「白湯」には本当に健康効果があるのか?

水を一度沸かしてから40〜50度ほどに冷ました白湯(さゆ)は、さまざまな健康効果があると言われています。しかし、中には真偽が疑わしい健康効果までささやかれているとのことで、オーストラリアのクイーンズランド大学で地域保健およびウェルビーイングの教授を務めるローレン・ボール氏らが、白湯の健康効果について解説しました。
Will drinking hot water help me lose weight, clear my skin or treat cramps?

朝起きた直後や夜眠る前に一杯の白湯を飲むことは、健康のために取り入れられる手軽な習慣として人気です。しかし、中には「白湯を飲むことが減量に役立つ」「喉の痛みを癒やす」「美肌効果がある」「月経痛を和らげる」など、本当かどうかわからない効果までささやかれているとのこと。
ボール氏らは、「白湯を飲むことは一般的に安全で、多くの人々が白湯を飲むと気分がよくなると言います。しかし、その理由はよくわかっていません」と述べています。とはいえ水分補給は生命維持に不可欠であり、適切な水分補給を維持することで消化・循環・腎機能・血圧調整など健康全般をサポートできます。
また、2025年の研究では水分摂取量が少ないとストレスが増幅される可能性が示されており、水分補給はストレスへの対処においても重要だと考えられています。
ストレスに対処するには「水分補給」が大事かもしれない - GIGAZINE

水分補給そのものは健康にとって大事ですが、白湯を飲むことの健康効果には誇張されたものも多いとのこと。そこでボール氏らは、白湯が役立つと言われている「減量」「喉の痛み」「美肌」「生理痛」などについて、本当に白湯が影響を与えるのかどうかを解説しています。
◆1:白湯は減量効果をもたらすのか?
この疑問についてボール氏らは、「白湯を飲むだけで有意な体重減少が起こることを示す質の高い人間実験はありません」と述べています。2012年の研究では、水分摂取が食前の満腹感を高め、高カロリーな飲料の摂取を減らして体重管理に役立つことが示されていますが、減量において白湯が他の温度の水より優れているという十分は証拠はないとのこと。
別の小規模な研究では、白湯を飲むことで腸の蠕動(ぜんどう)運動が刺激され、消化を助ける可能性があることが示唆されていますが、この効果は控えめで脂肪減少にはつながらないそうです。ボール氏らは、「白湯を飲むことで甘い飲み物を置き換えたり、全体的な水分摂取量を増やしたりできれば、間接的に体重目標の達成をサポートできるかもしれません。しかし水の温度そのものが脂肪を燃焼させるわけではありません」と述べました。
◆2:白湯は喉の痛みを癒やすのか?
一見すると白湯と喉の痛みは関係ないように思われますが、ボール氏らは「ここには温度が重要であることを示す明確な証拠があります」と述べています。
過去の研究では温かい飲み物が喉の痛みを和らげ、鼻づまりを緩和することが示されています。飲み物の温かさや場合によっては飲み物から立ち上る蒸気が粘液を緩め、喉や気道の炎症を起こした組織を落ち着かせるのに役立つとのこと。この効果は白湯だけに限ったものではなく、温かいお茶やハーブティーなども同様の症状緩和を引き起こします。ボール氏らは、「白湯やその他の温かい飲み物は、根本的な原因を治療するものではないものの、症状を和らげることができます」と述べました。

◆3:白湯には美肌効果があるのか?
一部のインフルエンサーたちは「白湯を飲むと肌の透明感が増す」などと主張していますが、これを裏付ける科学的な証拠はありません。確かに、水分補給は肌の弾力性を維持したり乾燥を防いだりする役に立ちますが、白湯が他の温度の水よりも肌の健康にいいという結果は示されていないとのこと。
また、「白湯が肌にデトックス効果をもたらす」という説もありますが、これについてボール氏らは「デトックスは肝臓や腎臓などの臓器によって行われるものであり、白湯で体を洗い流すことによって行われるものではありません。つまり、十分な水を飲むことは肌の健康に役立ちますが、水の温度はそれほど影響しないようです」と述べました。
◆4:白湯は月経痛を改善するのか?
月経痛や腹痛に悩まされている時、湯たんぽなどで外部から熱を加えることで組織を弛緩(しかん)させ、血行を改善することで痛みを和らげることが可能ですが、単に白湯を飲むだけでは不十分だとボール氏らは指摘しています。生理中に水を十分に飲むことは痛みの緩和に役立つとの研究結果もありますが、水温が関係しているとの結果は示されていません。
また、緑茶や特定のハーブ茶などには、月経痛に関わるプロスタグランジンというホルモンの濃度を下げ、月経痛の原因とされる子宮内の酸化ストレスを軽減する効果があると報告されています。適切な水分補給とこれらの飲料を組み合わせることで月経痛を和らげられますが、白湯だけが月経痛の治療薬として役立つという証拠はありません。

以上のように白湯の健康効果はまちまちですが、温かい飲み物を手に取ることは心を落ち着かせ、より多くの水分を摂取することは心身にメリットをもたらします。これらの感覚的・儀式的な効果が確かに存在するため、個人の体験談がソーシャルメディア上で証拠のように語られることで、白湯の健康効果が誇張されて広まった可能性があります。
ボール氏らは「白湯を飲むことで水分摂取量が増えたり、リラックスできたり、1日を好きな習慣で始められたりするのはいいことです。ただし、温かさそのものが重要だとは思い込まないでください」と述べました。
