首相官邸

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 政府は、スタートアップ(新興企業)の軍民両用技術の活用を進めるため、各省庁がそれぞれの業務で試験導入を行う枠組みを創設する方針を固めた。

 5年で1兆円規模の契約を目指している。防衛力強化に向けて先端技術の導入が課題となる中、ドローン(無人機)や人工知能(AI)などを現場で運用することで、技術改良や企業の育成を後押しする狙いがある。今夏にまとめる政府の成長戦略に盛り込む方針だ。

 複数の政府関係者が明らかにした。新たな枠組みは「戦略技術領域実装加速プログラム」(仮称)。内閣府が一括で予算計上した後、防衛、経済産業、国土交通各省などが製品やサービスを長期契約で導入し、継続的に運用することで安全性や効果を確認する。課題、利点などを企業側に伝え、新興技術の更なる改良につなげたい考えだ。

 政府にとっては、新技術を運用するノウハウを獲得できるほか、売り上げ増に貢献することで企業側の資金調達などにつながることを期待する。有用な技術と判断すれば、大規模な調達契約に踏み切る構えだ。

 対象とするのは、高市内閣が成長戦略として官民での集中投資の対象に定めた防衛産業、航空・宇宙など17の戦略分野。特に日本の新興企業が他国に対して優位性を持つ技術領域の活用を図る。

 例えば、蓄電池と太陽電池で最大2000キロ・メートルの航続距離を持つ無人水上艇を大量に同時運用することで、不審船の有無といった海洋状況の把握につなげることなどを想定する。

 ドローンに関しては、防衛省の防衛力強化のほか、警察庁の事件対応、国交省の防災、河川管理などの分野で活用を進める方向で、道路や橋などの点検業務の効率化にも役立てる方針だ。AIは船舶検査や海洋観測にも使うことを検討している。

 高市首相は22日の日本成長戦略会議で、新興企業を「先端技術の社会実装を加速化する牽引(けんいん)役」として重点支援する意向を示した。軍民両用技術の開発や導入は、政府が多額の資金を投入する米国、中国に大きく後れを取っており、年内の安全保障3文書の改定でも、新興企業の活用が焦点の一つとなっている。