「太陽光発電システム」の導入が家計に与える経済効果。メンテナンス費を考慮しても“投資”として成立し「生涯コスト」を削減できるワケ
太陽光発電は単なるエコではなく、光熱費を削り家計を守る「投資」となり得ます。維持費や交換コストなどの注意点はありますが、オール電化との併用で回収期間を短縮して生涯コストを抑えることも可能です。本記事では、平松明展氏の著書『お金の不安が消える 住まいのコスト大全 快適に暮らせて資産が残る家の選び方』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、太陽光発電システムを導入するメリットについて解説します。
「太陽光発電システム」導入で得られる恩恵
高性能であることに加えて太陽光発電システムを取り入れると、光熱費をさらに削減できます。5kWシステムで約100万円、10kWシステムで約200万円の追加コストになりますが、経済効果は絶大です。5kWシステムでも1年間の自家消費電力が1,800kWにもなります。一般家庭の電気消費量の約3分の1です。その分が電気料金の削減になるのです。
売電収入も魅力です。売電価格は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWh(2025年10月)。11年目以降は市場価格での売電となりますが、この時点で投資回収ができているでしょう。製品の保証期間はメーカーごとに違い、15年間が一般的。
メンテナンスコスト(15年ごとにパワーコンディショナーの交換や年次点検費、システム終了時の破棄費用)がかかることを念頭に置いてください。
[図表1]太陽光発電システムの経済効果例
条件次第で後付けも可能
新築時に太陽光発電システムの設置を見送った人もいるでしょう。太陽光発電パネルに適した堅牢な屋根構造で、長期荷重に対する耐久性能がある住宅なら設置可能です(構造計算は必須)。
1〜4年目の売電価格24円/kWhというのは、高水準です。電気料金も値上がりしており、再検討するべきタイミングでしょう。また、太陽光発電システムをリースする選択肢もあります。
マンションに太陽光発電システムを導入している物件もあります。発電量を各住戸で消費可能なシステムになっていれば、必然的に光熱費を抑えられます。ただし、戸数が多いため、各住戸が使用できる電力が限られるなど、課題はあるようです。各住戸オーナーが個別に設置することは、制約(ベランダは法的には共有部分になるなど)が多く、現実的とはいえないでしょう。
コスト面で見る太陽光発電のパフォーマンス
太陽光発電×オール電化
自家消費電力の単価が31円/kWh(2025年7月時点)に対し、売電の単価は1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWh(2025年10月)です。よって、自家消費の割合を大きくすることが、経済的効果を高めます。ガスを電力に変換すれば、自家消費の割合は大きくなります。つまり、オール電化にすることで、太陽光発電の恩恵をより強く受けることになり、投資回収の期間も短縮できます。
オール電化では、ガスコンロをIHクッキングヒーターなどに、ガス給湯器をエコキュートなどに変更します。特に給湯のエネルギー消費量が高いので、電化によって光熱費を抑えられるのです。ガスと契約しないパターンもあれば、併用するパターンもあります。併用の場合は基本料金が発生します。電気に一本化するか、併用するかは考え方次第です。
[図表2]太陽光発電システムとオール電化の実績例
日中の自家消費を最大化する設計の重要性
太陽光発電は日中、パネルに集められた太陽光を熱エネルギーに変化し、発電します。これをパワーコンディショナーという精密機器で、家庭で使用できる電気に変換します。
使用しなかった電力が売電に回されるので、費用対効果を高めるには、自家消費を最大化することです。蓄電池を併用すれば夜間も使用できますが、初期コストが高くなります。なお、蓄電池やV2Hシステム(EV自動車と連結するもの)を後付けできるパワーコンディショナーもあります。
太陽光発電システムは、住宅の耐震性能や耐久性能の構造計算のほか、年間の日射取得のシミュレーションも必要です。経済効果を高めるには10kW前後のシステムが理想です。また、パネルを設置する方角や傾斜、大きさによって光が近隣の住宅に反射することがあります。近隣の建物や地形なども確認しなければなりません。
[図表3]太陽光発電システムは近隣への配慮も大切
平松明展
平松建築株式会社
代表取締役
