『ばけばけ』写真提供=NHK

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 長きにわたって描かれた松江での生活に終止符が打たれ、物語の舞台は熊本の地へと移ることになった。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の第20週「アンタ、ガタ、ドコサ。」では、熊本にやってきて3カ月ほどが経過した松野家の環境の変化に対する戸惑いが映し出される。

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 熊本編に突入したことで、トキ(髙石あかり)やヘブン(トミー・バストウ)に関わる登場人物も様変わり。ヘブンの教え子である丈(杉田雷麟)と正木(日高由起刀)が後をついてきたものの、これまで公私ともにお世話になった錦織(吉沢亮)、トキの大切な家族である勘右衛門(小日向文世)やタエ(北川景子)らと会えなくなるのは少し寂しい。

 しかし、別れがあるということは、新たな出会いもあるということ。熊本編もまた、個性豊かなキャラクターが続々と登場している。特にこれまでフミ(池脇千鶴)や司之介(岡部たかし)を含めた家族で暮らしてきた松野家には、書生として一緒に住むことになった丈と正木に加えて、初めての“女中”がやってきた。それが、トキたちからは「おクマちゃん」の愛称で親しまれるクマ。彼女を演じる夏目透羽は、オーディションで役を射止めたという。

 夏目といえば、ドラマ『新宿野戦病院』(2024年/フジテレビ系)でトー横キッズのサラを演じた姿が記憶に残っている人も多いのではないだろうか。金髪ボブの髪型がトレードマークのサラは、常に行動をともにするリナ役の安達木乃とともに第1話から登場。軽快なテンポで言葉を交わしながら、息のあった掛け合いを見せる2人は“サラリナ”コンビの愛称で親しまれ、視聴者にとっても馴染み深い存在となっていく。夏目にとっては初めての連続ドラマ出演ながら、交番勤務の岡本(濱田岳)や聖まごころ病院の大人たちに注意を受けてもさらっと受け流す姿はすっかり板についていた。

■『あんたが』では白崎(前原瑞樹)の恋人役を好演した夏目透羽 2025年はドラマだけでなく、映画やCMなどに活動の幅を広げつつ、大きな話題を集めたドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(2025年/TBS系)には、勝男(竹内涼真)の会社の後輩である白崎(前原瑞樹)の恋人・青子役として第5話に出演。空港にいる勝男の兄・鷹広(塚本高史)に好物の“とり天”を届けにいく車中では、竹内涼真や前原瑞樹らを前にして、青子の後悔とこれから在りたい姿を打ち明けるなど、短い時間ながら余韻のある芝居を披露する。その後はラブコメディの常識を覆す映画『ロマンティックキラー』(2025年)や、第78回カンヌ国際映画祭にも出品された深田晃司監督の最新作『恋愛裁判』など、多様な作品に出演を果たし、徐々にブレイクの兆しを見せている。

 夏目が『ばけばけ』で演じるクマは、ヘブンの意向で毎朝、全員分のパンを焼くなど、松野家の生活を影ながら支えようと奮闘する役柄。何でも仕事を引き受けるがんばり屋さんながら、ときに空回りして失敗してしまうこともあるようなので、視聴者がついつい応援したくなるような自然体な表情も観られるのではないだろうか。

 松野家の日常に新たに加わる夏目の抜擢に重なるのが、花田旅館の女中として働くウメを演じた野内まる。彼女もまた、2025年は日曜劇場『御上先生』(2025年/TBS系)への出演を皮切りに、たびたび映画やドラマに出演。『ばけばけ』では、ヘブンの女中を務めることになったトキに対して、彼の食の好みや気をつけるべき行動を助言しながら、2人の生活を影ながら支えていた。さらに、現在放送中の『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)では、主人公・文菜(杉咲花)の大学時代からの友人であるロマンティック・アセクシュアルのエンちゃんを演じるなど、適度な距離感で主人公たちと接する登場人物を自然な佇まいで演じている。

 夏目も『ばけばけ』の女中役を通して、役者としての飛躍を遂げるポテンシャルは充分。これから落ち着かない生活が続くであろう松野家を切り盛りするウメの奮闘も、熊本編の注目ポイントとなりそうだ。(文=ばやし)