50代「実家の片付け」でモヤモヤ。服をどうしても捨てられない母と向き合い、わかったこと
実家の片付けで、ものを手放せない親にモヤモヤしない考え方のコツなどを紹介します。整理収納コンサルタントの須藤昌子さん(50代)のケースです。ここでは、須藤さんが大量の服をなかなか処分することができなかった実母と向き合うなかで実感した「実家の片付けで大切なこと」について語ります。

実家の片付けでとくに苦労した「服の整理」

家の一軒家を手放し、自立型の高齢者向けマンションへ引っ越すことになった母。その準備のため、家具や食器、ストック品など、これまでの暮らしを支えてきた多くのものを手放しました。
周囲が驚くほどの決断でしたが、どうしても手放せなかったものが「服」でした。タグがついたままのものや、一度しか着ていないという服も。
引っ越し先は実家よりも収納スペースが小さくなるため、何度も服を減らしたものの、クローゼットに収まりきらない服が段ボールに入ったまま大量に置かれています。
どうしても服を買ってしまう理由と向き合うことに

服が収納スペースに入らないこと、減らす大変さは、母自身もちゃんと理解していたと思います。それでも、新しい服を見るとまた手に取ってしまう。そんな母の姿を見て、以前の私は「せっかく減らしたのに…」と思っていました。
けれど、あるとき気づいたのです。母にとって服を選ぶ時間は“単なる買い物”ではなく「これからの生活を前向きに感じるための小さな支え」なのかもしれないと。
減らしても減らしてもまた増える服は困りごとであるのは事実。ですが、「これを着たら少し元気が出そう」「まだ私は、こういう服が好き」といった気持ちが、年を重ねる日々のなかで心を支えているのだとしたら、母なりの生きる力でもあるのだと思うようになりました。
実家の片付けに「正解」も「完成」もないからこそ

「元気なうちに片付けを」「子どもに迷惑をかけないために」実家の片付けについて、そんな言葉をよく耳にします。
たしかに大切な考え方ですし、私自身、整理収納の仕事をするなかで環境を整える重要性も感じています。でも、人が生きている限り、ものに支えられ、暮らしは変わり続けます。そう考えると、実家の片付けに必要なのは、「どう減らすか」「どう片付けるか」ではなく、「ものは親の今の暮らしでなにを支えているのか」という視点をもってみることではないでしょうか。
母がこれからの人生を洋服とともに楽しみたいと思うなら、それもひとつの選択です。
そして、いつか私がそのものたちを整理する日が来たとしても、それは単なるあと始末ではなく、母が自分の人生を大切に生きた証だと受け止めること。その考え方が大事だと感じています。
実家の片付けを経験するなかで、私は片付けが原因で母との関係を悪化させてしまうより、母との限りある時間をできるだけ穏やかに過ごすことのほうが大切だと気づきました。その余白があるだけで、親との関係も、自分の気持ちも、少しラクになるのではないでしょうか。
