「やせうま」「インド煮」「ナゥピー」…地元民しか食べられない、全国『ご当地給食』まとめ

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揚げパン、カレーライスにソフト麺、それに冷凍みかん。みなさんはどんな給食が好きでしたか? 幼稚園や小学校で初めて食べた給食。楽しみにしていたメニュー、ちょっと苦手だったメニュー、それぞれに思い出があるのではないでしょうか。

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■■バラエティ豊かな"ご当地給食"拝見!

さて、「給食」と一言で言っても、きっと思い出は人それぞれですよね。それに、自分が子どもの頃に食べたあの味。もしかしたら、その地域でしか食べられないご当地給食かもしれません。

今回は、質疑・疑問に答えるQ&Aサイト「OKWave」さんのご協力のもと、他の地域では食べることができないご当地給食をピックアップしてみました。

それでは、早速、どんなメニューがあるのか見てみましょう。

※記載している都道府県の全域で食べられているもの、特定の地域のみで食べられているもの、期間限定で給食に出たことがあるものなども含まれています。

■・麦芽ゼリー(千葉県) 

千葉県の給食でおなじみなのが「麦芽ゼリー」。

現在、保育園や小学校の給食用として、月平均2万個が提供されているのだそうです。

この麦芽ゼリーは当時の栄養士さんを通した「栄養補助できるデザート」という学校給食のニーズを受け、子供たちを応援するデザートとして粉末麦芽飲料を主原料に、ココアパウダーを入れたゼリーを開発。

『麦芽ゼリー』の名称で、昭和53年から「千葉県民のおやつ」として学校給食で多くの子供たちに親しまれているのです。

今回、古谷乳業株式会社営業企画管理部の岩渕さんにお話を伺ったところ、「麦芽ゼリー発売当時の小学生が今、ちょうど30代後半から40代で、懐かしくなってお問合せをして頂いたり、SNSや各サイトで盛り上がって頂いているようです。」とのこと。

今でも、この味を忘れられない大人のみなさんがSNSで盛り上がったりしているそうですし、調べてみると千葉あるあるなどの話題によく登場したりしていますね。まさに千葉県の子どもたちそして、あの頃子どもだった人たちのソウルフードなのかもしれませんね!

■・枝豆クレープ(大阪府)

枝豆クレープとはおかずなのでしょうか、デザートなのでしょうか。
それに、枝豆が中に入っているのか、はたまた生地に練りこんであるのか…

名前を聞いただけではちょっと判別ができないのですが、OKWaveの回答者さんによると、この枝豆クレープとは”つぶして甘くしたバニラ風味の枝豆を、クレープで巻いたもの”なのだそうです。

あまり評判は良くなかったそうですが、説明を読む限りではおいしそう。
敗因は緑色が美味しく見えないということなのかもしれませんし、枝豆が甘いという時点で拒否してしまう子ども達もいたのかもしれません。真相はいかに。

■・ポンジュースごはん(愛媛県)

愛媛といえばみかん、そして、ポンジュース! ということですが、給食にはポンジュースだけでなく、ほんのりポンジュース味のごはんが給食に。

どうやら、ハンバーグのポンジュース煮込み、豚肉のオレンジソースがけなどもあったようです。愛媛県出身でも給食で食べたことがない人も多く、都市伝説とも言われているようですが、主に南部の給食に出るようです。

ご飯が甘酸っぱい… 実際に食べた方は、ご飯はご飯で、ポンジュースポンジュースで別々に出してくれたらよかったのに、なんて意見もあるようでした。

■・ズワイガニ(富山県)

地元の漁協が郷土の特産品をよく知ってもらおうと、ズワイガニ丸ごとを小学校に贈り、それが給食として出たことがあったそうです。

調べてみると、他にもカニの産地で丸ごとカニが出た、丸ごとではないけれど、カニが出たという情報もちらほら見つけましたので、カニの名産地では給食に出ることもあるのかもしれません。

それにしても、なんとも贅沢。子どもたちは丸ごと1匹のカニを給食の時間の間に食べ終わることができるでしょうか。うーん、ワイルドな給食ですね。

■・インド煮(栃木県)

