クーペSUVとは?

クーペSUV(SUVクーペ)とは、数年前から注目されている乗用車のボディタイプのひとつです。明確な定義はありませんが、主にルーフラインがリアに向かって下がり、クーペのようにスポーティなデザインに仕上がった都市型SUVのことを指します。

SUVクーペは、SUVが持つ実用性とクーペのようなデザインの美しさを両立した新しいボディタイプとして、近年は世界中のメーカーがこぞってこのカテゴリに新型車を投入しています。

クーペSUV選びのポイント

@Mike Mareen/stock.adobe.com

近年、車の人気ジャンルに定着しつつある「クーペSUV」。国産車、外車問わず多彩なモデルが存在しています。

しかし、実際に選ぶとなると迷ってしまうかもしれません。この項目では、クーペSUVから車選びをするなら注目したいポイントを3点ピックアップして解説します。

■デザインで選ぶ

1つ目は「デザイン」です。

クーペSUVが通常のSUVと異なるポイントに挙げられるのが外観。SUVと聞いて真っ先に思い浮かぶのが箱型形状に近い角ばったボディですが、技術の進歩に伴って乗用車向けのスタイリングに変化しています。

頑強でどのような局面でも走り抜けるSUVのイメージと、2ドアクーペに近いしたたかで上質な印象のスタイリングが合致し、洗練された感覚のデザインが老若男女問わずに好かれているようです。

■実用性で選ぶ

2つ目は「実用性」です。

“クーペ”と聞いて、「荷物が積めない」「走りだけ楽しめる車」との印象を持つかもしれませんが、SUVの要素を融合したことにより、使い勝手が大幅に改善されています。

乗降用ドアが4枚となっており、後部座席も人が乗り込めるため数人での乗車も可能。家族持ちであったり友人と出かけるのに車を使ったりするユーザー向きです。

また、後部座席を倒して広大なラゲッジスペースを生み出せば、荷物を運ぶのも悠々にできるというメリットもあり、高い実用性を発揮するのもクーペSUVのメリットとなるでしょう。

■走行性能で選ぶ

3つ目は「走行性能」です。

高出力で強力なトルクを誇るパワートレイン(エンジン、ハイブリッドシステム)を搭載しているのに加えて、SUVの魅力でもあるオフロードでの走破性能を兼ね備えたモデルも存在します。

加えて、4WD(四輪駆動)システムを採用した車種では、荒れた道路でも難なく走れるよう特殊な走行機能が装着されているケースもあるようです。

スペックの確認だけでなく、実際に試乗してチェックすると、お気に入りのクーペSUVが見つかるでしょう。

【国産】クーペSUVおすすめ5選

国産のクーペSUVで注目したい車種は5つ。通常タイプのSUVが多い中で珍しい存在となっているようです。

この項目では、クーペSUVの5車種をピックアップして解説してみました。

■トヨタ ハリアー

トヨタ ハリアー(2022年)

トヨタ「ハリアー」は、ラージサイズのクロスオーバーSUVです。1997年に初代モデルが登場して以降、“都市型SUV”と銘打ち新たなジャンルを開拓。高級志向=ハリアーという印象を植え付けました。

2020年に登場した4代目は近年のSUVブームに伴い高い人気を維持しています。手が加わったのはエクステリアデザインで、ルーフ後方がワゴンのような丸みを帯びた形状からクーペチックに変化。全高を30mm引き下げた一方で全長と全幅を20mm拡大し、洗練されたスタイリングとなりました。

ヘッドライトとリアコンビネーションランプはヨーロッパでのトレンドに追随し、細目でシャープな目つきへ変更。スポーティな印象を感じさせるデザインとなっています。

■トヨタ C-HR

トヨタ C-HR(2019年)

トヨタ「C-HR」は、コンパクトサイズのクロスオーバーSUVです。

トヨタの車づくりの思想「TNGA」(Toyota New Global Architecture)を取り入れて開発。ハイブリッド5ドアハッチバック「プリウス」とプラットフォームを共有しており、欧州など世界各地の一般道で走行性能が磨き上げられています。

