店頭プロモーションで広まる動画活用。売上アップにつなげる活用ポイントとは?
国内の20代〜60代の男女1,500人を対象に行った調査では「アパレル店舗での買い物をする際に店員に話しかけられたくない」と8割以上の人が回答したそうです。
かつては来店客が店員の接客を受け、商品を理解し、購買に至るという流れが一般的でしたが、現在は消費者の購買パターンが変化してきていることを象徴するデータです。
このような状況を受け、多くの店舗が、接客せずとも来店客を引き付けられる魅力的な売り場作りに取り組んでいます。今回はその中でも、店舗内での動画活用(以下、インストア動画)についてその魅力や実際の活用方法をご紹介していきます。
データから読み取る、店舗を訪れる消費者の心理
まずは、2013年にアメリカとカナダの消費者1500人を対象に行われた調査から、「店舗での消費者心理」を考えてみます。
■57%の人は店舗に入るまで、購入するものを明確には決めていない
Source:SapientNitro 2nd Annual In-Store Digital Retail
■消費者はもっとも知りたい情報は「商品の仕様」
▼「商品の仕様」は84%、「商品を使用シーン」は74%、「顧客のレビュー」は74%。
Source:SapientNitro 2nd Annual In-Store Digital Retail
これらの結果から、半数以上の人々にとって実店舗は「自分の目で商品を見て比較したり、購入を検討する場」として機能していることが分かります。
また、多くの消費者が、商品購入決定の前に、できるだけ多くの情報から商品のことを理解し、納得した上で選択したいと感じていることが読み取れます。
そこで有効なのが、短時間で多くの情報を魅力的に伝えることが可能なインストア動画です。
■7割の人が「デモンストレーション動画」が役立つと回答
インストア動画については、74%の消費者が「商品のデモンストレーション動画が、購買への後押しになる」と回答しました。
「購買には結びつかない」と回答した人々でも、そのうち3人に1人は「動画を見たことを覚えている」と回答していることから、直接購買に結びつかなかったケースでも、広告想起に寄与していることが分かります。
Source:SapientNitro 2nd Annual In-Store Digital Retail
店頭POPに有効な3つの動画パターン
以上のように、売上拡大効果が期待できるインストア動画。ここからは具体的な動画活用法を見ていきましょう。まずは商品近くに設置するPOP動画を取り上げます。
店頭の棚に競合商品と一緒に陳列される場合、POP動画は大きなアイキャッチ効果を発揮し、他社との差別化を図ることができます。
POP動画を制作する際は、雑音が多い視聴環境であることを考慮し、「注意喚起のための呼びかけを行う」「音量をWEB動画よりも大きくする」といった音の工夫が求められます。
また、雑音にまぎれて音が聞こえない場合や、店内で音を出せない場合を想定し、見やすいテロップをつけるなどの考慮も必要です。
これらのポイントを押さえた上で、実際に国内で使用されているインストア動画の事例を3タイプに分けてご紹介します。
デモンストレーション動画
商品:水で消せるマッキー
目的:商品のデモンストレーション
商品の最大の特徴「マジックなのに水拭きでも消せる」ことを実演で示すことで、その機能を端的に伝えています。実際の利用シーンを提案するなど、商品購入後のイメージができる工夫もされており、購買意欲を高めています。
低価格帯の商品は、深く考えこませずに「試してみたい!」と思わせることが重要なため、短くコンパクトにメリットをまとめた動画が有効です。
商品の魅力を解説する動画
商品:ふとんクリーナー「レイコップ」
目的:新製品の説明・理解促進
本動画はふとんクリーナーの新製品紹介動画です。旧製品との違いや定量的データを用いて、商品の機能性の高さを伝えています。
高価格帯の製品の場合は、製品の価値や必要性を理解し、信頼してもらう必要があるため、ユーザーの意見や客観的なデータを含め、3分ほどの長尺動画で製品の魅力を丁寧に訴求しています。
製品の裏側を伝える動画
商品:ランドセル
目的:商品の作り手のこだわり部分を伝える
本動画は「ランドセルの選び方」というテーマで、自社商品のこだわりポイントを職人が語っています。
このような作り手の顔を出す動画は、野菜などの生鮮食品でも非常に効果的です。生産者の生の声を届けることで、視聴者は安心感を覚えることができます。
