中古戸建てや土地を購入する際、どうしても「建物そのもの」に目が向きがちですが、実はその周辺環境や「足元」にこそ、取り返しのつかないリスクが隠れていることがあります。
今回は、建築士でありホームインスペクターのさくら事務所執行役員CROの田村啓さんが、実例をもとに地盤沈下や災害リスクの見抜き方、そしてプロが警戒する土地の共通点について徹底解説します。

■ ハザードマップでは見えない「地盤の傾き」
災害リスクを気にする際、自治体のハザードマップを確認するのは「絶対」です。しかし、マップに載っていないリスクとして注意すべきなのが「地盤の傾き」です。
建物に不具合があってもリフォームで直せることが多いですが、土地そのものが傾いている場合、それを直すには膨大な費用がかかり、現実的には不可能なケースも少なくありません。
プロが現地へ行く際、スクリーニングとしてチェックしている「広域」と「部分」の視点をお伝えします。

■ 広域の視点:街全体が出している「SOS」
内見物件の玄関に入る前に、駅から歩いている途中や駐車場の周りを観察してみてください。
・電柱が傾いている:普通に暮らしていると見過ごしがちですが、電柱が複数本傾いているエリアは、地盤が不安定である可能性があります。
・道路に大きなひび割れがある:道路の舗装がひどく割れていたり、波打ったりしているのは、地盤が動いている兆候です。
・周りの家の「塀」や「外壁」:周辺の住宅の塀にバリバリにヒビが入っていたり、建物そのものが傾いているように見えたりしないか。街全体に不具合が出ているエリアは、地盤リスクが高いと言えます。

■ 部分の視点:特に警戒すべき「擁壁(ようへき)」の3箇条
斜面に平らな土地を作るための「擁壁」は、潜在的なリスクの塊です。特に神奈川県や別荘地など、坂の多いエリアでは以下の3点に注目してください。
1. ズレや「はらみ」はないか:擁壁が手前に膨らんでいる(はらんでいる)、あるいは大きくズレているのは、崩壊の予兆かもしれません。
2. 「水抜き穴」の機能と異常な水漏れ:擁壁が崩れる最大の原因は「水」です。
・本来あるべき水抜きパイプがない、あるいは詰まっている。
・パイプ以外の壁の継ぎ目などから水がジャバジャバ漏れている、または漏れた跡がある。 これらは擁壁内部に水が溜まり、過度な圧力がかかっている危険なサインです。

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