ルーフ後部がなだらかに下っているクーペチックな外観デザインは、当時のトヨタのラインナップに無かったため、積極さを車ファンに印象付けました。盛り上がったフェンダーやダイナミックなキャラクターラインにより、市街地を駆け抜ける姿が想像できます。

後部座席のドアハンドルは、Cピラーの上部に隠れるような形状です。さらにクーペのように見せるデザインに一役買っている反面、使い勝手には少々難があるようです。

パワートレインは、1,800ccの直列4気筒ガソリンエンジンに、プリウスなどでも使用されている「THSⅡ」をベースとしたハイブリッドシステムとの組み合わせ。2016年の登場から時間が経過しているものの、いまだに燃費性能ではSUVでも群を抜いています。

■ホンダ ヴェゼル

ホンダ ヴェゼル(2021年)

ホンダ「ヴェゼル」は、コンパクトサイズのクロスオーバーSUVです。「M・M」(マンマキシマム・メカミニマム)の思想をもつホンダが送り出すモデルとなります。

2021年に登場した2代目は、長くモデルライフを送った初代からコンセプトを変更。曲線的で躍動感のあるクーペスタイルから、直線基調のシンプルモダンなクーペスタイルとなり、ファストバック(ハッチバック)にも近い形状から驚きの声が上がりました。

注目すべきはフロントマスクです。メッキを多用せず、オーソドックスな印象となっています。シンプル・イズ・ベストが好みのユーザーに受け入れられやすいデザインです。

一方、リアコンビネーションランプは、他メーカーの車種でも採用されている左右が一直線に描かれたデザインへ変化しており、シャープな印象を感じられるでしょう。

シンプルなデザインと実用性を兼ね備えたクーペSUVとなり、ホンダのラインナップでも売れ筋となっています。

■レクサス UX

レクサス UX(2022年)

レクサス「UX」は、コンパクトサイズのクロスオーバーSUVです。

レクサス=高級な印象を持っている車ファンは多いかもしれませんが、車に興味を持たず、高級志向な人でも受け入れやすいのが強み。“都市を自在に、スマートに駆け抜ける”がキャッチコピーで、市街地での扱いやすさを主張したパッケージングです。

車体の前後バランスを意識したボディ剛性と足回りのセッティングにより、市街地や高速道路では快適な走行を可能としています。

また、近年の自動車業界で話題となっているBEV(電気自動車)グレードも用意。専用の足回りセッティングが施されて乗り心地の良さを向上させているのも注目すべきでしょう。

■三菱 エクリプスクロス

三菱 エクリプスクロス(2020年)

三菱「エクリプスクロス」は、ミドルサイズのクロスオーバーSUVです。

エクリプスクロスで注目のポイントはパワートレインにあります。

パワートレインは1,500ccの直列4気筒ターボチャージャー付ガソリンエンジン、もしくは2,400ccの直列4気筒ターボチャージャー付ディーゼルエンジンに加えて、2020年一部改良では待望のプラグインハイブリッドシステム搭載車「PHEV」をラインナップ。

PHEVでは、2,400ccのガソリンエンジンに加えて、車体前後に1基ずつ配置した駆動用モーターと大容量バッテリーを組み合わせました。モーターのみでのEV走行に加え、エンジンでの発電エネルギーでモーターを動かし車両を動かす「シリーズ走行」、エンジンをメインにモーターがパワーアシストする「パラレル走行」が可能となっています。

【外車】クーペSUVおすすめ5選

国産車ではピックアップできるクーペSUVが限られる一方で、外車では多彩な車種が存在するようです。

外車のクーペSUVを5車種ピックアップして解説してみました。

■ランボルギーニ ウルス

ランボルギーニ ウルス(2022年)

ランボルギーニ「ウルス」は、“モンスター”とも称えられており、イタリアのスーパーカー名門メーカーが生み出したSUVです。

2017年にイタリアでデビューした、ランボルギーニのラインナップで唯一のSUVモデルです。

ランボルギーニと同じくフォルクスワーゲングループに属するポルシェやベントレー、アウディなどのSUVラインナップと共通のプラットフォーム「MLBエボ」を採用。強力なエンジンパワーを生かし切る土台が構成されています。

スーパーカー(2ドアスポーツカー)のウラカンや、歴代のランボルギーニ車種と比較して、SUVであるはずがスーパーカーと見間違える威圧感のあるスタイリングは、悪走路だけでなくサーキットでも速さを発揮するだろうと思わせます。

