木村拓哉と常盤貴子の主演コンビ…″ドラマ3賢人″が語り尽くす「歴代最強の『日曜劇場』」ランキング

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名作ばかりの『日曜劇場

1956年にスタートし、現存するドラマ枠の中で最も長い歴史をもつTBSの『日曜劇場』。毎週日曜日の夜9時から放送されているこの枠からは、最高視聴率40%を超えるような国民的ドラマが数多く生まれてきた。現在放送中の『リブート』も初回視聴率13.3%を記録するなど、テレビの凋落が叫ばれる今なお健闘を続けている。

今回、FRIDAYはテレビプロデューサーの鎮目(しずめ)博道氏、テレビコラムニストの桧山珠美氏、フリーライターの田幸和歌子氏を招き、座談会を開催。テレビドラマに精通する3賢人が選んだ、歴代最強の『日曜劇場』を紹介しよう。

鎮目 名作揃いなので悩まされましたが、私のベスト『ビューティフルライフ〜ふたりでいた日々〜』(’00年)です。うだつの上がらない美容師と難病に侵されたヒロインの恋愛を描いた、日曜劇場らしくないラブロマンスです。今回改めて観直しましたが、脚本も演技も編集も、まったく隙(すき)がない。

田幸 主演の木村拓哉(53)も脚本を手掛けた北川悦吏子(64)も、ノリにノっている時期でしたよね。TBSにも潤沢な予算があった。役者とスタッフ、それにテレビ局のピークが重なった作品ですよね。平均視聴率は32.3%、最終回は41.3%という驚異的な数字を叩き出しました。

鎮目 常盤貴子(53)演じるヒロインは車いすで生活しています。そのヒロインの目線から画面を映す際、カメラの位置が車いすに座ったときと同じ高さに合わせられているんですよね。こうしたカメラワーク等の細かい部分にもこだわりが感じられる。ほかにも、「これ、どうやって撮ったんだ」というカットが多くて、観ていてワクワクします。

NHKを超えた大河ドラマ

桧山 私は『JIN−仁−』(’09年)を推しますね。日曜劇場は幅広いジャンルに挑戦してきましたが、時代劇には踏み込めていなかった。NHK大河ドラマが時代劇の王者でしたからね。NHK一強の中、『JIN−仁−』でド真ん中の時代劇に挑戦し、それが見事に成功しました。原作を改変して失敗するドラマが多い中、なるべく原作に忠実であろうとしたからでしょう。主演の大沢たかお(58)や綾瀬はるか(40)など、役者の顔ぶれも申し分ない。″NHKを超えた大河ドラマ″だと思います。

田幸 『JIN−仁−』の脚本を書いた森下佳子(55)は、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』も担当されていますよね。『JIN−仁−』は医療ドラマと時代劇という異色のジャンルを掛け合わせたと同時に、吉原の遊郭での「性搾取」というテーマにも踏み込んでいました。後の『べらぼう』のルーツが、すでに『JIN−仁−』の中に詰まっているように思えますね。

桧山 『JIN−仁−』が放送された’09年当時は、「性搾取」の構造にここまで踏み込んで描くドラマはけっして多くなかった。そのテーマを、男性社会を描くドラマが多い日曜劇場でやり切ったのは、すごいと思います。

田幸 私は『海に眠るダイヤモンド』(’24年)を強く推します。戦後の軍艦島(端島・長崎県)と現代の東京を行き来しながら、それぞれの場所で生きる人々の生活や、時を超えた家族の物語を描き出した作品です。主演の神木隆之介(32)は、戦後の軍艦島で生きる青年と現代で生きるホストという一人二役を見事にこなしています。『海に眠るダイヤモンド』を経て、神木の俳優としての評価も上がりました。従来の日曜劇場とは違い、市井(しせい)の人々の生活や空気のようなものを描き出していて新鮮でした。

鎮目 テレビマンの目線でいえば、堺雅人(52)主演の『半沢直樹』(’13年)以降の日曜劇場では″寄り″の画がすごく増えたんです。顔のドアップと共に、一気にセリフを畳みかけるという感じですね。しかし、『海に眠るダイヤモンド』では、舞台となる軍艦島の″引き″の画が多いんです。いろんな場所で撮影した映像のパーツを組み合わせて、あの軍艦島の世界を作り上げているんですよね。最新の技術とアナログな手法が上手く組み合わされています。

桧山 その『半沢直樹』ですが、最高視聴率42.2%を記録しています。日曜劇場史上最も高い数字です。話題性も過去最高でしょうね。

田幸 歌舞伎役者や舞台俳優など、ドラマ畑とは違う業界からキャスティングをしていたのも印象的でした。ただ、あまりにヒットしすぎて、その後の日曜劇場では『半沢直樹』のような作品が量産されてしまった。

鎮目 顔のドアップや長ゼリフ、カメラワーク含めて、一つの″型″ができてしまい、みんながそれに追随してしまいましたよね。

私は木村拓哉主演の『華麗なる一族』(’07年)も好きですね。財閥の一族を舞台に、日曜劇場の得意技である権力闘争やそれに伴う主人公の苦悩が描かれている。しかし一方、後の『半沢直樹』につながるような「わかりやすさ」や長ゼリフが目立ちますね。

桧山 本来、ドラマには行間があるべきだと思うんです。すべてを説明せずに、視聴者が何かを考えたり感じたりする余白を残す作品が昔は多かった。でも『半沢直樹』は、良い意味でも悪い意味でも余白がない。わかりやすい勧善懲悪の構図ですべてが進んでいきます。その後の作品を似たり寄ったりのものにしてしまったという点を考えれば、″功罪相半ばする″作品でしょうね。

『FRIDAY』2026年3月27・4月3日合併号より