「斬新な試み」「やり過ぎ」と賛否 「水ダウ」前代未聞の衝撃企画 異例の“次週持ち越し”にサプライズはあるのか
きしたかの高野10m高飛び込みリベンジ
1月21日放送の「水曜日のダウンタウン」で行われた「きしたかの高野10m高飛び込みリベンジ」という企画が波紋を呼んでいる。きしたかのの高野正成が10メートルの高さの飛び込み台から、プールに飛び込むことができるかどうかというチャレンジ企画だった。【ラリー遠田/お笑い評論家】
***
【写真】「高すぎるよ」「これは飛べないな」…高野が挑戦した高飛び込み、実際の現場
この企画の発端は、2025年11月に放送された「紙飛行機×高飛び込みキャッチ」である。飛び込み台の上から芸人が紙飛行機を飛ばし、その後で自分もプールに飛び込んで、紙飛行機が着水する前に自分の手で紙飛行機をキャッチするという企画である。

飛び込み自体が過酷である上に、飛び込んだ後に紙飛行機の行方を追ってそれを手に取るのはきわめて困難だった。参加した芸人たちは一様に苦戦していて、なかなかチャレンジを成功させられなかった。
そんな中で、挑戦者の1人である高野だけは、恐怖のあまり一度も飛び込みをすることができなかった。高野自身は気持ちとしては飛び込みたかったと語っていて、「周囲の押しが足りなかったから飛び込めなかった」という主旨の発言をしていた。そこで、番組側は改めて生放送という形で挑戦の機会を用意した。日本中の視聴者に後押しをしてもらうことで、彼の飛び込みを実現させようとしたのだ。
番組が始まると、プールの上の飛び込み台で、目隠しを外す高野の姿が映し出された。そして、日比麻音子アナウンサーが企画の趣旨の説明を始めた。そこで高野は自分の置かれた状況を理解して、戸惑った表情を見せた。
現場には、みなみかわ、日本一おもしろい大崎、本多スイミングスクールの3人も駆けつけた。彼らは前回の企画で高野と共に挑戦をしていた仲間だった。この日に高野が無事に飛び込みをすることができたら、その時点から生放送終了まで彼らによる「紙飛行機高飛び込みキャッチ」の企画が再び始まり、成功したら賞金100万円が得られることも告げられた。
つまり、高野が早く飛び込みをすることができれば、それだけ彼らの挑戦する時間が長くなり、賞金を得られる可能性が高くなる。その意味でも彼らは高野を応援していた。
ただ、その後は膠着状態が続いた。高野は何度も意を決して飛び込もうとするが、実際に飛び込みを行うことはできず、時間だけが流れていった。結局、1時間の放送時間中にチャレンジを成功させられず、そのまま番組は終わることになった。
番組終了時、無念の表情を浮かべる高野を前に日比アナが「ということで、このチャレンジの続きは、また来週、引き続き生放送でお届けしたいと思います」と告知をしていた。次回の放送でもこの続きが行われるのだという。
過去にはスギちゃんが骨折
今回の放送内容に関して、SNSなどでは賛否両論の意見が飛び交っていた。斬新な試みとして評価する人もいたが、プレッシャーを与えて飛び込みを強要するのはやり過ぎではないか、という声もあった。
批判の声が多かった理由の1つは、10メートルの高所からの飛び込みがきわめてリスクの高い行為だからだ。もちろん、裏では事前に正しい飛び込み方について専門家からの指導などは受けているものと考えられるが、それでも失敗すれば重傷を負ってもおかしくない。
実際、過去には芸人のスギちゃんがバラエティ番組の企画で10メートルの高さからプールに飛び込んで、その衝撃で胸椎を骨折したことがあった。できる限りで安全に配慮しているのだとしても、相当危険な行為であるのは間違いない。高野が脅えるのも無理はない。
また、飛び込めるかどうかだけで視聴者の興味を引きつけて1時間の番組を作るのは、それ自体が挑戦的な試みであると言える。今回は結果的には最後まで飛び込みに成功しなかったため、視聴者の中には物足りなさを感じた人も多かったはずだ。普段のVTR中心の緻密な番組作りを期待していた人にとっては、やや退屈に見えた可能性もある。そういう人が企画自体を批判したくなったのかもしれない。
ただ、個人的にはそれなりに楽しめた。高野が飛び込むことができなかったとはいえ、リアルタイムで挑戦を見守ることにはそれなりの楽しさがあった。映像としては、水着姿の中年男性が飛び込み台の上で震えている様子が映されているだけなのに、次の瞬間に何が起こるのかとワクワクして見ていられた。「令和のあさま山荘事件」と呼びたくなるようなドキュメンタリーとしての見ごたえがあった。
次の放送回でもこの企画を行うということになっているが、全く同じような内容を二週続けて行うというのはさすがに考えづらいので、そこに何らかの驚くべき仕掛けが用意されているはずだ。この番組ならではの世の中をあっと言わせるようなサプライズを期待している。
ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。
デイリー新潮編集部
