Image: RAYMOND WANG / GIZMODO US

HPから発売されたフラグシップモデルのゲーミングPC「OMEN MAX 45L」。

洗練されたケースデザインと「OMEN Cryo チェンバー(オーメンクライオチェンバー)」という独自の冷却設計、そしてモンスター級のスペックを備えた、いわゆる完成品のゲーミングPCです。

米GIZMODO編集部がこのOMEN MAX 45Lに実際に触れてレビューしています。ゲーミングPCとしての実力や、注目の冷却システムがどれほどのものなのか見ていきましょう。

一般的に、高価な製品にはそれ相応の品質を期待してしまうものです。今回レビューするHP OMEN MAX 45Lは、貸出機の構成で6,500ドル(約103万円)もします。

もちろん、この価格は誰が見ても高額です。それは間違いありません。しかし、RAMやSSDの価格が高騰している現在では、OMEN MAX 45Lの価格は不思議と合理的に見えなくもありません。こうした構成のPCを検討する場合、自作を検討する人も多いでしょうが、一方で自作するよりも完成品タワーを購入したほうが良いという見方もあるでしょう。

そして、今の状況を鑑みると完成品PCのメリットは単に利便性だけではないと言えそうです。ただ、メーカー独自のアプリが多すぎることや、乱雑なケーブルの配線など、気になる点はありますがね。

デスクトップ内部は蛇の巣のよう

OMEN MAX 45Lは、スペック面では非常に充実しています。米GIZMODOに届いたレビュー機は、CPUにAMD Ryzen 9 9900X3Dを搭載したモデルでした。

(訳注:日本ではAMD Ryzen 9 9950X3D搭載モデルが近日発売予定、価格未定。AMD Ryzen 7 9800X3DとNVIDIA GeForce RTX 5080構成で89万9800円)。

ただし、このチップはゲーマー向けのRyzen 7 9850X3Dでもなければ、ほかの主力CPUの2倍の3Dキャッシュを持つ新しいRyzen 9 9950X3D2 Dual Editionでもありません。

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非常に巨大なNVIDIA RTX 5090 GPUに加え、このPCには64GBのゲーミング向けRAMと、1,200Wのフルモジュラー電源が搭載されています。RGBライティングの光源は、4つのファンと16GB×2のKingston Fury DDR5 3600MHzメモリのみ。

もうひとつの目を引く要素が、CPUクーラーに搭載されたスクリーン。デフォルトではCPUとGPUの温度が表示されますが、OMEN Gaming Hubアプリの設定によって好きな表示内容へと変更できます。

マザーボードには、各コンポーネントを隠すようなカバーなどが一切ありません。そのため、PC内部を巡る乱雑な電源ケーブルがむき出しになっています。

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この内部の見た目は、すべての人に好まれるものではないでしょう。美的感覚は主観的なものとはいえ、このケーブルマネジメントを「合理的」と評価する人はほとんどいないはずです。GPUの電源コネクタは、だらしなく垂れ下がりながらマザーボードの下へと消えていきます。ガラス越しに見えるほかのケーブルも、やはり美しいとは言えないでしょう。

サイドパネルを外すと、まるで蛇の巣のような配線の束が表われます。プラスチックの結束バンドにはラベルがなく、それぞれのケーブルが何に使われているのかは推測するしかありません。そしてこれらは、すべて1,200W電源に接続されています。

このあたりは、他社製品であればもっとわかりやすく設計されています。たとえばAlienwareの最新Area-51デスクトップでは、各パーツの交換方法を示すQRコードが用意されていますし、MaingearのApexなどの配線ははるかに整然としています。

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このケースには、巨大なRTX 5090を安定させる専用GPUブラケットが付属していて、ここはポイントが高いですね。ほかの完成品PCのように、開封時に面倒な緩衝材を取り外す必要もありません。

実際に取り出す際、ケースのアーチ部分はしっかりとした持ち手として機能し、箱からデスクへ移動するのも容易でしたし、多少揺らしても、内部はしっかり固定されたままでした。

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ポート周りについては、上部パネルにUSB-Aが2つ、USB-Cが1つ、そしてイヤホンジャックが搭載されています。

一方で背面側のポート類はやや物足りません。USB-Aが6つ、USB-Cが2つ、そしてイーサネットポートとマイク/ヘッドホンジャックがあります。もちろんGPU側にはHDMIとDisplayPortが3つ用意されていますが、HDMIが1つしかないのは残念ですね。

電源ユニットのファンの回転方向を逆にして、内部のホコリを吹き飛ばす機能も搭載されています。今回は猫や犬の毛などでテストする時間はありませんでしたが、このファン制御機能は完成品モデルならではの利点といえます。

小さいながらも際立つ冷却の工夫

内部のことはさておき、OMEN MAX 45Lは、黒い金属とプラスチックによる洗練された外観を持っています。ただし、本当に注目すべきは冷却システムです。ほかのPCケースと比較すると、Omen Max 45Lはファンの設置数が少ない代わりに、CPUラジエーターをケースの外側に収める独自の構造を採用しています。

