田中(左)がアカデミーの同級生吉見(右)を訪ねたときが転機だった?(撮影・高野宏治)

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12月22日、U-20女子W杯に代表選手として出場し、ヤングなでしこの中でも将来を嘱望されている田中陽子が、INAC神戸レオネッサから移籍する可能性が報じられている。

移籍先として名が上がっているのは2部リーグのノジマステラ神奈川相模原。将来を嘱望される選手が、なぜ強豪から2部のクラブへと移籍しようとするのか。

INAC神戸は、なでしこリーグ優勝3回の強豪クラブ。澤穂希、川澄奈穂美、高橋愛美、田中明日菜、海堀あゆみなどなでしこジャパンの常連が名を連ねる。田中は日本サッカー協会が運営するエリート養成組織、JFAアカデミー福島出身。2010年のU-17女子ワールドカップでは6試合で4ゴールを挙げる活躍を見せ、U-20女子ワールドカップでは左右両足でのFKを決めるなど得点ランクで2位となった。2013年にはなでしこジャパンにも選出された田中は、将来INAC神戸を背負って立つと期待させていたのだが……。

INAC神戸に入団した田中はリーグ戦で2012年に6試合に出場し2ゴール、2013年は18試合中14試合出場で6ゴールと実績を重ねた。ところが2014年は28試合と全体の試合数が増えたものの、半分の14試合に出場しただけで得点はゼロ。成長の鈍化が心配されていた。

一方のノジマステラは2012年に創設された新しいクラブながら、練習用人工芝ピッチ、フットサル場、クラブハウス、トレーニング設備、さらには選手寮などを新設して完備。また選手全員が家電量販店ノジマの正社員となることができ、午前中の仕事を終えた後はトレーニングに集中できるなど恵まれた環境を誇っている。2013年、飛び級で2部リーグに参戦したまでは順調だったが、1部昇格をかけた2014年は勝点1の差で3位と、入れ替え戦進出を果たせなかった。

田中とノジマステラの接点はどこだったか。実は今シーズン中、ノジマステラの選手たちが寮の前でバーベキューをした際に、田中がアカデミー時代の同級生、吉見夏稀を訪ねてやってきた。田中はそこでノジマステラの施設を見て回ったそうだ。

ノジマステラの関係者によれば、ノジマステラのほうから田中陽子を引き抜きにいった事実はないという。吉見にしても田中にノジマステラの話はしたものの、移籍するとは思っていなかったようだ。伸び悩みを感じていた田中がノジマステラの環境に惹かれ、新たなチャレンジを決意したという姿が浮かび上がってくる。

ノジマステラはさらに他3選手の補強が決定しており、そのうち2人は1部リーグの選手。その補強選手の中でも特に田中は、「来年こそは」と昇格を狙うノジマステラにとって頼もしい助っ人がやってくることになりそうだ。

【日本蹴球合同会社/森雅史】