子どもの友だちが家の物を盗んで帰った…親に言う?それとも出禁?SNSで激論 弁護士が示す冷静な対処法
遊びに来た子どもの友だちが、自宅から物を盗んで行った。相手の親に伝えるべきか──。親が直面した悩みがSNSのThreadsに投稿され、さまざまな意見が寄せられている。
みなさんはどう考えるだろうか。西口竜司弁護士は結論として「客観的な事実を伝えたほうがよい」とアドバイスする。
伝えなければ、子どもが行為の是非を学ぶ機会を失いかねない。一方で、伝え方を誤れば紛争の火種にもなりうる。どんなことに注意すべきか聞いた。
●前にもシール帳の紛失が…監視カメラの映像に「バッグに詰める様子」
投稿者によると、室内に設置した監視カメラを確認していたところ、子どもが席を外したタイミングで、友だちが複数のお菓子を自分のバッグに詰める様子が映っていたという。
以前にも、この友だちが遊びに来た際に、子どものシール帳がなくなる出来事があり、注意していた矢先のことだったそうだ。
投稿者は対応に悩み、友だちの親に事実を伝えるべきかどうか、判断に迷っている。
子ども同士のトラブルは、法的な枠組みだけでシンプルに解決できないケースも多い。ことを荒立てたくないという投稿者の心情もうかがえる。
●「私が親なら教えてほしい」「出禁に」意見さまざま
SNS上で目立ったのは、「自分なら伝えてほしい」という意見だ。
「自分の子どもがもし同じことをしていたら、教えてほしい。動画スクショした証拠つきで」
「親御さんに報告したほうがそのお友だちのためにもなります」
一方で、撮影されていたことを知った相手の親が逆上する可能性もあり、監視カメラの映像には触れないほうがよいという意見もあった。
また、「出禁」にして、今後は関わり合いを持たない対応をすすめる声も。
投稿者と同じように「子どもの友だちの窃盗」を知ってしまった場合、相手の親に伝えるべきなのだろうか。
●解決の前提は「まず目的をはっきりとさせること」
──自宅に遊びに来た子どもの友だちが、お菓子やおもちゃを盗んで行った場合、親はどう対応すべきでしょうか。
非常に難しい問題ですね。あくまでも一般論になりますが、お話します。
まず、今回想定しているのは、1人で友だちの家に遊びに行ける低学年から中学年程度の小学生です。この年齢の子どもは刑事責任を問われませんが、行為そのものが許されるわけではありません。
目的は、「処罰」を与えることではなく、再発防止と子どもの健全な成長にあることを確認しましょう。その前提に立って、対応を考えることが重要です。
●結論は「事実は伝えたほうが望ましい」
──友だちの親に、監視カメラの映像とともに事実を伝えるべきでしょうか。
結論から言えば、「事実を伝えること」は望ましいと考えます。
事実を知ることで、相手の親が家庭内で指導できるようになります。隠したままにすると、同じ行為が別の家庭で繰り返されるおそれもあります。
ただし、監視カメラ映像は最初から出すべきではありません。
いきなり映像を見せると、相手の親が感情的になり、問題の焦点が「子どもの窃盗」から「撮影の是非」にすり替わってしまうリスクがあります。
──どのように伝えればよいでしょうか。
まずは口頭で、事実だけを伝えるのがよいでしょう。たとえば「遊びに来た後、家のお菓子がなくなっていることに気づきました」といったかたちです。
それでも「ありえない」と否定された場合には、必要に応じて「安全管理の目的で設置しているカメラに、持ち帰る様子が映っていました」と説明するのが現実的です。
●深刻なトラブルに発展させないための注意点
──注意点はないでしょうか。
次のような注意点が考えられます。参考にしてください。
(1)責めない・断定しない・感情的にならず事実を中心に
「盗みましたよね?」という言い方はNGです。怒りや不安があっても、感情的になると対立を招きます。日時や状況など、客観的な事実に絞って伝えることが大事です。
(2)目的をはっきりさせる
「弁償してほしい」「責任を追及したい」という姿勢ではなく、「子どものために共有したい」「再発を防ぎたい」という目的をはっきり示しましょう。なお、弁償を求めること自体は可能ですが、今回は紛争を防ぐ観点から、その点の解説は割愛します。
(3)深追いしない
相手の親が真摯に対応する姿勢を見せたら、それ以上は踏み込まないことです。続けすぎると、大人同士のトラブルに発展しかねません。
●「伝えない」という選択肢は間違いか
──「伝えたほうが望ましい」とのことでしたが、「伝えない」という選択は間違いでしょうか。
いいえ、必ずしも間違いではありません。今後は家に招かない、子ども同士の付き合いを徐々に減らすといった対応も、現実的な選択肢です。
ただし、その場合、相手の子どもが「なぜいけなかったのか」を学ぶ機会を失う可能性があることは理解しておく必要があります。
結局のところ、冷静に対処することが何より大切です。本当に難しい問題だと思いますし、大人側も日頃から気を付けたいですね。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