その他、工場での生産工程などを映像で見せることも、興味を喚起し、信頼を獲得する上で有効です。
店舗内サイネージでの動画活用
インストア動画のもう一つの活用方法が店舗内サイネージです。サイネージはその大きな画面により、アイキャッチ効果が高く、訴求力も強まるため、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)施策としても重要です。サイネージ設備がある場合には、ぜひとも動画を流して、店舗滞在時間の延長や顧客体験の向上に生かしたいところです。主な活用方法を3つご紹介しましょう。
店舗誘導に活用する
店舗外からでも見える位置にサイネージを設置し、通行人の目を引く動画を流すことで、店舗への誘導施策として機能させることができます。
米国で有名な百貨店Macy's内に店舗を構えるテナントは、エントランスにダイナミックなディスプレイを設置し、多くのブランドが並ぶ百貨店の中で目立つ工夫を行っています。

ブランディングとして活用する
店舗空間演出の一つとして動画を活用することもできます。店舗は、そのブランドイメージを最大限表現できるチャネルの一つであり、その中でブランディング動画を流すことで、来店客により強力に印象を残すことができるでしょう。
ホノルルのビクトリアズ・シークレットでは、非常に大きなスクリーンでランウェイ映像やイメージ動画などを流し、ブランドイメージを魅力的に伝えています。
画像参照元:http://vsallaccess.victoriassecret.com/2011/10/25/alessandra-ambrosio-celebrates-second-hawaii-vs/
商品紹介に活用する
ナイキ・ニューヨークの店舗では、フィットネスパンツを履いているモデルの動画を配信。サイズによって、フィット感がどの程度違うのかをデモンストレーションしています。

このように、実際の使用イメージを流し、商品への理解を深める活用方法もあります。特に売り出したい商品や売れ筋商品を動画で紹介することで、商品の存在を周知するとともに、興味喚起を図ることができます。
また最近では、インタラクティブなサイネージを用い、画面上で商品を試着したり、そのデータをモバイルに転送してオンラインで購入できるなど、新たな取り組みも増えてきました。最先端の技術を用いてブランドイメージを高めるとともに、購入を促進できるため、今後の普及が期待されます。
ライバルに先駆けた導入で売上拡大を狙う
先述の調査において、「直近1ヶ月に店舗で見かけたデジタルツールは?」という質問をしたところ、タブレットよりもデジタルサイネージやインストア動画の方が多いという結果になりました。しかし、その割合は全体のわずか3割ほど。
Source:SapientNitro 2nd Annual In-Store Digital Retail
デジタルサイネージが日本よりも普及しているアメリカでもまだこのような状況のため、国内での浸透率はさらに低いと推測されます。逆に、まだ多くの企業が導入していない分、インストア動画によって競合との差別化を図るチャンスでもあります。
カナダのシューズショップ「Sport Chek」では北米で初めてデジタルサイネージやPOP動画を導入し、デジタルツールを活かした店舗づくりを行いました。その結果、売上や顧客のエンゲージメントに良い結果が出たため、その後カナダ国内の140の店舗にもデジタルツールの導入を決定したそうです。
また最近では、店頭で気になる商品を見かけると、その場でモバイル検索し、商品情報を探す人も増えています。もし店頭に映像モニターを設置できなくても、ウェブ上にインストア動画を置いておくことで接触機会を創出できるため、動画SEO
にも取り組んでおくと良いでしょう。その他、ECサイトの商品ページにインストア動画を掲載することもできます。
このように店舗内での使用だけにとどまらず、オンライン施策にも展開できるインストア動画。厳しい目をもつ消費者を納得させ、売上アップを目指す上で欠かせない施策になりつつあります。
[参考]
SapientNitro 2nd Annual In-Store Digital Retail
http://www.slideshare.net/sapient/instore-digital-retail-exploring-the-reality-of-the-digitallyenabled-store
