エースナンバーを背負う自覚と、リーダーとしての覚悟。この3年半の全てをぶつける大舞台がやってきた。

 日本代表MF堂安律(フランクフルト)が29日の練習後、W杯メンバー選出後初めて報道陣の取材に対応。2度目のW杯に向けて「攻撃のところで数字を求めてやってきたし、チームとしての規律の守備をやってきた。特にこれということはないけど、堂安律という選手を存分に表現できるような大会にしたい」と静かに決意を語った。

 初のW杯出場を果たした2022年のカタール大会ではドイツ、スペインを破る2ゴールを記録した堂安。紛れもなく個人として大きなブレイクを遂げる大会だった。しかし、結果として刻まれたのはベスト16敗退という現実。堂安の心に残ったのは個人の結果への手応えよりも、チーム内の役割における力不足感だった。

 クロアチア戦翌日、堂安は解散式後の囲み取材で自らに責務を突きつけた。「ずっとエースになりたいと言ってきたけど、リーダーにならなくちゃいけないと思う。自分がリーダーになる覚悟を持って本当に今日からやっていきたい」。川島永嗣、長友佑都、吉田麻也--。頼れるベテランたちが大会中に果たした役割を、それ以上の形で受け継いでいこうという決意表明だった。

 あれから3年半、堂安は言葉以上に独自のリーダー道を切り拓いてきた。エースナンバーの10番、遠藤航不在時のチームキャプテンといった象徴的な役割にとどまらず、第2次森保ジャパンでの先発数21試合は遠藤に続く2位タイ。「攻撃的3バック」と呼ばれる布陣のウイングバックを担い、「上手い選手があんなに走る」(森保一監督)というコンセプトを体現することで絶大な貢献度を誇った。

 今回のW杯に向けた「特にこれということはないけど、堂安律という選手を存分に表現できるような大会にしたい」という決意表明は、そうした堂安の3年半を象徴するような言葉でもある。視線の先にあるのは世界の強豪相手のゴールではなく、世界の強豪を勝ち抜いての優勝。「世界一」という唯一のミッションに導くことだけだ。

 その覚悟はW杯で10番を背負うことへの問答でも垣間見えた。堂安は「10番を着けたいというのは代表に入った時から言っていたことだし、それを叶えた自分をもちろん褒めたい」と過去の自分をねぎらいつつも、今回コーチとしてW杯に臨む名波浩氏、中村俊輔氏といった先代への敬意を口にしながら最後はきっぱり。「もちろん嬉しいけど、10番を着けてピッチに立つことが目標じゃないので。僕の目標は優勝することというのは常に言っている。そこにフォーカスしていく」と言い切った。

 10番を背負うからにはもちろん、ピッチ上で結果を出すことも求められる。ただこの男に限れば、いざ大舞台に立ってしまえば不安はない。「間違いなく責任感は前回大会とは比べものにならないほどあるし、前回以上に自分は間違いなく緊張するだろうとは予測しているので、覚悟を持って今から準備していきたいと思います」。過去最高の期待が寄せられているW杯。堂安律は日本の10番として、日本のリーダーとして背負いに背負って夢舞台に乗り込む。

(取材・文 竹内達也)