シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Gさん(石川県・30代女性)

失敗続きだった就活中のある日、Gさんは帰り道で雨に降られてしまった。

傘を持っていなかった彼女は、近くの店でビニール傘を購入しようとしたのだが......。

<Gさんの体験談>

20代で就活中だった当時、なかなか仕事が決まらない日々が続き、その日も面接で上手く喋れずに落ち込んでいました。

帰宅時、追い討ちとばかりに雨が降ってくるし、連日の不採用続きで気疲れしていたこともあってか、そんな日に限って傘を持っていませんでした。

「泣きそうになりました」

幸いなことに、徒歩で約10分の位置に商業施設があったので、「そこでビニール傘を買えばいっか......」と雨に濡れながら思っていました。

しかし、信号待ちをしているとき、何故か突然雨が遮られたのです。上を見ると頭上に赤い傘がありました。身長152センチメートルの私でも頭を打ち付ける低さです。

不思議に思って振り返ると、そこには、黄色いカバーを付けたランドセルを背負い黄色い帽子をかぶった、帰宅途中らしき小1の少女の姿がありました。

彼女は自分が濡れることも構わず、かなり背伸びしながらプルプルと震えた状態で、私に傘を差してくれていたのです。

幼い子供が雨に濡れ、それでも見知らぬ私に傘を差してくれている状況に驚きつつ、慌てて「あのお店で傘買うから大丈夫だよ。ありがとね!」と声をかけました。

すると、ちょうど横断歩道が青になった事もあり、少女は

「それなら良かった!」

と笑いながら駆けて行きました。

わずかな時間とはいえ、子供を雨に濡れさせてしまったのは申し訳ないですが、あの時の私には彼女の優しさが染み渡り、泣きそうになりました。

今でも雨が降るとあの日の事を思い出し、優しい気持ちになります。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

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