なぜ男女で違うキャラのAI案内が並ぶ?(JR高輪ゲートウェイ駅で)

写真拡大

東京都港区内に開業したJR高輪ゲートウェイ駅で、AI を使った駅案内のサイネージが2台そろえて置かれているが、AIの駅員キャラが男女でまったく違い、女性の方だけアニメ風なのはなぜかと、ネットで話題になっている。

ジェンダーバイアスがかかっているのでは、という批判も相次いでいる。その意図について、JR東日本に話を聞いた。

「旧世代のジェンダー観を植え付け」の批判も出たが...

山手線に49年ぶりに誕生したこの新駅は、開業から4日経った2020年3月18日昼過ぎも、大勢の人たちが駅のデッキなどに集まり、盛んにシャッターを切っていた。

駅案内のサイネージ2台は、改札を出て、左側にある。物珍しさもあってか、この日も、ひっきりなしに案内の画面を見る人がいた。

2台のうち右側のは、アニメの女性駅員キャラ「渋谷さくら」さんが、質問を言うと答える形で、駅や周辺施設などを画面で案内している。一方、左側のは、リアルな男性駅員キャラが同様な案内をしていた。

このキャラの違いについて、ツイッター上などでは、開業当初から様々な意見が書き込まれている。

「何故女駅員はアニメなのか!!!」「『女性駅員』は、仕事と関係ないこと尋ねてもOKだとでも思ってんのか?」と驚きの声が上がっており、疑問や批判も多い。「旧世代のジェンダー観を植え付けてどうする」「外国人はこの古臭い価値観にドン引きする」「公共の場においてほしくありません」といったものだ。

一方、「多分そんなに深いこと考えないで作った感じする」「過剰反応では...?」といった意見もあり、論議になっている。

記者がこの日、2台のサイネージ画面を見ると、確かに「女性駅員」は、アニメっぽい仕草で、「男性駅員」は、実人物がいるかのような対応だった。

「製造元が違う2台を置いて、利用しやすい装置を選ぶため」

まず「女性駅員」サイネージを試してみると、プライベートな質問にもきちんと答えた。ネット上に投稿された画像では、年齢にも「今年で21歳です!」と答えるなどしていたというが、記者の質問には、多くが「お仕事に関係する質問へお答えしたいです!」との返事だった。

一方、「男性駅員」も、プライベートな質問に答え、ネット画像と同様に、「去年の7月に生まれました」などと記者の質問に答えた。なぜ女性駅員は返事が変わったのかははっきりしないが、こうした質問が多くて、AIが学習した可能性もあるかもしれない。

なぜ男女で違うキャラにしたかについて、JR東日本の広報部は3月18日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

「2台は、そもそも製造元が違います。お客さまに試してもらって、利用しやすい装置を選ぶ試行導入で、たまたま置いただけです。男女のキャラをそれぞれ用意する意図はなく、結果として混在したということです」

ジェンダーバイアスになるとの批判については、こう言う。

「そのようなご意見があることは承知しており、ご意見を踏まえて、お客さまのサービス向上に取り組みたいと考えています。お客さまの使用状況を見るため、当面は2台とも設置しますが、本導入のときにどうなるかはまだ分からないです」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)