AI機能は素晴らしいけど…Google Pixel 10 Pro Foldが示す折りたたみスマホのあり方
Google(グーグル)Pixelの折りたたみスマートフォンとして3モデル目となるPixel 10 Pro Fold。Pixel 10シリーズのAI性能に加えて、デバイスの耐久性や防塵・防水性能などハードウェア面の強化もされており、折りたたみ型としてのアップデートを果たしているようです。
このPixel 10 Pro Foldを米Gizmodo編集部が実際に触ってレビューしています。
もしSamsung(サムスン)のGalaxy Z Fold 7が存在しなかったら、1,800ドル(日本価格は26万7500円から)の新型折りたたみスマートフォンPixel 10 Pro Foldは、十分勝負ができたと思います。
しかし、Samsungの完成度を知ってしまった今では、どうしても見劣りしてしまう…GoogleのAIである進化したGeminiを搭載しても、Googleの第3世代折りたたみスマホは「悪くないけど決定打に欠ける」という印象です。
そうなんです。Pixel 10 Pro Foldは折りたたみスマホとして悪くないんです。1つ前のPixel 9 Pro Foldと比べると、パフォーマンスやバッテリー性能、耐久性などが着実に向上していますしね。
それでも、薄型軽量化を果たしたGalaxy Z Fold 7と並べてしまうと、その重厚なボディがどうにも時代遅れに感じられます。Galaxy Z Fold 7が“未来”を体現しているのに対し、Pixel 10 Pro Foldは「AIで新しさを見せよう」としすぎて、ユーザーが本当に求めている“ハードウェアの進化”を見落としているように思えます。
既視感はあるけど完成度の高いデザイン
Pixel 10 Pro Foldを手に取った瞬間、まず思ったのは「これ、Pixel 9 Pro Foldとほとんど同じじゃない?」ということ。
実際、カバーディスプレイは6.3インチから6.4インチと本当にちょっとだけ大きくなったくらいで、手に持ったデザインの印象はほとんど変わりません。とはいえ、アルミフレームやボタンの押し心地など、全体的な作りは確実に洗練されていて、質感はハイエンドそのものといえます。
カラーは落ち着いた紫がかったグレーの「Moonstone」と、柔らかなイエローの「Jade」の2色展開。個人的にMoonstoneの控えめな紫は高級感が演出されていて好きです。
しかし、重さは258gと重め。215gのZ Fold 7と比べると、やはり手にずっしりきますね。それでも手に取ると安心感がありますし、ケースをつけると手になじみやすく感じました。
耐久性と使い勝手
Pixel 10 Pro Foldでは、見た目ではわかりにくい部分も進化しています。
まず、ヒンジ構造がギアレス設計になったことでよりスムーズな開閉が可能になりました。
さらにIP68準拠の防塵・防水性能に。これはZ Fold 7のIP48と比較しても上回っている点です。これにより、Pixelの折りたたみスマホとして初めて「完全防塵」かつ「一定時間の水没にも耐える」耐久性となりました。
内側の8インチ「Super Actua Flexディスプレイ」は、超薄型ガラスと二層フィルムで補強され、落下にも強くなっています。このように耐久性はたしかに進化を感じますね。
地味にうれしいのが、新しく搭載されたマグネット式ワイヤレス充電「Pixelsnap」。Apple(アップル)のMagSafeのようにピタッと着けられ、純正スタンドに置けばディスプレイを開いたまま動画視聴などが可能です。ベッドでくつろぎながらサブスクやYouTube動画を見るのにちょうどいいんですよね。ちなみにケーブルなら30分で約50%充電できる高速仕様ですが、別売りのACアダプタが必要なので、そこはご注意を。
こうしたアップデートにより進化を感じますが、やはりZ Fold 7を並べるとPixelのほうが厚くて重かったり、画面の折り目が目立ったりといった部分が気になります。
ウリのカメラもAI特化に
「Pixelといえばカメラ」というイメージを持つ人は多いと思います。実際カメラ性能はいいですしね。ただ、今回のPixel 10 Pro Foldでは、その看板に少し陰りが見えるように思えます。
10 Pro Foldのカメラ構成は、48MPの広角、10.5MPのウルトラワイド、10.8MPで光学5倍ズームの望遠と、スペック上は十分高性能です。ですが、実際に撮影してみると、細部が甘く、肌色も微妙にビビッドだったりします。
暗いところでは、黒が青や紫に滲んで、夜空が“デジタルな青”といった感じに見えることもありました。少しでもズームして撮ると一気に鮮明さがなくなるのも気になりますね。
