2021年は「ビストロ」に注目!ひとり飯もOKな路地裏の新店を発見
2020年11月、神保町駅から徒歩2分の閑静な路地裏に、「bistro amano(ビストロ アマノ)」がオープンした。出迎えてくれるのは、日本橋「ビストロトラディシオン」に6年間勤めたシェフ天野直樹さんと、奥様でソムリエールを務める通子さんのご夫婦。リラックスしてフレンチを堪能できる、隠れ家的なビストロだ。
〈今夜の自腹飯〉
予算内でおいしいものが食べたい!
食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?
出版社や古書店が多く文化の香り漂う、神保町

神保町駅から、歩いてわずか2分の路地裏にある「bistro amano」。古本屋やカフェの多い落ち着いた街で知られる神保町の閑静な路地裏にオープンしたばかりである。にもかかわらずどこか懐かしく、なじみの良さを備えてたたずむ。
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木を活かした落ち着きのある内装はアットホームな雰囲気で、気軽にくつろぐのにふさわしい。細長くウナギの寝床のような店内は、分け隔てなくゲストを歓迎してくれる。
シェフやソムリエールと距離が近く、気軽にコミュニケーションをとることができるコンパクトな空間が心地よい。恋人同士や夫婦、親しい友人たちと、ゆっくり楽しめそうだ。
壁には、オープンのためにオリジナルで描いてもらったという絵がさりげなく飾られている。通路側の黒板メニューは見やすく、オーダーが選びやすい。オーダーと一緒に、ソムリエールの通子さんに合わせるワインの相談もしやすいレイアウトだ。
「bistro amano」では、「基本に忠実」とのコンセプト通り、奇をてらわない伝統的な料理が主体。フランスの各地方で受け継がれてきたおいしさを大切にしている。その一方で、旬の国産材料を最適に料理することへの探求心も旺盛と聞いて、期待が高まる。
長く愛されてきた素朴な料理とアイデアを尽くした料理のラインアップ

「bistro amano」の楽しみ方は、その日に食べたいものを好きなように頼めるところにある。今回はフランス南部の郷土料理をメインに据え、シェフが得意とするシャルキュトリーと、福井から取り寄せた魚を使った冷菜でまとめてみた。ひそかにおすすめなのが、シェフが自ら焼くライ麦パン。席代に含まれている上に、何とお代わり自由。表面がパリパリしていて、中はみっちりとしているのに柔らかくソフト。香ばしく味わいがあるのに、食事の邪魔をしない絶妙な存在感は、どの料理にもぴったりだ。
他では味わえない、オリジナルのシャルキュトリー

自家製のシャルキュトリーは、シェフ自身が大好きなアイテムというだけあってバリエーション豊かな品揃え。以前の店で長い間扱ってきた経験をもとに、少しずつ変化を加えて今の形になった。
好きなものを単品で頼むのもいいが、色々試すならお店イチオシの「シャルキュトリーの盛り合わせ」がいいだろう。
その日のおすすめとして盛り合わせられるのは、7〜8種類のシャルキュトリー。今回は、「パテドカンパーニュ」「ソーシスジャンボン(豚もも肉の冷製ソーセージ)」「ニンニクとショウガのソーセージ」「ミュゾー(花悠仔豚の頭肉ハム)」「マグレ鴨の生ハム」「豚バラ肉の自家製ベーコン」「ロースハム」の7品が並んだ。どれも肉の扱いに長けたシェフのお手製品である。
中でも「ミュゾー」は特に人気の品。花悠仔豚(かしゅうこぶた)の頭を塩漬けにして、骨ごと煮込み、骨から外して丸めたものをスライスしたもの。豚の頭はゼラチン質のコラーゲンが豊富なのでコクがある。合わせるワインは、赤ワインでも重すぎずすっきりキレイ目のタイプがよいだろう。

料理に合わせるワインを紹介してくれたのは、シェフの奥様、ソムリエールの通子さん。料理と合わせるワインはパンチがききすぎず、優しい味わい。ワイン専用の寒冷室には赤、白、ロゼ、スパークリングなど約80種類、200本以上のストックが控えている。
クラシックなフランス料理に合わせてフランス産ワインが一番多いが、産地にこだわらず豊富な品揃えを誇っている。イタリア産やオーストリア産、日本のワインも含めておいしいと思ったものをいろいろなエリアから取り寄せているという。
またボトルだけでなく、日替わりで楽しめるグラスの提供も多い。1本で通すのもよいが、いろいろな種類を楽しむならグラスやカラフェがおすすめ。

