ライオンが歯磨き粉などのオーラルヘルスケア事業で高価格帯戦略を加速している。

 中東情勢の悪化で事業環境に不透明感が漂う中、今後の成長戦略について竹森征之社長に聞いた。(聞き手・高市由希帆)

――中東情勢の悪化で原油価格の高騰や原油由来のナフサの供給停滞などの問題が起きている。足元の経営環境をどう見ているか。

 「極めてタフな状況だ。原油価格が1バレル=100ドルの水準が続けば、年間で30億〜40億円のコスト増になる。だが、厳しい時だからこそ、普段できないことに挑戦できるとポジティブに捉えている。今あるアゲンストをはね返し、自力を見せる」

 「目下最大の経営課題は、利幅の高いビジネスモデルにシフトすること。コスト削減は当然しないといけないが、将来の成長に禍根を残してはだめだ。コスト増を打ち消すべく、付加価値の高い利幅の大きい商品をどんどん売っていく」

 「高齢化で日本だけでなく東南・南アジアでも『口の健康』への意識が高まり、オーラルヘルスケア商品は高価格でもそれに見合う価値があれば買ってもらえる環境になっている。洗剤よりも原油価格の影響も受けにくく、オーラルヘルスケアを伸ばせばナフサの問題に伴う悪影響も打ち返しやすくなる」

――オーラルヘルスケアはこれまで中価格帯が中心だった。

 「昨年後半から本格的に高価格帯商品の投入を進めている。昨年9月に2000円を超える当社最高価格帯の『デントヘルス薬用ハミガキ DXプレミアム』を発売した。歯茎の修復力を高めて歯槽膿漏を予防する商品で、発売直後の好調ぶりを今も維持している。二の矢、三の矢と発売している新商品もうまくいっていて、自信を深めている」

 「今後は、『LION』というコーポレートブランドの強化にも取り組みたい。歯科医院を通じて口腔ケアの習慣化を支援するオンラインサービス『OraCo(オラコ)』や、従業員の口腔健康を促進する法人向けサービス『おくちプラスユー』など、130年以上にわたり培ってきた口腔ケアのノウハウを活用した事業にも乗り出している」

 「単にハミガキや歯ブラシ、洗剤などの日用品を売っているだけではなく、『より良い習慣を浸透させる企業』としてのブランドイメージの確立を目指す」