牛乳にはカルシウムやたんぱく質、マグネシウム、ビタミンAなどの栄養素が豊富に含まれており、健康にいい飲み物といわれています。しかし、何事にも限度があるようで、「2日で約44リットルの牛乳を飲んだ男性の血が牛乳を混ぜたように白く濁った色になってしまった」という症例が報告されています。

Milk Intoxication-A Case Report

https://www.scirp.org/html/13-2100283_19410.htm



Diagnostic dilemma: A man ended up in the ER after drinking 6 gallons of milk in 2 days | Live Science

https://www.livescience.com/health/food-diet/diagnostic-dilemma-a-man-ended-up-in-the-er-after-drinking-6-gallons-of-milk-in-2-days

ある日、多尿症・喉の渇き・過度の発汗・進行性の呼吸困難といった症状が続いているとして、オランダのロッテルダムに住む54歳の男性が集中治療室に運び込まれました。

男性は入院する2日前にかかりつけ医を受診した際、血糖値が糖尿病の基準値を超えていることがわかり、糖尿病治療薬のメトホルミンを1日2回、500mgずつ投与されたとのこと。

しかし、喉の渇きなどの症状が治まらなかったことから、男性は入院する前の2日間でなんと「1日あたり22リットル」、つまり2日間で44リットルもの牛乳を飲んだそうです。牛乳の一般的な栄養価をもとに計算すると、これはわずか2日間で1540gのたんぱく質、1980gの糖質、1496gの脂肪を摂取したことを意味します。

医師が男性の血液サンプルを採取した時、血液が通常よりも薄く、白っぽくなっていることに気が付きました。以下の写真は、左が入院時に採血した血液、右が比較のため退院時に採取した血液です。入院時の血液はまるで牛乳を混ぜたかのように白っぽい色合いになっていることがわかります。



以下が、同じ血液を遠心分離機にかけた後の写真。退院時の血漿(けっしょう)は透明で薄く黄色がかっていますが、入院時の血漿は牛乳のような乳白色になっていることが確認できます。



男性の血糖値は1dLあたり1350mgと異様に高く、基準値の1dLあたり70〜99mgを大幅に超えていることも判明。さらに中性脂肪の値も劇的に上昇し、通常は1dLあたり175mg以下であるところ、男性は1dLあたり1万6713mgという異常な値になっていました。

医師らは、全脂肪乳を大量に飲んだことで男性の循環器系に脂肪と糖分があふれ、中性脂肪が急上昇したことで乳び血症(カイロミクロン血症)症候群を発症し、腸の痛みや呼吸困難が引き起こされたと診断しました。

集中治療室では男性に生理食塩水とインスリンを投与し、血糖値を下げるための処置が行われました。また、中性脂肪が多すぎて急性膵炎(すいえん)のリスクがあったため、2日間で2回の血漿交換を行い、男性の中性脂肪を許容値まで減少させたとのことです。

退院後も男性にはインスリンとメトホルミン、そしてコレステロール値を下げるスタチンが継続的に投与されたほか、医師らは砂糖摂取量を管理するためのライフスタイルの変更を提案しました。6週間後の診察では、まだ中性脂肪が基準値を上回る1dLあたり245mgだったものの、それ以外は健康な状態だったと報告されています。

医師らは今回の症例について、「牛乳を飲むことは一般的に健康にいいと考えられていますが、この症例報告では、牛乳を大量に飲むことが深刻な影響を及ぼす可能性があると示されています。私たちの知る限り、今回の中性脂肪の増加はこれまでに報告された中で最も高いものです」と述べました。