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HPが「OMEN Cryo チェンバー」と呼ぶこの冷却システムは、アーチの下から空気を吸い込み、上部から排出します。上部パネルは取り外し可能で、掃除や別のAIOクーラーへの交換も容易です。

HPによれば、この冷却システムにより同スペックのPCと比較して若干高い性能を発揮するとのこと。CPUが低温で動作すれば、それだけより効率的にゲームをプレイできるわけです。

実際の効果は、重いゲームで1〜2fps程度の差かもしれません。でも、数千ドルもするPCを購入するのであれば、性能は1ミリたりとも無駄にしたくないものです。とはいえ、発熱するのはCPUだけではありません。電源ユニットやGPUからの熱風もケース内を循環しており、これらを1つの排気ファンだけで負担するのは大変でしょう。

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吸気が排気より多い場合、ケース内部は正圧状態になります。この冷却方法は、ケース内にホコリが溜まるのを防ぐ効果がありますが、同時に熱がこもるリスクもあります。しかし、今回のレビューでさまざまなゲームでテストした際には、CPUとGPUの温度はいずれも71℃を超えることはありませんでした。

この筐体の前面パネルは吸気ファンを覆っており、エアフローを多少制限する可能性があります。そこで私はGPU負荷の高いゲームである『黒神話:悟空』を、レイトレーシングを最大にした状態でテスト。前面パネルあり・なしでそれぞれの温度を比較しました。

その結果、前面パネルを外したときに、GPU温度は平均で約2℃低下しました。とはいえ、性能に大きな影響が出るほどではありませんが。

ファンがフル稼働していても、OMEN MAX 45Lの動作音は非常に静かで、長時間近くに置いていても気にならないレベル。つまり、デスクの下に押し込めるのではなく、脇に置いて使えるタイプのPCなわけです。

これはゲーミングモンスター

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AMDの高性能CPUとNVIDIA GeForce RTX 5090を搭載したこのPCは、あらゆるタイトルで4Kゲーミングを容易に実現します。ベンチマークしたほぼすべてのタイトルで、アップスケーリングに頼らず4K/60fpsを達成できました。

このPCのスペックは、まさにゲーミングモンスターであり、それでいて過剰に主張することもありません。同じRTX 5090搭載で、CPUがIntel Core Ultra 9 285K構成の「Alienware Area-51」と比較しても、4Kおよび1080p解像度ともにパフォーマンス的には上回る結果。

『サイバーパンク2077』、『黒神話:悟空』、『Horizon Zero Dawn Remastered』などのゲームで高性能を発揮し、3DMarkのベンチマークでも明確に優れた結果が出ました。

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AMDのX3Dプロセッサは「3Dキャッシュ」技術により、メモリをチップ上に積層し、アクセス速度を向上させています。これはリアルタイムレンダリングにおいて特に有効です。

ただし、すべての用途で優れているわけではありません。Geekbench 6やCinebench 2024では、Intel Core Ultra 9 285Kのほうがマルチスレッド性能では優勢。またBlenderのCPUレンダリングでも、若干遅めの結果となりました。

OMEN MAX 45Lは完全にゲーミング向けのPCです。最上位構成でなく、Ryzen 7 9800X3Dを選んだ場合でも非常に高い性能が期待できます。最高のグラフィックスを求めるならRTX 5090が必要ですが、より安価なGPUを搭載した場合でもOMEN Cryo チェンバーの冷却効果によって、ほかのPCより多少の性能アップが期待できるかもしれません。

RAM高騰という現状を受けて

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冒頭にもに述べたように、気になる点の1つとして、メーカーアプリが多いということがあります。

レビュー機には、「HP Smart」、「HP Diagnostics」、「HP Support Assistant」などのアプリがインストールされていましたが、ゲーミングPCには不要です。OMEN Gaming Hubは許容できますが、HP Smartは起動のたびにクラッシュしましたしね。

そして、改めて内部ケーブルについて。OMEN MAX 45Lの配線はもっとプロが組んだPCのような見た目であってほしいと思いますね。本来、完成品PCは手軽に高品質な環境を得られることが利点のはずです。通常であれば、自作のほうが安いとおすすめしますし、初回起動時の達成感も大きいものです。

しかし、現在の経済状況では高性能パーツを揃えるだけでも大変です。32GBのRAM2枚で1,000ドル(約15万円)以上かかることもあります。PCPartPicker(自作PC用のパーツ組み合わせ試算サイト)で同等構成を試算したところ、ケース抜きでも6,000(約95万円)ドル近くになりました。なんならRTX 5090だけで3,000ドル(約47万円)以上します。

完成品として利便性だけでなく冷却システムなど性能の高さを持ち合わせていますし、なにより容易に4Kゲーミングを実現できるという大きな強みがこのPCにはあります。

いずれにしてもこのPCが高価であることは間違いありません。この価格が支払えて、かつケーブルの乱雑さも許容できるという人にとっては、OMEN MAX 45Lは非常に有力な選択肢といえるでしょう。

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