EV モーターズ・ジャパン 【公式】のXより

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大阪・関西万博で来場者を輸送するため大阪メトロが導入した電気自動車(EV)バスが2月27日、「宙に浮いている」と「毎日新聞」に報じられた。バスは、閉幕後に路線バスなどで活用する予定だったが、安全性に問題が生じており運行の目処は立っていないという。“負の遺産”と化したバスに市民からは疑問の声が上がるばかりだ。

現在、大阪市城東区森之宮にある大阪メトロの駐車場に150台のバスが放置されている。大阪メトロは万博に合わせてEVモーターズ・ジャパン(以下、EVMJ)から、会場とJR桜島駅などを結ぶ路線で使用する大型バス115台と会場内で使う小型バス35台を調達。昨年10月に閉幕した後は、大阪市内の路線バスや府南部での自動運転バスの実証実験で活用する予定だったとしている。

ところが、EVMJのバスが走行中に停止したり、ドアの開閉に不具合が生じたりするなどのトラブルが各地で発生。万博開催中も自動運転のバスが中央分離帯の縁石に接触するなどの事故が相次いだ。

国土交通省は昨年9月、EVMJに全車両の点検を指示。すると、全317台の3割強で不具合が見つかり、同10月、国土交通省がEVMJに道路運送車両法に基づく立ち入り検査を実施。EVMJは同11月、一部の車種計85台をハンドル操作時にブレーキホースが車体に接触してブレーキがききにくくなる恐れがあるとして、国交省にリコールを届け出た。

同紙は、「国交省の立ち入り検査後、大阪メトロでは万博で使用したバス150台に加え、大阪市内で運行する小型のオンデマンドバス40台を含む計190台の使用を中止」と報じ、「運行の再開は未定」と伝えている。これに伴い、万博のレガシーとして南河内地域で予定されていた自動運転バスの実証実験(乗客あり)も今年6月に延期された。

記事によると、EVMJは中国にある複数の企業に製造を委託していたという。また、大阪メトロがEVMJを選んだ理由について、「カーボンニュートラル実現に向けて経産省が支援するグリーンイノベーション基金事業への公募を挙げ、『走行中給電のための車両改造に加え、効率的な給電のためのシステムや自動運転のためのデータを取得できるEVバスが必要で、複数の候補の中からEVMJに決定した』」と説明したと伝えている。

その一方で、これらの車両の一部には国の補助金に上乗せする形で大阪府・市からも補助金が投入されているとのこと。同サイトは、「大阪メトロは補助金について明らかにしていない」としているが、大阪府・市はEVバス導入助成事業として2022年度、23年度の2年間で1台あたり上限1800万円、計57台に約8億9900万円の補助金を拠出したようだ。

今年1月、大阪メトロはEVMJから購入した理由を「導入時に国の補助金を活用する際、最も条件が合うのが同社だった」と説明し、使用中止となっていることについては、「万博のレガシー(遺産)として、EVバスを路線バスでも安心して乗ってもらいたいが、運行の見通しが立たず申し訳ない」と担当者がメディアに対し話している。

この事態にネット上では、「自動車産業が世界一ともいわれる日本製を差し置いてそもそもなぜ、中国のバスを購入したのか」「こんな税金の使い方は言語道断。万博は成功したのだろうけど、結果的には失敗と同じ」「これから暑い季節が到来し、放置し続けている車両から何らかのトラブルがある」といった不満の声が相次いでいる。

当初は「国産」をアピールして、採用したはずだったEVバス。しかも、車両は製造経験の浅いメーカーによる激安部品の寄せ集めだった。先月、EVモーターズの社長は責任を取って退任したが、それで済む話ではない。一体、この負債は誰が抱えるのだろうか。