テレビ信州

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特集は信州の特産品でもある日本酒。その魅力を海外に伝えようと奮闘する香港出身の営業マンに密着しました。

4つの言語を操る男性には、日本酒の未来を変えたいという“情熱”がありました。

アメリカ・カリフォルニア州。

自然食品やオーガニック製品などを一堂に集めた世界最大級の展示商談会にその姿はあった。

ヒューゴ・チャンさん 32歳。香港出身。諏訪市に本社を置く日本酒メーカー、宮坂醸造で2023年から海外営業を担当している。

ヒューゴさん
「海外の人でもこれだけ頑張れるんだっていう所を(見せて)見本になったらいいなと思って」

ヒューゴさんの強みは、何といってもその語学力。

日本語、英語はもちろん、中国全土で使われる北京語、さらに香港などで使われる広東語も堪能だ。

Q.日本に来て感動したことを中国語(北京語)で。
「最も感動したのは、日本に来て、実はまだこんなに多くの人々が日本酒にこれほどの情熱を持っていることを知ったことです」

ここ数年は、日本酒に興味のある海外の販売代理店が富士見町の酒蔵まで見学に訪れることも多い。

そんな時はまさにヒューゴさんの本領発揮。

ヒューゴさん
「使用している酒米の80%は長野県産で、兵庫県産は20%のみです。そのほとんどが山田錦で、ごくわずかですが愛山(という酒米)も使用しています」

1993年、香港生まれ。両親が親日家だったこともあり幼いころから年に1度は日本を訪れていた。

その後、12歳でイギリスに留学。

大学卒業後は香港で新聞記者を経験、その後、イギリスの投資会社でも働いていた。

日本酒との出会いはおよそ8年前…、24歳の時。イギリスで友人に誘われて、日本酒のセミナーに参加したことがきっかけだった。

ヒューゴさん
「(セミナー行って)そこからもうドハマリして。これだけおいしいものがあるんだとびっくりした」

そこから日本語を本格的に学び、香港で日本酒バーを営む友人の紹介で、3年前、宮坂醸造に入社、海外営業部に配属された。

今は、1年のほぼ半分、欧米などを飛び回り、商談会などで商品を売り込んでいる。

ヒューゴさん
「私も考えたことない発想、アイディア質問とか来るんですよね。(例えば)フランス人としゃべるときにフランスの人ってこういう感じで日本酒見てるんだ」

この日、ヒューゴさんは朝早くから仕込み作業。

出来上がった麹を室から出す、「出麹」と呼ばれる重要な工程だ。室温は30度を超える。

ヒューゴさん
「外は寒いのでマイナス8度で、結構風邪をひかないように毎日頑張ってます」

Q.なぜ仕込み作業を?
「人に説明するときに自分が全く(仕込みを)経験したことなかったら、説明側だとしても説得力ないなと思って」

仲間とのコミュニケーションも欠かさない。

同僚スタッフ
「われわれどうしても日本人って和を重んじるあまり前に出られない時もある、けどそれを一言で破ってくれることもあって。かたい殻を破ってくれる作用もあるので本当に勉強になる」

ヒューゴさん
「恥ずかしい」

常に考えているのは、“どうすれば日本酒の魅力をもっと広めることができるのか”。

日本酒業界は今、転換期を迎えている。
成人1人当たりが消費する日本酒を含む清酒の量は年々減少傾向。酒米の高騰による日本酒の値上がりも背景に国内での消費は伸び悩んでいる。

そんな中、日本酒メーカーは海外に目を向け、活路を見出そうとしている。実際、県内からの清酒の輸出額は10年で、およそ1.7倍。

宮坂醸造でも年々、海外展開に力を入れていて、今では全体の13%が輸出による売り上げだ。

宮坂醸造 宮坂直孝 社長
「どういう層の客をターゲットにしていくのか、あるいは情報発信をどうするか、販売チャネル(方法)をどうするか、本当に真剣に考えないとこれは売り上げが上がっててこないと思う」

ヒューゴさんなど社内の有志5人は今年、クラウドファンディングを募り、特殊な酒米を使った新たな日本酒を開発した。

ヒューゴさん
「若いファンを作るっていうのが結構大変なこと。今の状況を打破するためには新しいものをやらなきゃいけない」

最後にこんな質問を。
あなたにとって日本酒とは?

ヒューゴさん
「パッション(情熱)ですかね。今の仕事をすごく楽しんでいる。その理由はやっぱパッションがあるから、情熱があっていい酒を作りたい、自分だけじゃないチームで作ってるお酒をどうやって人にそれアピールできるかっていう…」

日本酒への情熱は…冷めない。