同じ地域の料理とワインは合うのがお決まりなので、ぜひ試してみたい。例えばフランス南西部の郷土料理「カスレ」に合わせるなら、同じ南西地域合わせで「カオール」の赤ワイン。あるいは、ソーセージをはじめとする肉食文化といえばドイツ、という点から発想して、ドイツ産のリースリングの白ワインなどを選ぶのも面白い。
「肉には赤」といった一般的な食材合わせだけではなく、料理のルーツから連想されるエリア合わせでペアリングするのも粋な選び方ではないか。
とはいえ、「あまりこだわらずに飲んでみて、自分の好きな組み合わせを見つけてもらえたら」と通子さん。主役の料理に寄り添ったものがセレクトされているので、気軽に相談してみたい。
福井から取り寄せる日本海の恵み。たっぷり野菜と一緒にいただく魚の冷菜

豚肉加工品が得意な天野シェフだが、魚料理にも力を入れている。魚はすべて福井県の魚屋から仕入れ、届いた魚によってどのようなメニューにするかを考えているという。どんなものが出てくるのか、ゲストにとってワクワクする一瞬だ。
この日の冷前菜はたっぷりと脂がのった日本海産の鰺に、厳選した葉野菜をあしらった一皿。日本海の荒波にもまれているからか、「これが鰺?」と思うほどのボリューム感だ。
レモンで軽く〆た鰺の下には、大根を細く千切りにして塩揉みしたものを忍ばせ、ほんのり香るパクチーやわずかに酸味のあるナスタチウム、ディル、セルティーユ、小さいクレソンなどの香草をのせて、サラダ風に仕上げている。
それらをまとめるのが、イタリアの“コラトゥーラ”というカタクチイワシの魚醬を使用して、うまみと塩味を加え入れたドレッシング。野菜の緑に、ブラックオリーブの粒と紅芯大根の鮮やかな赤が映えてなんとも美しい。このたっぷり盛られた野菜を鰺と一緒に、ざっくりと食べるのがよい。
口に入れると肉厚で豊かな脂のうま味と酸味が広がる。そこに、大根の食感や野菜の香り、紅芯大根の甘みなどが合わさり、前菜とは思えぬ満足感ある一皿となっている。
ボリュームたっぷり。体も心もほっとする土鍋料理「カスレ」

メインには伝統料理「カスレ」をチョイスした。トマトやソーセージ、豚足などを煮込んだフランス南西部の郷土料理である。上にのせられているのは、低温のオイルで煮た鴨のもも肉のコンフィだ。白いんげん豆の煮込みの中にはソーセージと豚バラ肉を塩漬けにしたものが入っている。アツアツの湯気と一緒にうまみの詰まった香りが立ち上る。
上にのせられた鴨の皮はサクサクとして、とにかく骨離れが良く柔らかいことに驚く。フォークだけでもサクッと簡単に切れてしまうほどだ。このコンフィを、フォークで崩しながら煮込みと混ぜて一緒にいただけば、まず口の中にあふれるのは、煮込んだ豚バラから染み出す脂部分のじわっとした甘み。さらに、強めの塩気が豆と絶妙な調和を奏でる。うまみの詰まった鴨とソーセージ、豚バラ肉と合わせて三者三様の食感とおいしさを堪能。量も質も、大満足間違いなしの一品だ。
我が家のごとくくつろげる、オーナー夫婦の心遣い

ここは、一人でふらりと立ち寄っても、まるで我が家に帰ってきたような温かさを感じるビストロだ。アミューズ1品とワインで軽く一杯、という気軽な使い方をする常連さんもいるそう。
天野シェフいわく、「ゲストによって変化はつけるが、基本的にやることは変わらない」。味の好みを伝えて相互のコミュニケーションを楽しむのもよし、季節によって異なる入荷食材をどう変化させるかお任せで楽しむのもよし。気取ったところの一切ないシェフのこだわりは、すべて料理の質に注がれている。
メニューに載っている量は2人前が基本だが、1人で訪れた場合、量を調整することもできる。また、多くの品数を楽しむために、2人前を1人前でオーダーし、2人でシェアするのもOKとのこと。「自由な楽しみ方をしてください」との店の懐の深さに甘えたい。
価格はお手頃ながら、ボリュームたっぷり。安心してお腹いっぱい食べられるのがうれしい。
お財布にも優しく、行きつけの店にふさわしい。素朴なフランス料理とおいしいワインを気軽に楽しめる、自分だけのダイニングシートになりそうだ。
【本日のお会計】(2人)
■食事
・シャルキュトリーの盛り合わせ 1,980円
・福井産鰺と大根、コリアンダーの一皿 1,370円
・カスレ 2,800円
■ドリンク
・グラスワイン 700円×4
■その他
・席料・パン代として 500円×2
合計 9,950円(1人 4,975円)
※価格はすべて税抜
<店舗情報>
◆bistro amano
住所 : 東京都千代田区神田神保町2-20 東明ビル 1F
TEL : 050-5869-8548
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。
※本記事は取材日(2021年1月27日)時点の情報をもとに作成しています。
取材:岡崎たかこ(grooo)
文:増山順子(grooo)
撮影:松村宇洋
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