目指せフランス! ルノー ルーテシア燃費チャレンジ800kmの旅

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■優勝者にはフランス取材がプレゼントされる! 

それは、編集長から送られてきた一通のメールから始まった。「今度、ルノーの燃費を競う大会があるから2人で参加してきて」

まだドライバー編集部にきて1年ちょいしか経っていない新人編集部員の私・小暮と赤羽根に課されたミッション。内心、「優勝を狙うなら、経験豊富な先輩たちのほうがよほどいいのでは…」と脳裏をよぎったが、これもひとつの経験。経験浅い新人ゆえに勝つのは難しいかもしれないが、意を決して挑むことになった。

ちなみに、今回の大会の概要を簡単に説明しておくと、

・競技車両はルノー ルーテシア Eテックハイブリッド
・出発地点は横浜の日産本社ギャラリー
・到着地点は愛媛県松山市にある、歴史的なフランス建築である「萬翠荘」
・片道約800kmのその行程で、到着時点の平均燃費値が一番良い数値を記録したチームの優勝
・優勝チームには2人分までのルノー施設取材旅行がプレゼントされる

フランスメーカーのルノーにちなみ、到着地点をフランスに縁のあるところがゴール地点。ずいぶんこだわっているなぁと思い調べたところ、1922年に旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨(ひさまつさだこと)伯爵が、別邸として建設したフランス風の洋館らしい。フランスでの生活が長かった伯爵好みに仕立てられ、当時最高の社交場だったそうな。

と、まあ前置きはこのぐらいにしていざ出発!

トップバッターは私。赤羽根とカメラマンが乗車する伴走車(日産ノート オーラ)に荷物をなるべく押し込み、軽装で臨む。しかし、いきなり事件が…。


●出発前のルーテシアのメーター

■慣れないナビに大苦戦&迷子!?

出発前に、スタッフさんがナビのセットをしてくれたのだが、なんだか操作が複雑そう…。軽く不安を覚えたが、とにかく出発した。日産本社を出てすぐの高速道路の入り口に向かう。

が、なぜか突然ナビが現在地を示さなくなり、パニック状態に! 走行しながらなので安全に気を配りつつ、ナビを元の状態に戻そうとするもうまくいかず…。しかも運のないことに信号が変わるタイミングが悪く、後ろを走っていた伴走車とはぐれた状態で高速道路に乗ってしまった。

ただ、幸か不幸か、その先は結構渋滞しており、かなり遅いペースでクルマが流れていた。「この渋滞中にナビをどうにかするしかない…!」。そう決意した私は、いろんなタッチ式のスイッチを触れまくり、試行錯誤の末、ようやく現在地を示す本来のナビ画面に戻った。

ただ、そうやって右往左往していたからか、ひとまず作戦を立てるため立ち寄る予定だった海老名サービスエリアに到着したのは、伴走車から遅れること30分後だった。

「はぐれちゃダメでしょ。しかも先に行ったのになんでこんな遅いの?」とカメラマンに叱られ、ショボンとする私…(泣)。下調べが足りず、かつ協調性に欠けた運転であったのも確か。ただただ反省。

でも、燃費値は出発直後に示していた4.0L/100km(フランス車なので燃費計は欧州式の表示)から、3.8L/100kmほどに下がっていた。日本式に換算してみると、約25km/Lから約26km/Lにわずかだが向上している。渋滞時のノロノロ運転でも、なるべくEV走行を心がけていたのが報われた形になった。



■順調に燃費が伸び、優勝も見えてきた?

海老名サービスエリアからは赤羽根にバトンタッチ。私はノート オーラでルーテシアの前を走ることになった。

ここからは特に混雑している様子もなく、順調に距離を稼ぐ2台。ただ、”燃費チャレンジ”なので法定速度での巡航だが(もちろん一番左車線をなるべくキープ。登坂車線があるときはそれも利用した)。


●富士山をバックに、快調に走るルーテシア

道中、走りの撮影などもこなしつつ、ある程度走ってはサービスエリアで交代。二人共ルーテシア Eテックハイブリッドの特性をつかんできたのか、順調に燃費計の数値も向上していく。


●サービスエリアで休憩中のところをパシャリ

ハイブリッドだから当たり前でもあるが、なるべくEV走行させるのが好燃費のポイント。バッテリー残量とのバランスもとりつつ、60~70km/hぐらいの速度で走らせるとEV走行率が上がり、ルーテシア Eテックハイブリッドは燃費が伸びる。バッテリー残量が減ってくると、途端にEV走行率が下がるが、そういう場合は少し速度を上げてからアクセルを離し、回生ブレーキで充電させてやるといい。特に、下り坂では回生ブレーキをかなり活かせるため、ほぼEV状態で走らせることもできた(ともに運転した赤羽根も同意見だった)。

ルーテシア Eテックハイブリッドは2つのモーターと(発電用と駆動用)1.6Lエンジン、そして両車をつなぐルノーF1由来の、ドグクラッチを使ったマルチモードATでハイブリッドシステムを構成。基本的には、低速域ではEV、中速域ではエンジンとモーター、高速域ではエンジンで巡航するようになっている。ただ、前述したように、バッテリー容量に余裕があれば意外とEV走行領域が広く取られているなと、実際に運転して感じた。

