もし1994年上場時に「ソフトバンクG株」を買っていたら…32年後の〈衝撃の資産額〉【FPが試算】
「株式投資に興味はあるけれど、どの銘柄を買えばいいのかわからない……」と悩んでいる人は多いはずです。そのような場合、「経営者」に注目して投資する方法も有力な選択肢の一つです。本記事では、1994年の上場時にソフトバンク(当時)の株式を購入した場合、現在の資産額がいくらになっているのかをFPが試算します。
通信会社からグローバル投資会社へ。変貌を遂げた「ソフトバンクG」の全貌
ソフトバンクグループは、1981年に孫正義氏が創業した、日本を代表するグローバル投資会社です。創業当初の社名は「株式会社日本ソフトバンク」で、コンピュータ・ソフトウェアの流通や出版事業を中心に手がけていました。
1994年7月22日には、日本証券業協会の店頭市場(当時)に株式を公開。上場によって調達した200億円を原資に、米国企業を次々と買収しました。1996年には、米国Yahoo! Inc.との共同出資により日本法人ヤフー株式会社を設立し、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を立ち上げました。
その後も、2000年には「アリババグループ」へ出資、2005年にはプロ野球球団「福岡ダイエーホークス」を買収、2006年には「ボーダフォン日本法人」を買収して通信事業へ参入しました。さらに2016年には、英国の半導体設計大手「アーム社」を買収するなど、大胆な投資戦略で事業領域を拡大してきました。
現在のソフトバンクグループは、通信事業を基盤としつつ、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じて世界のAI関連企業やテクノロジー企業への投資を中心とした「投資会社」としての側面が強くなっています。そして、孫正義氏が掲げる「情報革命で人々を幸せに」という経営理念のもと、常に次の時代を見据えた投資を続けています。
1,000株が32年で「約36万株」に。株式分割の仕組みと保有株の変化
資産額のシミュレーションの前に、「株式分割」について触れておきます。
株式分割とは、すでに発行されている株式を一定の割合で分割し、発行済株式総数を増やすことを指します。ただし、分割時点での企業の資産価値は変わらないため、株価は分割比率に応じて調整されます。たとえば、「1対3」の株式分割が行われた場合、株価は3分の1になります。
株価が低くなることで買いやすくなるため、株主数の増加や、売買の活性化につながる効果も期待されます。
ソフトバンクグループは、1994年の上場以降、これまで計9回の株式分割を実施しています。仮に上場時に最低単元の1,000株(当時)を保有していた場合、現在は359,496株、つまり約36万株を保有している計算になります。
■ソフトバンクGの「分割比率」と「保有株の変化」
・1995年5月「1株→1.4株」:1,400株
・1995年11月「1株→1.4株」:1,960株
・1996年5月「1株→1.4株」:2,744株
・1996年11月「1株→1.4株」:3,841株
・1997年5月「1株→1.3株」:4,993株
・2000年6月「1株→3株」:14,979株
・2006年1月「1株→3株」:44,937株
・2019年6月「1株→2株」:89,874株
・2026年1月「1株→4株」:359,496株
※ 便宜上、1株未満を切り捨てて計算しています
続いて、ソフトバンクグループの株価の推移をチャートで確認します。
【試算】1,890万円が「約15.6億円」に。数々の荒波を越えて、資産は32年で約83倍
1994年の上場から2026年までのソフトバンクグループ(銘柄コード:9984)の年足チャートを、「株探」のサイトで確認したのが次の画像です(株式分割を考慮)。
■ソフトバンクGの年足チャート(1994年〜2026年) (出典:株探)
1994年7月23日の日本経済新聞の報道によると、上場日(1994年7月22日)の初値は18,900円でした。
これを株式分割を考慮した現在ベースに修正すると、18,900円を累積分割比率の359.496で割った52円になります。チャートでは左端が1994年に該当し、ローソク足が判別できないほど低水準で推移していることがわかります。
ちなみに、1999年から2000年にかけてローソク足が大きく伸びている箇所が、ITバブルの絶頂期とその崩壊の時期に当たります。当時は、光通信やヤフーなどのIT関連株が一斉に売られました。ソフトバンクグループの株価も、当時の高値から90%近く下落しました。
しかし、その後、ソフトバンクグループの株価はITバブル期の高値を更新しました。2025年には一時7,000円に迫る場面もありましたが、2026年は4,000円台で推移しています(2026年2月20日時点)。
株式分割を踏まえ、2026年2月20日時点でのソフトバンクグループ株の評価額を算出すると、次のようになります。
【試算結果】
・株式分割を考慮した上場日の初値:52円(1994年7月22日)
・現在の株価:4,329円(2026年2月20日終値)
・現在の保有株数:359,496株
・現在の資産額:15億5,626万円
株価は52円から4,329円へと大幅に上昇し、約83倍に成長しました。もし上場日(1994年7月22日)の初値18,900円(株式分割を考慮した場合は52円)で1,000株を購入していた場合、資産も1,890万円から約15.6億円(15億5,626万円)へ拡大している計算になります。
さらに、ソフトバンクグループは、2026年3月期に1株あたり11円の配当を予定しています。そのため、現在359,496株を保有している場合、配当金だけで年間約395万円(税引前)を受け取れる試算になります。
ソフトバンクグループへの投資から学ぶ「株式投資の本質」
ソフトバンクグループの株式を上場時に購入するには、1,890万円(=18,900円×1,000株)が必要だったことを踏まえると、今回のシミュレーションはやや非現実的かもしれません。しかも、2000年のITバブル崩壊時には株価が高値から約90%下落しており、上場時から現在まで長期保有している個人投資家は決して多くはないでしょう。
それでも、ソフトバンクグループはITバブル崩壊後も、創業者・孫正義氏の強いリーダーシップのもとで事業を拡大。
2001年にはADSLを活用したブロードバンドサービス「Yahoo! BB」の提供を開始し、2004年には日本テレコムを子会社化しました。さらに、2008年には日本で初めて「iPhone 3G」を発売するなど、通信事業者として飛躍的な成長を遂げています。こうした成長過程で株式を購入していた場合でも、その後の株価は20倍以上に上昇しています。
投資に「たられば」は禁物です。
とはいえ、株式投資では、孫正義氏のように明確なビジョンを掲げ、時代の変化を先読みしながら大胆な意思決定を行う経営者に注目して銘柄を選ぶのも有効です。経営者が発信するメッセージや戦略から企業の将来性を読み解き、株式投資を行うヒントにしてください。
ファイナンシャルプランナー
近藤 章仁
〈参考資料〉
・ソフトバンクグループの歩み
・日本経済新聞(1994年7月23日)
