なぜ25年落ちのスバル「インプレッサ」が3000万円超!? 鮮烈ブルーの“超極上車”の正体とは

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25年落ちのスバルが3000万円超?

 1998年製スバル「インプレッサ22B STiバージョン」が2023年3月、世界的なオンラインオークションのコレクティングカーズに出品され、19万6500ポンド(約3160万円)で落札されました。

 インプレッサ22B STiバージョンは、日本で発売された1998年当時、新車価格500万円(税別)でしたので、25年落ちの中古車が新車時の6倍超という高値で取り引きされたということになります。

コレクティングカーズに出品された「インプレッサ 22B STiバージョン」(photo:Collecting cars)

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 近年の国産スポーツカー高騰を象徴するような事例ですが、同車が世界的に人気なのは単に「日本生まれのスポーツカーだから」という理由だけではなく、WRC(世界ラリー選手権)最強マシンのロードモデルという色褪せない付加価値があるからでしょう。

 WRCは市販車をベースにした競技車が一般道でタイムを競うモータースポーツで、特に欧州では根強い人気があります。自動車メーカーにとってもWRCでの活躍は、欧州でのブランドイメージ向上につながるとされています。

 1990年代、スバルはインプレッサをベースにしたマシンを投入、三菱「ランサーエボリューション」とともにWRCを席巻しました。しかも日本車初の3連覇(1995年〜1997年)を果たします。そんな最強伝説を生み出した競技車のイメージを可能な限り忠実に再現したのがインプレッサ22B STiバージョンなのです。

 車名にあるように手掛けたのはスバルのモータースポーツ活動を支えるチューニングファクトリー「STI(スバルテクニカルインターナショナル)」です。

改造部位は多岐に渡り、例えば外観上で最も分かりやすいのは、前後フェンダーの張り出しでしょう。全幅が標準仕様より80mm広い1770mmで、左右タイヤ間隔も広くなっています。

 1994ccから2212ccへと排気量アップを図ったエンジンを搭載するなど、走りのメカニズムも特別な設計になっています。車両型式は「E-GC8改」、改造登録車として400台限定販売され、即完売しました。

 今回、コレクティングカーズで落札された同車は、400台のうちの111番。走行距離計は1万5495マイル(1万6440km)と表示されています。フロントホイールアーチなどに小さな傷があるものの、ソニックブルーの塗装はオリジナルであると考えられており、機械的な故障はなく、保存状態は良いと記載されています。

 STIが手掛けたコンプリートモデルを含め、インプレッサには多くの特別仕様があります。なかでも22B STiバージョンはWRC参戦マシンのいわば正統なレプリカというだけあって別格。その威光の輝きは強まるばかりです。