それと、このロングランで感じたのが、ルーテシアの高い長距離走行時の快適性だ。シートは硬めだが姿勢が安定し、長時間走っていても腰が痛くならない。足まわりも程よく引き締められており、フラットで姿勢変化の少ない走りを示す。直進安定性も高く、運転していて疲れにくかった。


●ルーテシアは長距離をよく走るユーザーにはピッタリなモデルだ

そうこうしているうちにすっかり日も暮れ、そろそろ一日目の宿にむかうことに。この日の最終ドライバーは再び私。ちなみに交代直前、赤羽根から「今、燃費計の数値3.2L/100km(約31km/L)までいきました!」との報告が。他の媒体の数値はわからないが、かなりの好記録である(ちなみにカタログ値は25.2km/L)。「これ、頑張ればいけるのでは……?」と、がぜんやる気が満ちる私。アクセルワークに細心の注意を払い、EV走行をできる限りキープする。バッテリーがなくなってきたら、下り坂で回生チャージ。燃費計チラチラ見ながら(でも安全運転で)、ようやく宿に到着した。

そしてなんと、この時点で燃費計が示した数値は3.1L/100km(約32km/L)! 

この領域になると、なかなか数値が上がらず苦労したが、一日目の終わりでこの数値は、我ながらよくやれたほうだと思う。同行した2人も「おぉすごい!これなら優勝いけるんじゃない?」と喜んでくれた。



■運命の2日目、ここからが”地獄”だった…。

現在、燃費値は3.1L/100km。頑張ればさらによい数値も期待できるはず。気合いを入れてルーテシアのスタートスイッチを押し、発進した。再び高速道路に乗り、一路萬翠荘を目指す。

しかし、1日目の道とは異なり、やたらゆるい勾配が多い。短い上り坂ならまだ対策のしようもあるのだが、ゆるくて長い上り坂がひたすら多いのだ。

頑張ってEV走行を続けていると、あっという間にバッテリーがひと目盛り、ふた目盛りと減っていく。そこで、回生充電をしようとすると、坂なので最低限の車速を維持できない。仕方ないので、少しアクセルをあおり、車速を上げてから回生させる。しかし、バッテリーの目盛りがなかなか増えない…(汗)。

ここからはひたすら我慢の運転が続いた。

姫路を抜け、岡山県に入り瀬戸大橋にたどり着くも、燃費計の数値は3.2と3.3の間を行ったりきたりしていた。バッテリー残量もなかなか増えない。

私がどうにか編み出した対策は、少し加速させてそこから減速して回生→バッテリーが少しでも溜まったらEV走行→バッテリーがなくなったらまたこれを繰り返すという、苦肉の策だった。


●瀬戸大橋でも必死のエコランが続く。景色を楽しむ余裕はない

香川県に入ってからも状況は変わらず、思わず歯ぎしりしたくなるような心境だったが、どうあがいても燃費計の数値は好転しなかった。最終的に3.3/100kmになった状態で、最終ドライバーの赤羽根にバトンタッチ。私が運転するノート オーラのバックミラーに映るルーテシアも、かなり苦労して走っている様子がうかがえた。


●パートナーの赤羽根も、坂に苦しめられている様子だった

そしてついに愛媛県松山市に突入。最後は残りわずかな一般道での燃費にかけるしかない。一般道では信号があるため、またはぐれないように慎重にノート オーラを走らせる。ルーテシアも我慢の走り(かなりゆっくり)で最後の希望を見出そうとしている。


●松山市内の一般道。しかし、燃費は……

ついにゴール直前まで来たとき、以前にここにきたことがあるカメラマンから一言「最後はかなりきつい坂を登るよ」

あぁ……なんと無情な……(泣)。


●ここが目的地「萬翠荘」の入り口。山道のような傾斜だった

ゴールの萬翠荘までの道はかなり狭く、確かに急斜面だった。燃費が最後に落ちてしまわないか心配だったが、最終的には3.3L/100km(約30km/L)でゴールイン。結局、最良値の3.1L/100kmよりは低下してしまったが、ここまでの道のりを走ってきてこの数値は、2人とも結構頑張れたほうだと思いたい。


●なんとか3.3よりは悪化せずにゴール。お互いよく頑張りました


●ゴールの萬翠荘で記念撮影

競技車両のルーテシアはすぐにスタッフに引き取られ、そこからはノート オーラで移動することになったが、ノート オーラもその時点で22.5km/Lを記録していた。


●ノート オーラの燃費計


●松山市内を走る路面電車とノート オーラ

長いようで終わってみればあっという間の、濃密な3日間。大変だったけれど、いろんな意味でいい経験だった。改めて、この大会を開催してくれた、ルノー・ジャポンに感謝しきり……優勝できればいいなぁ。

〈文=ドライバーWeb編集部 写真=山本佳吾〉