シトロエン2CV サハラ(2) 時代を経て正当化される半世紀前のコンセプト 砂漠を快調に突き進めそうな足まわり
サハラ砂漠を快調に突き進めそう
シトロエン2CV サハラのキャンバストップを巻き上げ、フロントのベンチレーションフラップとサイドウインドウを開けば、開放感は抜群。ランドローバーならガタガタとボディを震わせながら進む凹凸も、バネが効いた乗り心地は滑らかだ。
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通常の2CVはやや前傾姿勢だが、サハラはきれいに水平。ブレーキはインボード配置で、鋭く速度を絞ってくれる。

シトロエン2CV サハラ/4x4(1960〜1967年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
カーブへ飛び込むと、予想通りボディロールは大きい。一方、ステアリングホイールを握る手を左右に振り回すだけで、ボディを傾けながらヒラヒラ舞うような、機敏な身のこなしではない。慣性が大きいからだろう。
とはいえ、サスペンションはリーディングアームとトレーリングアームによる、独立懸架式。最低地上高が増し、増えた車重に合わせてスプリングレートも高く、サハラ砂漠を快調に突き進めそうに思える。スピードも充分に保てる。
エンジンがあることを主張するリアのグリル
今回の車両は1966年式で、正確には2CV 4x4を名乗る。スペアタイヤは、専用プレスが施されたボンネットの上。通常の2CVは、1961年にフェイスリフトを受けてフロントグリルの形状が変わったが、サハラは最後まで同じ顔つきだった。
1965年の小改良で、フロントドアは前ヒンジに変更済み。6ウインドウ・ボディの前後には、エンジンルームの通気用ルーバーが切られている。底面には、アンダーガードが追加されている。

シトロエン2CV サハラ/4x4(1960〜1967年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
タイヤの大きなストロークを想定し、リアフェンダーはラインが異なる。パイプ製のバンパーは、スタックした際にボディを持ち上げやすくする配慮だ。
パワートレインは基本的にフロントと対象構造で、トランスミッションの出力は、ファイナルギアで逆転されている。テール部分に露出した丸いグリルが、ここにもエンジンがあることを静かに主張する。
左右それぞれガソリンを注げる2基のタンク
エンジンと同様に、ガソリンタンクも2基載っている。通常の2CVではリアに位置するが、サハラの場合はフロントシートの真下。中央で仕切られており、フロントドアの下部から突き出た給油口で、左右それぞれにガソリンを注げる。
シトロエンは、1962年に2CV サハラから2CV 4x4へモデル名を変更。販売促進を図った。しかし、通常の2CVもサスペンションのストロークが長く、前輪駆動でトラクションに優れ、充分な悪路性能を備えることは広く知られていた。

シトロエン2CV サハラ/4x4(1960〜1967年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
アフリカで暮らす人が本当に必要としたのは、燃費に優れ整備しやすく、安価な通常の2CVだった。四輪駆動版は1967年までに694台の注文を集めたが、殆どはスペインの警察やスイスの郵便局など、過酷な環境を想定した欧州の各機関へ届けられた。
1963年の英国価格は、913ポンド。ランドローバー・シリーズIIAより高価で、プジョー403と並ぶ金額だった。1967年には、エントリーグレードのシトロエンID 19と同等にまで、フランスでの価格も上昇している。
時代を経て正当化された挑戦的コンセプト
経済的な四輪駆動モデルに、需要があったことは事実。1983年のフィアット・パンダ 4x4や1984年のスバル・ジャスティは、しっかり市場の支持を集めている。
他方、電動化が進む近年に、2基のパワートレインによる四輪駆動が一般化したことは興味深い。次世代のフィアット・パンダ 4x4は、フロントにガソリンエンジンを積み、リアには電気モーターを積むらしい。

シトロエン2CV サハラ/4x4(1960〜1967年/英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
四輪駆動のバッテリーEVも、駆動用モーターを前後に積むことが通常。個別にソフトウエアで制御され、2CV サハラのように機械的には結ばれていない。シトロエンが半世紀前に挑戦したコンセプトは、時代を経て正当化されたと思えなくもない。
協力:ドイツ国立自動車博物館、ロー・コレクション
シトロエン2CV サハラ/4x4(1960〜1967年/英国仕様)のスペック
英国価格:913ポンド(新車時)/13万ポンド(約2730万円)以下(現在)
生産数:694台
全長:3785mm
全幅:1480mm
全高:1600mm
最高速度:99km/h
0-97km/h加速:−秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:735kg
パワートレイン:空冷・水平対向2気筒425cc 自然吸気 OHVx2
使用燃料:ガソリン
最高出力:27ps/4000rpm(合計)
最大トルク:2.3kg-m/2000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/四輪駆動

シトロエン2CV サハラ/4x4(1960〜1967年/英国仕様)
