「しないでほしい…」機内食をサーブするCAが密かに思っていること 地上とは違う
長いフライトにつきものの機内食には、限られた広さの機内で効率的に搭載、配膳できるよう様々な工夫がなされています。その工夫を無駄にしないために、お客様はお食事後の「普段の気遣い」を、あえてされない方が良いこともあります。
機内食用のコンテナやカートの「高さ」
機内食には、限られたスペースの機内に何百人分も搭載できるよう、様々な工夫がなされています。長時間のフライトでは、多いときで3食分が搭載されることも。そして、そのような機内食を効率よく配膳・下膳するため、CA(客室乗務員)はじめスタッフも手際よく動いています。
このうち、下膳に際して、皆さんが地上のレストランなどで良かれと思い何気なくされていることが、実は機内ではあまり喜ばれない……ということがあります。それは「食器類の積み重ね」です。

機内食を提供するイメージ(画像:bignai/123RF)。
そもそも、前のフライトの到着から次の出発までの時間で素早く積み替えができるよう、すべての機内食はカート、もしくはコンテナに入れられています。メインのお食事を温めるときも、たとえばキャセロール(ココット)がたくさん入ったコンテナごとオーブンに入れられるので効率的です。ただ、これには「高さ」が重要なカギを握ります。
カートやコンテナの内側には何段も爪があり、そこにトレイをはめていくことで、素早く効率的にたくさんの食器類が収納できるようになっています。ファーストクラスやビジネスクラスなどで使用するガラス製のグラス類、使い捨てのプラスチックカップや紙コップなどを除き、ほぼすべての食器類は、カートやコンテナ内にトレイを入れたときにつっかえないよう高さが制限されています。CAたちは回収した食器をトレイごとどんどん入れていくだけでよいので、時間の短縮になります。
良かれと思って… でもCAにはあまり喜ばれない?
さて、皆さんは機内でお食事をとられたあと、どのような状態でトレイをCAに返しているでしょうか。良かれと思って、いくつもの食器を重ねている人も多いかもしれません。
先述の「高さ」はあくまで、食器を1つ置いたときのもの。2つ以上重ねてしまうと、その高さがカートやコンテナ内部の各段の高さを超えてしまい、そのままでは収納できなくなります。低くするため、重なったものを移動して調整する作業が発生してしまうのです。

ANA(全日空)の機内食工場内部の様子(2018年、伊藤真悟撮影)。
もちろん、1回の作業自体はかかっても数秒から数十秒です。しかし、満席のエコノミークラス、300人以上の乗客のトレイだと話は別。時間のロスになってしまいます。お食事が済んだらできるだけ早くトレイを回収し、お客様にはゆっくりとおくつろぎいただきたいと思うと、この時間は可能な限り短縮したいものです。
では、どうされるとCAは一番うれしいのでしょうか。ずばり、「提供されたときと同じ状態で返す」です。元々その状態でカートに入っていたわけですから、同じような状態で返していただくと、そのまますっとカートに戻せます。
食器類をすべて重ねて返した方が、スタッフの手間を省け楽だろうというお気遣いなのかもしれませんが、地上のレストランなどとは違い上空では必ずしもそうではないのです。お気持ちは理解できますが、むしろお客様の重ねる手間を考えれば、そのままの状態で返していただく方が、CAはもっとうれしいものです。
