3.14159265……、最初の3桁ならおよそ誰もが知っている円周率。無限に続くこの円周率を10万桁以上覚えているという記憶の達人がいる。その驚異的な記憶力を持つのは千葉県茂原市に住む原口證(はらぐちあきら)氏だ。

 2004年に6万8千桁の世界新記録を達成、2005には8万3413桁を達成(現在、ギネス社に申請中)、そして一昨年、10万桁の円周率暗記に挑戦した。その際、10万桁を暗唱するのに要した時間はなんと16時間30分。報道陣のカメラと審判員に囲まれ、食事は軽食のみ、不正を防ぐためトイレ休憩にも審判が密着する。そんな中で自己記録更新を見事達成した様子は、テレビや新聞で報道されたのでご存知の方も多いことだろう。

 記憶力は歳をとるにつれて衰えるものだ。他の身体部位と同様、脳の神経組織も老化するため、40歳ころから物忘れが増えるのは当たり前のこと。しかし原口氏が10万桁の世界記録を達成した時点での年齢は60歳(現在は62歳)。

 一般的には還暦にもなれば「記憶は苦手」な年齢だ。では原口氏は、なぜ10万桁も覚えることができたのか? やはり、常人とは異なる天才的な能力の持ち主なのだろうか?

 答えは「NO」だ。原口氏は言う。「記憶の仕方は若い頃と年齢を重ねてからは違うんです。その方法が分かれば誰でも記憶力が向上する可能性があります。学生時代の成績はオール3だった普通の私がそうだったのですから」(原口證ホームページ)。

 物忘れが頻繁に起こるようになった筆者のような凡人でも原口氏と同等の記憶力を得ることができるのだろうか。だとすれば資格取得や外国語の習得を諦めかけている世の中高年に希望を与える福音ともいえるのだが……。

 原口氏によると、若い頃の記憶、すなわち丸暗記という方法は直感的だそうだ。これに対し、年齢を重ねてからの記憶のコツは創造することだという。物事を覚える際に、自らの体験と掛け合わせて楽しみながらイメージをつくること。暗記とは苦行ではなく、楽しみであるのだ。

 実際、原口氏の円周率記憶は、語呂合わせを応用している。「1192」を「イイクニつくろう鎌倉幕府」と覚える方法だ。10万桁を文字に変換すると400字用紙で250枚分相当となり、書籍一冊分を暗記していることになる。

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