手仕事の達人・横山タカ子さんの青じそとなすの手仕事レシピ
季節を食材に閉じ込める「手仕事」
旬の食材を手軽に食し、なお残ったものは保存食にして、残りの半年、おいしく食べ回す。それは私たちが「手仕事」と呼び、変わりゆく「季節」を食材に閉じ込める楽しい作業です。
今回は手仕事の達人・横山タカ子さんに、青じそとなすの手仕事レシピを教えていただきます。
※『NHKきょうの料理 横山タカ子のつくりやすい手仕事レシピ』より抜粋。
横山タカ子(よこやま・たかこ)
料理研究家。長野県大町市生まれ、長野市在住。信州の気候風土に根ざした郷土料理の豊かさに着目して取材を重ね、現代でもつくりやすい保存食や家庭料理のレシピを考案。県内の手仕事名人を訪ね歩いてまとめ上げた著書(『作って楽しむ信州の漬物』『作って楽しむ信州の保存食』いずれも信濃毎日新聞社刊)が評判を呼ぶ。NHK「きょうの料理」などで請師を務め、季節に沿った食と暮らしの大切さを伝えている。
青じそふりかけ
「ベランダや庭で野菜を栽培してみたい」という方におすすめなのが、青じそ。生命力が強いので育てやすく、夏中、何度も収穫できます。一度にたくさんとれるので、薬味として少量ずつ使うくらいでは追いつきません。葉が柔らかいうちに干したり、漬けたりしておくのが得策です。
夏場なら、2~3時間も干せばカラカラのドライハーブに。細かく砕いて瓶に入れておけば、いつでも無添加のふりかけとして使えます。赤じそふりかけとはちょっと違った爽やかな風味。塩や粉とうがらしに加え、調味料として使えるところも気に入っています。
1 青じそ適量は洗って汚れを落とし、しっかりと水けをきる。1枚ずつ広げ、重ならないようにざるに並べる。
2 日当たりと風通しのよい場所に置き、カラカラに乾くまで(夏なら3時間ほど)干す。手でもんで細かく砕き、清潔な保存容器に入れる。
保存 冷蔵庫で3か月間
なすの塩漬け
幼いころからずっと食べ続け、つくり続けている、夏の定番の漬物です。食事の箸休めにはもちろん、おやつにも。青じその葉でくるんで河原へ持って行き、泳いだあとに手で裂きながら食べたあのおいしさは、今でも忘れがたい思い出の味です。
漬ける塩水になすのヘタやさびくぎを入れるのは、皮の紫色をきれいに保つ「おまじない」。私は漬物に使うために、古い鉄のさびくぎを大切に保管していますが、お手元にない場合はぜひ漬物用の鉄玉を使って、鮮やかな「なす紺」の漬物を楽しんでください。
材料(つくりやすい分量)
なす…5~6コ(500g)
A 塩…100g、水…カップ5
さびくぎ(あれば)※… 10本
※熱湯で煮沸消毒し、たこ糸で束ねる。漬物用の鉄玉でもよい。新しいくぎはさび止めなどの薬品加工がしてあるので、使用しないこと。
1 なすはヘタを切り離し、縦半分に切る。Aを混ぜ合わせて清潔な漬物容器(または保存容器)に入れ、さびくぎ、なす、なすのヘタを加え、おもしをして一晩(約8時間)おく。
2 しんなりとして味がなじんだら塩水からなすを取り出し、清潔な保存容器(またはジッパー付き保存袋)に入れて冷蔵庫におく。
保存 冷蔵庫で約3日間
横山タカ子さんからのメッセージ
めぐる季節を閉じ込めて「暑い暑い真夏の太陽も、凍える冬の寒さも、お天とう様は皆に平等」とは、先人の言葉です。「この暑さ寒さはただだから、使わなくてはもったいない」とも。
信州は一年のうち半年の間だけ、豊富な食材に恵まれます。旬の食材を手軽に食し、なお残ったものは保存食にして、残りの半年、おいしく食べ回してきました。それは、私たちが「手仕事」と呼び、変わりゆく「季節」を食材に閉じ込める楽しい作業です。
旬の食材に出合うと、「あら、もうこの季節!」という喜びとともに、手仕事の算段に思いをめぐらせます。一年前のメモと見比べては「今年はいやに早いお出ましね」などと呟きながら、「今度はみそと合わせてみようかしら」というように、少しの違いを楽しみます。それは三か月後、いや半年後の自分の暮らしを創る楽しみでもあります。備えて、蓄えて、暑さ寒さに無理なく向き合いながら日々を生きれば、自然のうつろいを肌で感じることができます。
年を重ねるうちに、レシピもだんだん手軽になりました。皆さんの「季節」を閉じ込める手仕事のお役に立ちますように。
----横山タカ子
話題の「さしす梅干し」も!日々の料理に活躍する手仕事レシピが満載。
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