メーガン妃は「Are you OK?」の言葉に救われていた(画像は『The Duke and Duchess of Sussex 2019年9月25日付Instagram「Ladies who launch!」(Photo (C) PA images / Sussex Royal)』のスクリーンショット)

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今月25日、メーガン妃が『The New York Times』への寄稿文のなかで夏に第2子を流産していたことを告白した。極めてパーソナルな体験を公にした妃に対して「あれほど“プライバシー”って騒いでた人が今更なに?」「やっぱりスポットライトが諦められないのか」など厳しい意見があがっているが、このタイミングで流産を明かしたメーガン妃には人々に伝えたいメッセージがあったようだ。

今月25日に『The New York Times』に長文を寄稿したメーガン妃は、「The Losses We Share」というタイトルのもと「第2子を失ったことを確信した」瞬間のことを細かく綴っている。いつもと変わらない朝を過ごしていた7月のある日、腹部を激しい痛みに襲われ、アーチーくんを抱きかかえたまま床に倒れ込んだときのことだ。

そのような極めてパーソナルな体験を赤裸々に告白したメーガン妃について、

「プライバシーが欲しいって言ってなかったっけ?」
「プライバシーを切望しながら、こんな記事を世に出す神経がわからない」
「結局スポットライトを浴びていたいだけ」

など誹謗中傷が相次ぐ結果となってしまったが、イギリス人作家マット・ヘイグ氏は「目立ちたがり屋」などとメーガン妃を批判する人々に対し、Twitterで「『ネガティブな内容でメディアの注目を集めることを嫌うメーガン・マークルがなぜ、自分の話を共有するのか?』と疑問を抱いている人達へ」と書き出して、次のようなメッセージを投稿した。

「その理由はいたってシンプルです。自分自身の痛みを共有することは、他人に痛みを引き起こされることとは別物なのです。」

自身が抱える心の傷について語り悲しみを共有することと、意図せぬところで信ぴょう性に欠ける記事を書き立てられることには確かに大きな違いがある。「私達が分かち合う、喪失感」というタイトルで綴られた妃の寄稿文を、「目立ちたいだけ」「お涙頂戴」と切り捨ててしまうのは簡単だが、その背後にあるもっと大きなメッセージについても触れてみたい。

妃の寄稿文には、病院のベッドの上でヘンリー王子と互いの涙で濡れた手を絡め合いながら、我が子を失った心の傷を癒す方法に思いを巡らせた―というくだりがあるが、その時に妃が思い出したのは、昨年10月にイギリスで放送されたドキュメンタリー番組『Harry&Meghan: An African Journey』でジャーナリストのトム・ブラッドビー氏が発した「Are you OK?」(大丈夫ですか?)という3語だったと回想している。

自身の状態を気遣うブラッドビー氏の優しさに触れ、「お気遣いありがとうございます」「私の状態を尋ねてくれる人はそう多くはないので」と涙をこらえながら答えたメーガン妃の姿は当時大きな反響を呼んだが、妃はこの経験から傷ついた心を癒す最初の一歩はそんな他者への思いやりであり、ヒーリングのプロセスはまず相手を「Are you OK?」と気遣うことから始まる―と思い出したようだ。

さらには新型コロナウイルスに命を奪われた人々や、警察官による非人道的な暴力行為により命を落としたジョージ・フロイドさん、ブレオナ・テイラーさんなどを例に挙げながら、今年は多くの人々が「いつもと変わらない日常」を突然奪われたという事実に言及し、パンデミックによる閉塞感や社会の分裂も手伝い、私達は「かつてない孤独感に襲われている」と2020年のリアルな現状を振り返るのだった。

しかし心のドアを解放し自らの体験を共有したり、「Are you OK?」と相手を思いやり、その返答に真剣に耳を傾けることで悲しみを軽減したり、相手の心のドアを開くきっかけになるとも述べており、社会的距離があろうとも、顔の表情がマスクで隠れていようとも、まずは「Are you OK?」の言葉を相手にかけること、そうすることで互いが向き合い、癒され、繋がることができると妃は綴っている。

暗いトンネルの中をさまようような2020年も残すところわずか1か月ほどだが、かねてからプライバシーの確保を最優先に掲げ、メディアへの嫌悪感を露わにしていたメーガン妃が、あえてこのタイミングでパーソナルな体験を世界と共有した背景には、心の傷を一人きりで抱え込む人達がオープンにストーリーを分かち合える社会、「Are you OK?」と他人を思いやることのできる社会への願いが込められているのではないだろうか。

画像は『The Duke and Duchess of Sussex 2019年9月25日付Instagram「Ladies who launch!」(Photo (C) PA images / Sussex Royal)』『ITV 2019年10月21日付Twitter「Follow the Duke and Duchess of Sussex on their African tour as they speak exclusively with @TomBradby #HarryAndMeghan」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 c.emma)