■アストンマーティン DBX

アストンマーティン DBX(2020年)

アストンマーティン「DBX」は、イギリスの名門自動車メーカーが初めて開発したSUVです。

運動性能に長けた2ドアクーペを手がける印象が強いアストンマーティンが開発。スポーツカーのような、優雅でグラマラスなデザインに仕上がっています。

バンパーまで幅広くかたどられたフロントグリルは健在で、ヘッドライトやテールランプ形状に合わせて突き出しているダックテールなど、細かな箇所にアストンマーティンの雰囲気があります。

サイドビューの美しさを損なわないよう、ドアハンドルは格納式タイプを採用。ボリューム感あふれるボディ形状となっており、華麗な走りを披露しそうなスタイリングとなっています。

■アウディ e-tron Sportback

アウディ e-tron Sportback(2022年)

アウディ e-tron スポーツバックは、アウディ初の電気自動車「e-tron」のクーペSUVモデルです。アウディはBEVラインナップ強化を計画しており、日本市場におけるその第一弾です。

エクステリアデザインはスタイリッシュに仕上がっており、他のアウディラインナップと同様大型のグリル、クの字に近いヘッドライトが特徴。伸びやかなシルエットでSUVと4ドアクーペ、あるいはファストバックの要素が融合された印象を受けます。

全長4,900mm、全幅1,935mmとフルサイズSUVに近いボディサイズでありながら取り回しに優れて、ラージサイズのセダンとほぼ互角の機敏さを発揮。

また、アウディでは初のバーチャルエクステリアミラーが採用されたのも話題となりました。標準のミラーではなく小型カメラが捉えた映像をフロントドア両側に備えたディスプレイへ映し出し、後方を確認するシステム。近未来を感じさせる機能が使われているのも注目ポイントです。

■ジャガー E-PACE

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ジャガー「E-PACE」はコンパクトサイズのクロスオーバーSUVです。

2018年より日本に導入。2021年2月には大幅改良が実施されているなど、ジャガーのラインナップで中核を担うモデルとなります。

同社のスポーツカー「F-TYPE」をベースとしたエクステリアデザインにより、盛り上がったフェンダーやリアにかけて傾斜になったルーフ形状を採用。スポーティなスタイリングが魅力です。

また、ボディ全長とホイールベースの設計にもこだわっており。全長が4,395mmに対してホイールベースは2,681mmと長めです。「ロングホイールベース・ショートオーバーハング」となり、間延びのない引き締まった印象をもたせています。

■メルセデス・ベンツ GLE クーペ

メルセデス・ベンツ GLE クーペ(2019年)

メルセデス・ベンツ「GLEクーペ」は、ミドルサイズ・3列シートSUVである「GLE」をクーペチックなボディ形状へ変化させたモデルです。2代目となる現行モデルは2020年に登場しています。

ベース車両のGLEと比較して全高を65mm低く設計し、ワイド&ローなクーペスタイルを実現。メルセデス・ベンツの他車種と共通のエクステリアデザインを上手にまとめて上質・洗練された印象となっています。

GLEでは3列シートが採用されていましたが、GLEクーペでは2列仕様のみ。美しくスタイリッシュですが、実用性よりもスタイリングに振った車種となっています。

クーペSUVはダサいの?

©VanderWolf Images/stock.adobe.com

結論から述べると、クーペSUVはダサいという印象ではなく、カッコいいジャンルに分類すべきではないでしょうか。

SUV=オフロードの走行性能に優れていると考える人は多いかもしれません。しかし、本来のSUVは「スポーツ多目的車」という意味のとおり、どのような局面でも難なく駆け抜ける実力をもった車です。

どこでも駆け抜けられる実力をもつのに加えて、スポーツカーのようなボディデザインが加われば、誰もが振り向いてしまうほど強力なパッケージングとなるでしょう。

ランボルギーニ ウルスをはじめ、一目見ただけではSUVではなく、スポーツカーと勘違いしてしまうほどの優れたデザインをもつ車種が存在します。クーペSUVは今後、増えていく世界線も十分に考えられるのではないでしょうか。