上位15か国のiPS細胞論文総数

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 読売新聞が行ったiPS細胞の論文数に関するデータ分析で、山中伸弥・京都大教授による初作製の報告から20年を迎える年に、日本の研究力が伸び悩む現状が明らかになった。

 国際共同研究が少ないなどの弱点も浮かび上がっている。

 iPS細胞から作ったパーキンソン病の再生医療製品による治療は今秋にも始まる見通しで、製品の実用化は世界初となる。心臓病治療用の製品も実用化が目前で、目の病気や脊髄損傷、糖尿病の治療で治験や臨床研究が進んでいる。

 こうした成果は、論文として世界に発信される。専門家が審査する学術誌に論文が載るのは、世界で一定水準以上の研究と認められた証拠だ。日本の論文数が世界3位であることについて、八代嘉美・藤田医科大教授(幹細胞生物学)は「国がiPS細胞医療の実用化を目指して巨額投資した政策は、一定の目的を達成したのではないか」と評価する。

 ただ近年の論文数でみると米中との差が広がり、欧州との差は縮まっている。世界トップクラスと評価される論文の割合は、調査した15か国中最下位となり、日本が製品開発と臨床応用で将来も世界を先導できるかには、不安が残る。

 2015〜24年の日本の論文数3876本のうち国際共同研究をした論文は1064本で、割合は27・5%だった。分析した15か国で最も低い割合で、米国は40・9%、中国でも35・6%を占める。日本を急追する欧州は大半が60%超だ。仙石慎太郎・東京科学大教授は「国が支援したことで、研究が世界との協調ではなく内向きになってしまった」と話し、危機感を示す。

 文部科学省でiPS研究の支援策を担当した菱山豊・順天堂大特任教授(科学技術政策)は「国際協力を手段にして、研究を発展させていく次世代の研究者を育成し、基礎研究や、異分野からの新規参入を促すような支援をすべきだ」と指摘している。(冨山優介)