ニュースサイト下野新聞によると、インド煮とは1970年代半ば、市学校給食共同調理場の栄養士さんが考案したのだそう。

当時の給食の主食であるパンに合う煮物を作ろうと、子どもたちが好むカレー味を採用。
具材は一般的なカレーの材料のほか、さつまあげ、うずらの卵、鹿沼名産のこんにゃくなどが入っており、カレー粉のほか、しょうゆ、砂糖、ケチャップなどで味付がされているのだそうです。

この味付けは子どもたちが好きそうですね。イメージ的には肉じゃが+さつまあげ、うずらの卵、こんにゃくのカレー味の煮物ということになるでしょうか。

■・チーズ納豆(秋田県)

納豆には、ネギ、海苔、卵などを混ぜる人も多いと思いますが、納豆に角切りのチーズが入ったのがチーズ納豆なのだそうです。

発酵食品のお祭りといったメニューですね。この組み合わせは意外においしそうだと思うのですが、いかがでしょうか。

こちら以外にも、秋田県は冬にはご当地メニューのきりたんぽが出るというお話もありますね。

■・しそ巻きりんご(青森県)

青森といえば、そう、りんご。

しそ巻きりんごは、津軽産のりんごをしそで巻き、蜂蜜や花の蜜などで漬け込んだものということで、デザートという形で給食に出ているようです。

その他にも青森らしく、生食のりんご、刻んだりんごを練り込んだコッペパン、りんごのゼリー、サラダにスライスしたりんご、牛乳の代わりにりんごジュース、煮りんごのヨーグルトがけ…と、給食にはりんごメニューが盛りだくさんなんですって。

■・みそケーキ(愛知県)

愛知県といえば、赤味噌、八丁味噌などが有名ですね。
「八丁味噌ケーキ」で調べてみると八丁味噌が生地に使われたパウンドケーキのようなものが見つかりました。実際に給食に出ているものは食べやすさからこのような形ではないかもしれませんが。

また、他にも、愛知県のある地域ではおでん⁺肉味噌など、お味噌味のメニューも多いそうです。そんな訳で、デザートだってお味噌! ということなんですね。

■・ふかひれスープ(宮城県)

なぜ、ふかひれスープが給食に!? と思って調べてみたところ、日本では気仙沼の水揚げ量が一番多く、また加工技術が優れていることも相まって、高級品として有名なのだそうです。

個人的にはふかひれスープの存在は大人になってから知ったような気がしますし、ほとんど食べた記憶もありません。それなのに、給食のメニューにあるなんて! もしかしたら、ご当地では珍しくないものかもしれませんが、とても贅沢なメニューですね。

■・津餃子(三重県)

給食に餃子が出ることはありそうですが、「津餃子」というところが他の地域とは違うのかもしれません。

津餃子協会のサイトによると、「津餃子」とは、直径15cmの大きな皮で餡を包み、油で揚げた揚げぎょうざ。津市の教育委員会が考案し、学校給食で1985年から提供が開始されたのだそうです。

一度見たら忘れないインパクトある見た目と、油で揚げパリパリの皮とジューシーな餡のおいしさで、津の子どもたちに大人気のメニューなのだとか。 現在までに約5万5千人の津市民に食べられているのだそうです。それにしても15?とは大きい!

■・いとこ煮(兵庫県)

「いとこ煮」という名前の御料理はいくつかあるようですが兵庫県の給食で出た「いとこ煮」は、おでんを甘辛く炊いた「うま煮」にあずきが入っている食べものなのだそうです。

新潟、石川、富山の北陸に伝わるもの、山口県萩市に伝わるものが有名だそうですが、全国的各地でそれぞれの「いとこ煮」が作られているようです。

その語源は、かたい食事から順番に煮ていくことから「追い追い煮る」→「甥甥煮る」の洒落からついた名前だというのが定説だとのこと。いとこ煮を調べてみると、かぼちゃ+小豆の煮物の組み合わせも多いようです。

■・みそピー(栃木県、茨城県、群馬県、千葉県)

「みそピー」は、元々は落花生の産地である千葉・茨城地方で食べられていた家庭料理でした。一般に流通する製品としては約50年前から東京で作られているのだそうです。

みそピーとは、炒ったピーナッツを江戸時代から東京に伝わる幻の味噌「江戸甘味噌」で作る、特製「練り甘味噌」と混ぜ合わせたもので、おかずでもあり、お菓子でもあり、お酒のつまみにもよいのだそうです。

給食では、小袋に入った形で提供されており、そのまま食べたり、パンに塗ったりして食べるようです。

株式会社 日出味噌醸造元の難波さんにお話を伺ったところ、
「現在でもみそピーが給食に出ているのが、栃木県、茨城県、群馬県。みそピーのヘビーユーザー地区は北関東ですが、給食以外でも北海道から九州まで関西以外の地域では昔から流通しているんですよ」
とのこと。また、小学生の間では凍らせて食べるなんて食べ方もあるのだそう。

子どもから大人まで愛されているお味なんですね!

