ESSEonlineで2025年4月に公開された記事のなかから、ランキングTOP10入りした記事のひとつを紹介します。

結婚して30年以上、自宅で食事をつくる時間を大切にしている女優の泉ピン子さん。しかし、結婚前はまったく料理ができなかったそう。売れっ子女優としての忙しい日々と、妻としての役割を両立させてきたピン子さん。そんな彼女に、日々の料理を楽しむコツについて伺いました。

※ 記事の初出は2025年4月。年齢を含め内容は執筆時の状況です。

結婚以来、料理は私の担当。30分で手早くつくります

じつは料理が得意で、41歳で医師の夫と結婚して以来、「自宅で夫にインスタント食品を食べさせたことがない」という泉ピン子さん。

「私が結婚した1989年は、まだ『男子厨房に入らず』という考えが当たり前だった時代。せっかく夫が『お互い働いているんだから、家事もなるべく手伝うよ』と言ってくれたのに、私は突っぱねてしまったんですよね。私は結婚するまで全然料理ができなかったのに。それは今でも失敗したな、と思っています(笑)」

とはいえ当時のピン子さんは、365日休みがないほどの売れっ子女優。時間のないなかで毎日の食事の支度をしているうちに、自然と手際がよくなったと話します。

「そりゃあ、つくってくれる人がいればいいけど、他人がつくるより私がやったほうが早いし。ふだんの食事はほとんど30分以内につくっちゃう」とピン子さん。

「おいしく見せるには器選びも大事。盛りつけがよければ、ものの10分でつくったとしても、手が込んで見えるから。私は器を買うのも好きなので、料理屋を開くのか、って言われるくらいの数をもっています。清水焼を専門に扱っている『東哉』というお店で買うことが多いかな。鍋も気に入ったものが壊れるのが嫌だから、いいなと思うと2個買っちゃう(笑)」

冷蔵庫の中身を見ながら、なにをつくるか考えるのが好き

テレビの料理番組やレシピ本を見て、新しいメニューにも積極的にチャレンジするというピン子さん。ふっと思いついたアイデアをもとに、オリジナルのレシピを考えることも多いそう。

「この前はすりおろしたショウガとしょうゆで下味をつけた豚バラ肉を、多めの油でベーコンみたいにカリカリに焼いて、炒めたモヤシとレンジでチンした中華麺とあわせて、塩味の焼きそばにしたの。豚バラ肉がこんなにおいしくなるんだ! って驚いたほど上手にできたわね」と教えてくれました。

「また別の日は、余ったお豆腐とタマネギをどうしようかと考えて。タマネギはスライスしてスープにして、そこにサイの目にした豆腐を入れてとろみをつけました。

メインはいつも常備している『やみつきガーリック』(トーノーの万能調味料)でつくったしょうゆ味のガーリックライス。あれ、なんにでも使えて便利なのよね。その上にオムレツをのせて、砕いたナッツとトリュフオイルをかけてでき上がり。冷蔵庫の中身を見ながら、今日はなににしようかな…? と考えるのが好きなの」

●飽きずに続けるコツは「楽しみながらやる」

日々の料理を楽しむコツは、だれかを喜ばせるために、自分なりの工夫を凝らすこと。愛用している調味料や器の一部は、ピン子さんのエッセイ『終活やーめた。 元祖バッシングの女王の「ピンチを福に転じる」思考法』でも紹介されています。

「だれかが喜んでくれると思えば工夫のしがいもあるし、おいしいって言われればうれしい。うちの夫は『結婚していちばんよかったことは、妻の料理がおいしいこと』と言ってくれてます」と笑うピン子さん。

「だから、若い女の子にもよく『結婚は愛じゃないよ、胃袋をつかみなさい』とアドバイスしてるの。そりゃあ、毎日つくってたら飽きることもあるわよ。だからって、いやいやつくっちゃダメ。なんだって面倒くさいと思わずに、楽しみながらやらないとね」