小畑容疑者

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想定内の再逮捕

 警視庁暴力団対策課が、国内最大級の風俗スカウトグループ「ナチュラル」トップの木山こと小畑寛昭容疑者(40)を東京都暴力団排除条例違反で逮捕したのは1月26日のこと。ようやく逮捕にこぎつけたものの、捜査が思うように進まない状況についてはすでにお伝えした通りである(関連記事:「想像以上に難航」 風俗スカウトグループ「ナチュラル」のトップ逮捕でもトクリュウ組織を一網打尽にできない理由)。

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 むろん警察がそれで諦めるはずもない。警視庁は今月17日までに職業安定法違反(有害業務の紹介)容疑で小畑容疑者を再逮捕した。ターニングポイントを迎えつつある匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)の代表と警察との攻防を展望する。

小畑容疑者

 まずは最初の逮捕から振り返っておこう。容疑は他と共謀して2023年7月、東京・渋谷でスカウト行為を容認してもらう見返りに、6代目山口組系組幹部に60万円を渡したというものだった。小畑容疑者は公開手配され、潜伏先の奄美大島で身柄を確保された。

暴力団対策課が捜査を担う

「当初から逮捕容疑のボウハイ(暴力団排除条例違反)では起訴できないと見られていました。2000人規模の組織トップである小畑容疑者が末端の行為に関知していると証明するのは困難ですし、それを裏付ける証拠もないというのが実情でした」

 と、社会部デスク。

 今回の再逮捕容疑は、2023年9〜11月ごろにSNSを通じてスカウトした女性を風俗の店舗に紹介した行為などが職業安定法に違反するというものだ。同時に、女性をあっせんした店舗から「スカウトバック(紹介料)」を徴収するナチュラルのスカウトと店舗の実質的経営者らが同容疑で逮捕された。スカウトバックは女性の稼ぎの約15%を女性の稼働が続く限りナチュラル側が受け取る仕組みになっている。

「今回の再逮捕容疑も、最初の逮捕と同じく3年前のものです。逆に言うと最近の犯罪事実を把握できておらず、捜査が苦しい状況なのが分かります。前回同様、起訴まで持ち込むのは困難との見方もありますが、警察はあきらめず今後も様々な容疑で再逮捕を繰り返す可能性が高い」(同)

 警察が小畑容疑者を執拗にターゲットとするのは彼が2000人規模に膨れ上がったトクリュウのトップであると同時に、スカウト行為を認めてもらう見返りに暴力団側にみかじめ料を支払ってきたと見ているからだ。その資金源を断つべく、暴力団対策課が捜査を担っている。

「大企業」となったナチュラル

 ここで改めて、ナチュラルの現役メンバーらを通じてその驚くべき実態をつまびらかにした『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(清水將裕、日本橋グループ*著)の内容から、組織のあらましを簡単に紹介しておこう。

暴力団との共存共栄をうたいながら巨額の資金獲得活動(スカウトバック)を行っている。暴力団側には多額の現金を支払うなどの便宜を供与。法人登記はされていないが、総務課、プロ課などの部署や細則やマニュアルが多数存在し、会社組織のような体裁を取っている。小畑容疑者は会長と呼ばれている。“社員”になったメンバーには早慶MARCH出身者もおり、月に300万円ほど稼ぐ者もいる。

・徹底した警察対策を講じる秘密結社的側面を持ち、警察の取り締まりを回避すべく、数千万円かけて開発した秘匿性の高い闇アプリを用いてメンバーらは本名ではなく源氏名などでやり取りしている。

・風俗の店舗側もナチュラルなしには女性の獲得がままならない状況となっており、一説には、国内のその種の店の約20%がナチュラルと取引しているとされる。年間収益は少なくとも50億円。

・組織への裏切りや規約違反にはリンチなど厳しい罰則が科される。

ナチュラルと13代目幸平一家

 ナチュラルの名を界隈に知らしめたのは2020年6月、歌舞伎町で発生した住吉会・13代目幸平一家・加藤連合会によるナチュラルのスカウト襲撃事件だった。その後、両組織は手打ちし、ナチュラルは暴力団にみかじめ料を支払うことでスカウトバックを得る方針に舵を切り、組織を一気に拡大させて行った。ナチュラルのいわゆる「ケツ持ち(金品を介した後ろ盾)」は13代目幸平一家が担うことになったわけだ。

 警視庁は1月、闇バイトや特殊詐欺などに関与するケースが相次いでいるとして13代目幸平一家の特別対策本部を設置した。警察がヤクザ組織の2次団体を名指しして徹底的な取り締まりに動くのは4代目弘道会以来のことだが、ナチュラルとの蜜月関係を分断したい狙いがあるのは想像にかたくない。

 ナチュラルと13代目幸平一家、双方から捜査を進める警察側に展望はあるのだろうか。

おしぼりなどの備品納入にも

「風俗の店舗の多くにはおしぼりなどの備品納入に絡めて暴力団が入り込んで資金源としており、その関係を断つという意味で警察の捜査は効果的でしょう。その他、マネーロンダリングや詐欺、恐喝などにも双方が何らかの形で関与していると見ており、より重罪に問うことが可能な組織犯罪処罰法などでの起訴を狙っています。一方で、どんな微罪であれ逮捕して起訴に持ち込もうと努めてはいます。が、2000人規模の組織のトップである小畑容疑者が末端のスカウトの振る舞いにまで関与していたことを証明するには、間に入っている途方もない数の幹部やメンバーを逮捕して実態を解明しなければならず、やはり至難の業とも言われています」(同)

 小畑容疑者は現時点では徹底抗戦の構えとされるが……。

「国策捜査と呼べるレベルで頂上作戦が展開される中で、無駄な抵抗をせずに当局と取引することを選ぶのではないかとの見方もあります。警察の捜査を受け、昨年までに解散した同じ風俗スカウト集団・アクセスの事案のような落としどころが現実的だということですね。とはいえ、小畑容疑者自身、数十億レベルの資金を何らかの形でプールしているとの説もあり、捜査当局はまだまだ粘ると思いますが」(同)

デイリー新潮編集部