帝京長岡で伝統の14番と腕章を託された和食。写真:安藤隆人

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 プレミアリーグWEST第3節・名古屋グランパスU-18対帝京長岡の一戦。1勝1敗の帝京長岡は2連勝中の名古屋U-18を相手に苦戦を強いられ1−3で敗れたが、2年生ながらエースナンバーである14番とキャプテンの2つの重責を担うMF和食陽向のプレーは、チームにとって今後の大きな光となった。

 和食は前節のヴィッセル神戸U-18戦では2ゴール・1アシストと大暴れし、勝点3獲得の立役者となると、名古屋U-18戦では3失点目を喫した直後の56分に、得意の左足で2戦連続となる圧巻のゴールを決めた。

 このシーン、左サイドの崩しからゴール前でFW渡邉颯が放ったシュートは相手GK萩裕陽のビッグセーブに阻まれたが、右サイドにこぼれたボールに反応していたのが和食だった。萩が大きく外に弾くことを見逃さずにポケット(ペナルティエリア内の左右のスペース)で加速すると、角度のない位置からダイレクトで左足一閃。ボールは唸りを上げて逆サイドネットに突き刺さった。

 その後、スコアは動かなかったが、このゴールは沈みかけていたチームに息を吹き返し、次節以降につながる重要な一発だった。

「ずっとみんなが身体を張ってボールを攻撃陣に繋いでくれていたので、なんとか決めたかった。角度はなかったのですが、相手ゴールキーパーの体勢が整う前に叩き込むことだけを考えました」

 ポジションは【3−4−2−1】の右インサイドハーフ。ゴール以外にも、165センチと小柄ながら当たり負けしないフィジカルと俊敏性、そして左足の技術と視野の広さを駆使して、前線からの守備とボールキープ、そしてゲームメイクと攻守において幅広い関わりを見せた。
 
 和食は昨年、1年生ながら同じポジションで抜群の存在感を発揮していた。現在はベガルタ仙台でルーキーながら出番を掴んでいるFW安野匠とのコンビネーションで繰り出す攻撃の破壊力は、とりわけ凄まじいものがあった。

 選手権こそ新潟県予選準決勝で新潟明訓に敗れてしまったが、インターハイでは全国ベスト4に輝き、初挑戦となったプレミアWESTで7位(12チーム中)でフィニッシュした。

 安野にマークが集中するなかで、1.5列目からスルスルと湧き出てきては、左足で絶妙なタイミングでラストパスやシュートを狙う和食の存在は、相手にとってまさに脅威だった。

「陽向はたぶん、プロに行きますね。1年とは思えないです」と安野に言わしめるほどのタレントをJクラブも放っておくはずがなく、今年2月に高校1年生ながら水戸ホーリーホックの練習に参加した。

「まさか練習参加できるとは思っていなかったので驚きましたが、行ってみて大きな気づきを得ることができました」

 プロのスピードや強度、技術面、練習に取り組む姿勢、準備やケアの意識などのメンタル面でも刺激を受けるなかで、ある1人の選手に釘付けになったという。

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「渡邉新太選手を見た時は衝撃が走りました」

 今季から水戸に加入した渡邉は、頭脳的かつ俊敏な動きとシュートセンスで、点取り屋としてもチャンスメーカーとしても能力を発揮する。すでに5ゴールをマークするなど好調を維持するセカンドストライカーは、和食にとって1つの理想的な存在だった。

「シンプルにボール扱いがうまいですし、見えている場所も広い。だからこそスピードに乗った状態でいろんな選択肢を持っているし、それを実行できる。こういう選手になりたいと思いました」

 緊張して話しかけられなかったというが、渡邉のプレーは頭の中に深く刻まれた。
 
 それも影響してか、同日に行なわれたJ2第10節の徳島ヴォルティス戦(1−0)で渡邉が決めた決勝点と、和食の名古屋U-18戦の得点はよく似ていた。シュートのこぼれかスルーパスか、右足か左足かの違いこそあるが、ポケット内での加速の仕方、角度のないところからダイレクトで逆サイドネットに突き刺す度胸と技術は一緒だった。

「プロになるためには武器を持たないといけないし、メンタル面でも『自分が決める』という心構えを持たないといけないと思っているので、そこは意識しています。まずはプレミアで一戦一戦に集中して戦うことで、課題を発見しながら、少しずつ自信を積み重ねていくことを大事にしていきたいです」

 自身の理想に近づき、超えていけるように。引き締まった表情と落ち着いた口調で話す和食に慢心の二文字はない。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)