■・やせうま(大分県)

大分県の給食に出る「やせうま」とは一体…。

「やせうま」とは大分の郷土料理で、小麦粉で作った平たい麺を茹でたものに、きな粉と砂糖をまぶしたもの。おやつのような感覚でそのまま、または冷やして食べるものなのだそうです。

七夕の時などにやせうまをお供え物にする地域もあるとのことです。麺といってもどちらかというとモチモチしているような感じですので、お団子などの和菓子のイメージが近いかもしれません。

■・ナゥピー、ナッピー(北海道)

ナッピー、ナゥピー。さて、これはなんでしょう。

別名、納豆もなか、納豆アイスとも呼ばれているようですが、この名称だとわかりやすいかもしれませんね。

もなかアイスのもなかの部分がカチカチまたは半解凍状態の納豆になっており、北海道でも特に富良野市では、1ヶ月に1度は給食に出た、などの話もあるように、とてもポピュラーなのだそうです。

納豆好きならおかずにもおやつにもなりそうですね! 調べてみると、茨城でも出たことがあるというお話もありました。

ちなみにインターネットでも購入可能です。 

■・大根スパゲティ(東京)

大根スパゲティ。
大根なのかスパゲティなのかと思ったら、大根おろしののったスパゲティなのだそうで、こちらは東京でも練馬で給食メニューとして登場するのだそうです。

パスタ屋さんなどのメニューにもありますし、給食のスパゲティといえばミートソースが多い中、オシャレ! と思ったら、練馬区は「練馬大根」の産地とのことで、地産池消ということなのかもしれません。

■・じゃがいものオレンジジュース煮(地域不明)

OKWaveの回答で盛り上がっていたのが、じゃがいものオレンジジュース煮。

さつまいものオレンジジュース煮ではありませんよ! じゃがいもがオレンジジュースで煮込まれているのです!

その味はというと、「それはもう食べれたものじゃありませんでした」とのこと…。
こちらはどちらの地域の給食で出されたか特定できなかったのですが、みなさんは食べたことがありますか?

ちなみに、私は神奈川県茅ケ崎市出身ですが、このメニューは記憶にありません。どんな食感や味だったのでしょう。甘酸っぱいじゃがいも・・・ちょっと食べてみたいですね。

■■どんどん増えている? ご当地給食

いかがでしたでしょうか。
地域の特産品を活かしたおかずであったり、子どもたちがおいしく給食を食べられるように栄養士さんや地域の方が試行錯誤をして考えられたレシピであったり。各市町村のみならず、学校単位でもオリジナルの給食メニューがあるかもしれませんね。

中には、かなりチャレンジングな組み合わせもありますが、それでもきっと何度も試作され、栄養のバランスが考えられているのだと思います。それに、大人になってから食べたら、もしかしたら、意外とイケるというメニューもあるかもしれません。

近年では、地産地消ということで、更にご当地に特化した給食に力を入れている地域も多いのではないでしょうか。

■■給食のはじまり

ちなみに「給食」とは、幼稚園や小学校、中学校などの学校や老人ホームなどの福祉施設、また、工場や病院、刑務所などで一定の特定多数人のために食事を提供すること、あるいはその食事そのもののことをさします。

湯本豪一さんの「日本人はじめて百科2 食べ物・飲み物を作った人」によると、日本の学校給食は、1889年(明治22年)、当時の山形県鶴岡町の大督寺境内にあった忠愛小学校で始まりました。

お弁当を持ってこられない生徒がたくさんいたので、この小学校を建てたお坊さんが、おにぎり・焼き魚・漬け物などを出したことが給食のはじまりと言われています。

子どもたちの健やかな成長願って作られている給食。大人になっても覚えているあの味。全国各地のご当地給食、きっともっとバラエティ豊かなメニューがあるのでしょうね! 給食食べたいな!

調査協力:OKWave