Googleによれば、新しいTensor G5チップで画像処理が進化しているとのことですが、AI補正が過剰になって、現実の風景にさまざまなフィルターがかかっている印象ですね。思い出補正のような。
「一緒に写る」や「ベストテイク」といったAIカメラ機能も試しました。どれも面白いと感じる一方で、「これ本当に必要かな?」とも思ってしまいますね。便利ではあります。ただ、便利すぎるがゆえに、写真の“リアルさ”が少し失われているように感じたわけです。
時代に即しているといえばたしかにそう。撮影と同時に加工ができて、すぐに拡散できますしね。
ですが、AIで実際に存在しない人を生成したり、ズームしたら実際には存在しないディテールを作り出したり、これが本当に私たちの求めたカメラなのか、議論すべきだとは思います。
リアルに写し出すことと、理想を形作ることと、どちらを求めるのかといった話ともいえるかもしれません。個人的に、私が定義する写真というものが、Googleのカメラとはズレてきているな、と思ったわけです。
パフォーマンスとAI機能
先ほどもちらっと言及しましたが、Pixel 10 Pro FoldにはTensor G5チップが搭載されていて、これはGoogleがAI処理を重視して設計した独自のSoCです。
このTensor G5は、基本的な操作や日常使いでは十分な性能ですが、Snapdragon 8 EliteやApple A19チップに比べると遅れを取っているのが現状です。Geekbench 6のベンチマーク上では、Snapdragon搭載スマホと比較してシングルコアで約40%、iPhone 17シリーズとは約75%の差があります。
たとえば『原神』や『Fortnite』などのゲームをプレイしたり、動画編集を行なう場合、この差は特に顕著です。いずれの使い方でもZ Fold 7の方が優れたパフォーマンスを発揮します。
メモリは16GBであり、Z Fold 7の12GBよりも上ですが、ストレージが256GBからというのは、価格を考えるとやや物足りないところ。やはり512GBは欲しいですね。
Googleが力を入れるAI機能では、「Gemini Live」と「マジックサジェスト」が目玉。Tensor G5チップはAIに最適化された設計とのことですし、特にこれらの機能を最大限発揮するために作られたそうですからね。
アプリ操作中に文脈を理解して提案をするなど、未来的な要素を感じさせますが、実際に使ってみて「スマホ体験を劇的に変える」ほどではありません。これらがまだまだ開発途中といった感じで、動作が安定していないこともありますが。
「AIに任せてスマホの操作を減らす」。そんな理想は10年以上前から語られていますし、そうなる未来を想像すると期待は膨らみます。しかし、実際にはまだその完成形は実現できていませんし、ユーザーからしても「これまでのスマホ操作」という習慣を変える難しさもあります。
たしかに現在さまざまなAI機能が出てきていますが、これらと実際のパフォーマンスやユーザーの慣れを加味すると「理想と現実のギャップ」を感じさせます。機能は多彩ですが、それをすべて理解して使いこなさないと価値が見えづらいわけです。AI機能のよほどの興味がなければ、それだけでこの折りたたみスマホを選ぶ理由にはならないかな、と思ってしまいますね。
AI全振り折りたたみスマホという未来
本のように開く折りたたみスマホのハードルは、今年SamsungのGalaxy Z Fold 7によって引き上げられました。ほかの折りたたみスマホが勝負するには、より一層デザインを革新すると同時に、最高の体験を生み出す必要があります。
Pixel 10 Pro Foldは、Z Fold 7と比べると耐久性は上回っていますが、全体的な完成度はやはり差があるように感じます。GeminiをはじめとするAI機能が画期的な体験となっていれば、状況はまた違ったでしょう。将来的にそうなるかもしれませんが、そうではないのが現状です。
Pixel 10 Pro FoldがGalaxy Z Fold 7に確実に勝っている機能は、バッテリー性能でしょう。Z Fold 7の4,400mAhに対し、10 Pro Foldは5,015mAhのバッテリーを搭載しています。実際に12時間ほど使っても25〜30%の残量があり、充電を心配する場面はありませんでした。これは厚みのあるボディの副産物ともいえますが、実用面で確かな強みです。
Pixel 10 Pro FoldはAIに特化した折りたたみスマホとしての特色はありますが、先述のように使いやすさや仕上がりを重視するなら、やはりSamsungに軍配が上がります。Googleが思い描く次世代のスマホ体験は、まだ先のことになりそうです。
