by ABC South East NSW: Adriane Reardon

オーストラリア・ニューサウスウェールズ州ダルゲティの牧場に、全長約3mの宇宙船の破片が落下していたことが分かりました。現地を調査した天体物理学者により、破片はSpaceXの宇宙船「Crew-1」のものだったと報告されています。

Space junk potentially found in NSW Snowy Mountains paddocks - ABC News

https://www.abc.net.au/news/2022-07-29/space-junk-found-in-nsw-snowy-mountains-paddocks-/101277542

SpaceX Crew-1 Trunk Space Junk Found in Australian Sheep Paddock - YouTube

見つかった破片はこんな感じ。しっかり地面に突き刺さっています。



牧場主のミック・マイナーズ氏によると、この破片は家屋から離れた場所にあり、近くを通りがかったときに偶然発見したものだとのこと。マイナーズ氏は「発見当時は辺りが霧がかっていて、芝刈り機か何かだと思った」と話しています。

破片を発見したマイナーズ氏は近所に住む農夫のジョック・ウォレス氏に連絡。ウォレス氏が辺りを調べたところ、近くでいくつかの破片を発見したとのことです。



マイナーズ氏とウォレス氏は民間の航空安全局に連絡するも、「NASAに連絡してくれ」と言われたそうで、「ただの農民がNASAに何を言えばいいんだ」と困惑した2人は代わりにオーストラリア国立大学の宇宙物理学者、ブラッド・タッカー博士に助けを求めました。

現地を訪れたタッカー氏が撮影した破片の様子はこんな感じ。外装は焼けただれているものの、原形をとどめたワイヤーや断熱材、ボルトなどの部品を確認できたとのこと。またウォレス氏が見つけた破片にシリアル番号を確認できたそうで、そこから破片はSpaceXのものであることが判明したとのことです。



マイナーズ氏らが破片を発見するおよそ2週間前、ニューサウスウェールズ州など広い範囲で爆発音を聞いたり空に光る破片を見たりしたという報告が多数挙げられていました。実は牧場付近は役割を終えた宇宙船の残骸が大気圏に再突入する際の航路に近い位置にあり、ウォレス氏本人は気づかなかったものの、ウォレス氏の娘が当時大きな音を聞いていたそうです。



タッカー氏によると、この破片は1979年に西オーストラリアのエスペランス上空にNASAのスカイラブ宇宙ステーションが落下して以来、オーストラリアで記録された最大の破片である可能性があるとのことです。