枚)

'25年に中国から海外に輸出された自動車は前年比21.1%増の約710万台となった。'23年に日本を追い抜き、世界一の自動車輸出国となって以来、3年連続でトップの座を維持している。

輸出の内訳は、内燃機関車が448万台と過半を占めるものの、前年比では2%減少し、EVが66.7%増の約165万台、プラグインハイブリッド車が3.3倍の約97万台となり、エコカーの伸びが大きい。中国自動車メーカーの中でも群を抜いて成長しているのが通信大手のファーウェイだ。

今の中国車はここまで進化していた

「我々の事業の中で最も成長しているのが、'19年に参入したEVを中心とする自動車領域。'24年の売上高は前年比470%増となりました」

'25年7月、日中経済協会が実施した視察会で、深圳にあるファーウェイ本社を訪れた際に案内してくれた同社の担当者はこう説明した。

ファーウェイのEV事業では、車両や蓄電池などは協業する他の自動車メーカーに委託。その代わり、車載OS(基本ソフト)、自動車向けクラウドシステム、自動運転システム、モーター制御、カメラなど、自社が得意とするソフトウェア領域を強みとしたブランドを展開している。

筆者は、実際にファーウェイのショールームで車を直接見て、説明を受けた。そこには、独ベンツの最高級車「マイバッハ」を意識した日本円で2000万円程度する「尊界」や、若者をターゲットにした500万円ほどの「智界」などの車が置かれていた。

車内には映画が見られるミニシアター機能が付いている。これ自体、今の中国車では珍しいことではない。さらに、「スマート照明システム」が採用され、夜間、横断歩道のない道で走行中に道を渡ろうとする歩行者がいれば、ライトから照射された光が横断歩道を形作るという。

「スマホに4つの車輪が付いている」

深圳空港では、同社の自動パーキングシステムがすでに実用化されており、車が無人で駐車してくれる。

ファーウェイの担当者は「大型スマートフォンに4つの車輪が付いていると思ってください」と説明した。

中国の自動車産業に詳しいみずほ銀行ビジネスソリューション部の湯進・上席主任研究員はこう解説する。

「中国のEVは国家政策として進められてきましたが、'21年頃からフェーズが変わり、ハイエンド領域の知能化が一気に加速しています。その知能化に関して、最も進んだ技術を持っているのがファーウェイでしょう」

中国EVは電池戦略から知能化戦略の強化にシフトしているということだ。

【後編記事】『トヨタすら中国車には敵わない「哀しすぎる理由」日本のお家芸“自動車産業”、すでに周回遅れだった』へつづく。

「週刊現代」2026年3月30日号より

【つづきを読む】トヨタすら中国車には敵わない「哀しすぎる理由」日本のお家芸”自動車産業”、すでに周回遅れだった